『転々』(てんてん)は、藤田宜永の小説、またそれを原作とする2007年に公開された日本映画である。
書誌情報
映画
テレビドラマ『時効警察』シリーズの三木聡監督と、主演のオダギリジョーによる長編作品。ジャンル分類は困難な作品で、非常に深刻な背景を持つ物語が、明るく淡々としたコメディ風味で綴られる。2007年11月10日に公開された。35mmフィルム上映。上映時間101分。アメリカンヴィスタ作品。DTSステレオ。カラー。
あらすじ
法律専攻で大学8年目の竹村文哉。80数万円の借金を抱えており返済の当ても無い彼に、借金取りの福原が「借金をチャラにする代わりに自分の東京散歩に付き合って欲しい」と持ち掛ける。更に、その報酬として100万円を貰えると言われ、胡散臭さを感じながらも、失うものは何も無い竹村は福原の提案を受け入れ、2人の散歩が始まる。
散歩をする中で、2人の過去が徐々に明らかになる。竹村は小さい頃、両親に捨てられた。故に、親子で遊びに行ったことが無い。竹村の想い出の場所を訪ねてみようとの福原の提案で、竹村が昔住んでいたアパートの場所に行くが、そこは更地になっていた。近くの畳屋を訪ねると、嘗て竹村の父が畳屋の主人の妻を寝取ったことから、畳屋の主人は改めて怒りを露にする。また、小学生の頃、竹村のことが好きだった女性がコスプレをしている場所にも行ってその女性に会う。
一方、福原は、妻を殴ったはずみで死に至らしめてしまい、遺体は2人の自宅のベッドに寝かせたままである。福原の散歩の最終目的地は警視庁で、自首することを考えているのだ。遺体が発見される前に自首をしないと減刑の対象にならないと竹村は助言するが、福原は自首を急ごうとしない。福原が妻を殴ったのは、妻が渋谷界隈で若い男を漁っていたことが露見したからだった。2人は福原と妻の想い出の場所も幾つか訪ねる。また、娑婆での最後の食事はカレーライスが良いと福原は言う。竹村は福原に対して自首せずに逃げようと提案するが、それも福原は聞き入れない。
福原は嘗て、頼まれて或る結婚式の新婦の親戚になりすましたことがあり、その時に福原の妻を同じく演じた麻紀子の家を訪ね、竹村も一緒に麻紀子の家に数日間泊めて貰う。その家には披露宴のサクラとしての夫婦の写真が飾ってある。麻紀子の実の姪・ふふみが麻紀子の家に入り浸っていることから、福原は麻紀子の夫、竹村は彼らの息子をふふみの前で演じることになる。麻紀子は竹村と2人になった時に、福原には息子がいたが、生後間も無く死去したと聞いたと言う。
そして、福原のリクエストで麻紀子は夕食にカレーを作る。いよいよ福原が翌日に自首する決意を固めたことを悟り、竹村は食欲が出ない。
翌日も2人は散歩を続ける。警視庁に近づいてきたところで、竹村が気を緩めた隙に、福原は独りで警視庁の入り口に向かって歩いて行くところで映画は終わる。
キャスト
スタッフ
その他
DVD
参考文献
- 映画「転々」パンフレット 2007年11月10日 製作・発行 stylejam
外部リンク