陰日向に咲く『陰日向に咲く』(かげひなたにさく)は、劇団ひとりの小説。幻冬舎より2006年1月27日に刊行。 平川雄一朗監督で映画化され、2008年1月26日に公開された。 概要2006年1月27日発売。劇団ひとりはこの作品で小説家としてデビューを果たした。小説には、多彩な人物が登場する。初版は1万5000部だったが、「お笑いタレントが本気で書いた小説」として話題を集め、2008年2月1日に54刷で100万部を突破した[1]。 直木賞有力候補に挙げられ、受賞が期待されていたが平成18年上半期の受賞候補にはノミネートされなかった。爆笑問題の太田光がこの作品に高い評価を下している。2007年の本屋大賞にノミネートされたが、受賞は逃した。帯には恩田陸、大槻ケンヂ、山田宗樹が、絶賛のコメントを書いている。 あらすじ6人の陽に当たらない落ちこぼれな人達が、社会復帰するまでの道のりを描いたオムニバス(連作)小説となっている。 道草社会の束縛に苦しんでいたサラリーマンが、ある日、大ボラ吹きで有名なホームレスの男性「モーゼ」に出会う。そのモーゼのような自由人に憧れ、自ら好き好んでホームレスになる。ある日、若くして億を稼ぐという野球選手、K・Yが父親を捜してホームレスが集う公園にやって来る。モーゼは自分が父親だと言い、証拠の写真を見せ、息子についていくことになり、ホームレスを引退する。そして、主人公はホームレス生活の終焉にモーゼの住んでいた小屋を覗くと、そこにはブタ箱から帰ってきたという本当の野球選手の父親がいた。モーゼは、やはり大ボラ吹きだった。 拝啓、僕のアイドル様主人公は、デビュー5年目のマイナーなアイドル・武田みやこ(通称:ミャーコ)の熱狂的なファンの青年、ゆうすけ。彼女を想う気持ちは誰にも負けないようで、話の冒頭ではミャーコの母親にさえ勝るという。ある日、ミャーコはゴールデン番組に出演することが決まった。健康を題材にした番組で、ミャーコはアイドルらしからぬ、ドロドロ血液のドロ子というキャラクターでの出演だった。あまりにひどい格好でゆうすけはテレビを消してしまう。それでも何かミャーコのためになることはないかと、番組のホームページの掲示板にドロ子を称賛したり、応援したりするメッセージを数百件書き込む。ドロ子が人気になり、再度の出演が決まった。この出演がきっかけでミャーコは誰もが知る人気のアイドルとなる。 ピンボケな私特に人に自慢できることがない平凡な20歳の女性は、ある日の飲み会で友達が淡々と夢を語る中、とっさの嘘で「カメラマンになりたい」と言ってしまう。主人公の高校からの親友であるミキは一瞬驚くが、特に気にしなかった。そしてある日の飲み会で出会った完璧な男・タクミと恋に落ちる。劇的な恋に主人公は戸惑いなく夢中になっていくが、ある時遊ばれていると気付いてしまう。 Over run主人公は、35歳独身でパチスロや競馬といったギャンブル好きな多重債務者の男性・シンヤ。借金は400万を優に超え、とうとう「オレオレ詐欺」に手を出してしまう。そして電話に出た老婆の息子「健一」に成り済まし、ありもしない話をして交流を深めてしまう。借金返済日が近づくある日、老婆に50万円を用意するように頼む。後日、老婆の家に取りに行くと信じられない事実を知ってしまう。 鳴き砂を歩く犬ロクでもない家庭に育った不幸な少女・鳴子は、中学の修学旅行で浅草に行き、そこで売れない芸人・プードル雷太に出会う。彼に運命を感じた鳴子は3年後、鳥取県から上京し 雷太を捜す。劇場を何件も回り、ある日入ったストリップ劇場で雷太を見つける。だが、何も成長していない雷太を見た鳴子は、彼を売れっ子芸人にする為にコンビを組む。 書籍情報
コミカライズ此元和津也の作画で単行本描き下ろしで刊行された。
映画
上記の小説を原作に製作され、2008年1月26日に公開された。監督は『そのときは彼によろしく』の監督を務めた平川雄一朗。脚本は、映画『電車男』などの脚本で知られる金子ありさ。主演岡田准一、ヒロインは宮崎あおい。 本作の映像化をめぐっては、数十社が争奪戦を展開するほどであった[3]。 キャスト
スタッフ
脚注
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