韓国における自殺(かんこくにおけるじさつ)は、OECD30カ諸国の中で最も高い割合であり、OECDによれば2002年以降、人口10万あたりの自殺者数で日本を超え[3][4][5]、2003年から2021年まで、2017年にリトアニアに抜かれた以外は一貫してOECD加盟国中で最悪の自殺率であった。なお、最新の2021年のOECD集計の自殺率は10万人当たり23.6人、韓国統計庁の集計では26人である[6]。
日本や韓国では若い韓国の芸能人の自殺がしばしば報道で取り上げられるが、むしろ他国と比べて自殺率が際立って高いのが高齢者である。これは韓国の社会保障整備が長らく未熟であり、公的年金制度が開始されたのが1988年、国民皆年金制度が整備されたのが1999年であったため、高齢者は掛金を支払った期間が短く、年金受給資格がないか受給できても少額に過ぎず、困窮せざるを得ないためである。例えば2019年時点で受給可能年齢に達した人のうち実際に受給している人の割合は41.6%にすぎなかった。これらの要因もあって、政府支出に占める社会保障の割合はOECD加盟国中で最下位クラスである[7][2]。2020年基準では、自殺率が最も高い自治体は忠清南道で、10万人あたり27.9人となっている。最も低い自治体は世宗市で、10万人あたり18.3人となっている[8]。
自殺率
韓国の自殺率はアジア通貨危機(1997年)直後の1998年から急増し、2003年以降は2017年以外は一貫してOECDで最高の自殺率の国となっている。
年度 |
自殺者数 |
10万人当たり |
前年度比 |
OECD順位
|
1983年
|
3,471人 |
8.7 |
- |
-
|
1986年
|
3,564人 |
6.6 |
- |
-
|
1989年
|
3,133人 |
7.4 |
- |
-
|
1990年
|
3,251人 |
7.6 |
+0.2% |
-
|
1991年
|
3,151人 |
7.3 |
-0.3% |
-
|
1992年
|
3,628人 |
8.3 |
+1.0% |
-
|
1995年
|
4,930人 |
10.8 |
- |
-
|
1998年
|
8,622人 |
18.4 |
- |
-
|
2001年
|
6,911人 |
14.1 |
+0.5% |
-
|
2002年
|
8,612人 |
17.9 |
+3.8% |
-
|
2003年
|
10,898人 |
22.6 |
+4.7% |
1位
|
2004年
|
11,492人 |
23.7 |
+1.1% |
1位
|
2005年
|
12,011人 |
24.7 |
+1.0% |
1位
|
2006年
|
10,653人 |
21.8 |
-2.9% |
1位
|
2007年
|
12,174人 |
24.8 |
+3.0% |
1位
|
2008年
|
12,858人 |
26.0 |
+1.2% |
1位
|
2009年
|
15,413人 |
31.0 |
+5.0% |
1位
|
2010年
|
15,566人 |
31.2 |
+0.2% |
1位
|
2011年
|
15,906人 |
31.7 |
+0.5% |
1位
|
2012年
|
14,160人 |
29.8 |
-1.9% |
1位
|
2013年
|
14,427人 |
28.5 |
+0.4% |
1位
|
2014年
|
13,836人 |
27.3 |
-4.5% |
1位
|
2015年
|
13,513人 |
26.5 |
-0.8% |
1位
|
2016年
|
13,092人 |
25.6 |
-0.9% |
1位
|
2017年
|
12,463人 |
24.3 |
|
2位
|
2018年
|
13,670人 |
26.6 |
|
1位
|
2019年
|
13,799人 |
26.9 |
|
1位
|
2020年
|
13,195人 |
25.7[9] |
-4.4% |
1位
|
2021年
|
13,352人 |
26.0[10] |
+1.2% |
1位
|
ケース別
心中
大韓民国では心中事件が相次いで発生し、懸念が高まっている。特にインターネットが発達した韓国ではコミュニティーサイトをはじめとするウェブサイトを密かに作成し、集まって心中している場合がある。こういったウェブサイトは運営自体が違法だが、非公開活動への取り締まりが容易ではない状況である。様々な地域で会って自殺する場合もある[11]。心中をしようとする人々は、練炭などを利用した有毒ガスでの窒息自殺を選ぶ場合が多い[12]。
テレビ番組
2014年3月5日にテレビの集団お見合い番組『チャク』で、番組収録中に出演していた29歳の女性が首つり自殺した。番組は、振られた出演者には外で食事を取らせるなどして、出演者を心身共に傷つけていると批判された。この事件を受けて、番組は打ち切りとなった。
有名人の自殺
2000年以前
2000年代
2010年代
2020年代
- チェ・スクヒョン(2020年)- トライアスロン韓国代表
- 朴元淳(2020年)- ソウル特別市長 ※元秘書に対するセクハラ疑惑の最中。
- コ・ユミン(2020年)- 女子プロバレーボール選手
- オ・インヘ(2020年)- 女優
- パク・チソン(2020年)- コメディアン
- キム・ナムチュン(2020年)- サッカー選手[16]。
- ソン・ユジョン(2021年)- 女優[17]
- IRON(2021年)- ラッパー ※未成年者に対する暴行容疑の最中。
- ピョン・ヒス(2021年)- 韓国初の兵役中の性別適合手術実施者
- ジェイ・ユン (2021年)- 歌手、MC The Maxメンバー
- キム・ムンギ(2021年12月21日 死亡発見)- 城南都市開発公社 開発第1処長[18][19][20]
- キム・ジョンジュ(2022年)- ネクソン創業者
- キム・インヒョク(2022年)- 男子プロバレーボール選手
- ユ・ジュウン(2022年) - 女優
- ムンビン(2023年) - 男性アイドルグループASTROメンバー[21]
- ヘス(2023年) - トロット歌手[22]
- イムブリー(2023年)- YouTuber[23][24]
- チェ・ソンボン(2023年)- 歌手[25][26][27]
- オクタリヒョン(2023年)- 俳優、YouTuber[28]
- ピョ・イェリム(2023年)- YouTuber[29][30][31]
- キム・ヨンホ(2023年)- 元記者、YouTuber[32][33]
- イ・ソンギュン(2023年)- 俳優 ※薬物使用疑惑で捜査の最中[34]
- ソン・ジェリム(2024年)- 俳優[35]
自殺の名所
- 麻浦大橋 - IMF通貨危機以後、この橋からの飛び降り自殺が急増[要出典]
脚注
関連項目
外部リンク