高松琴平電気鉄道長尾線
長尾線(ながおせん)は、香川県高松市の瓦町駅と香川県さぬき市の長尾駅とを結ぶ高松琴平電気鉄道(ことでん)の鉄道路線。 終点の長尾駅のすぐ東には四国八十八箇所の長尾寺があり、当寺への参拝路線としての性格を持っていたが、現在は高松の郊外路線である。ほぼ全線にわたって長尾街道(香川県道10号高松長尾大内線の旧道)が並行する。 ラインカラーは緑色。かつては、車体前面の行先表示板は茶色地のものが用いられていた。 路線データ
運行形態すべて普通列車で、平日朝ラッシュ時の下り1本のみ瓦町始発となるが、それ以外のすべての列車が琴平線(築港線)瓦町 - 高松築港に乗り入れる。朝夕は約12分間隔、昼間は24分間隔で運転されている。なお、築港線区間のみを走る列車も、長尾線の車両を使用するため、長尾線扱いとなる。そのほか平日の朝に高松築港発平木行きが2本と平木発高松築港行きが1本設定されている。 回送も含めた全列車に車掌が乗務し、精算や車内補充券(パンチによる穴あけ式)の発売、IruCaへチャージ、無人駅での集札、車内放送などを行っていたが、2023年3月18日のダイヤ改正と共に、瓦町 - 長尾間は終日全列車ワンマン運転となった。ただし、瓦町 - 高松築港間はダイヤ改正前と同じく車掌が乗務する[2]。 2010年12月18日に行われたダイヤ改正で、朝夕計3本が増発され、朝ピーク時は全列車長尾始発となった。また、瓦町駅での接続の改善が行われた[3]。 その後2020年11月28日に行われたダイヤ改正では、日中20分間隔だったところ24分間隔になるなど、減便がおこなわれた[4]。
歴史
駅一覧
建設時から複線化が考慮されており、南西側に線路が敷かれ、北東側が複線化用地となっている。ただし建設当時の幅なので、現在の長尾線用車両が走れる線路を増設するには、用地買収が必要である。交換設備のない1面1線の駅の多くや、水田駅付近の高架用地、花園駅-瓦町駅間の留置線などは、この複線化用地を使用している。 車両2011年8月現在、旅客車10編成20両が所属している。すべて2両固定編成である。 なお、琴平線車両と予備車を共有にした関係で、琴平線車両が長尾線内で使用されることがある。2008年8月13日のさぬき高松祭りでは琴平線の1080形が応援運用された。
線内には留置線を備えた駅があるだけで車両基地はなく、長尾線で運用される車両は全車が仏生山工場に所属している。よってラッシュ前やラッシュ後には、入出庫のために瓦町から仏生山までの琴平線を走行する長尾線車両を目にすることができる。ただし、瓦町-仏生山間は回送列車として運転されるため、客扱いは行わない。 大型車乗り入れまでの経緯→「高松琴平電気鉄道 § 運転形態及び変遷」も参照
鉄道線としてスタートした琴平線に対し、長尾線・志度線は、開業時に2軸電車を使用した軌道線として設計されたため橋梁の重量制限とカーブの制限が厳しかった。 終戦直後の路線改良で16m級車両まで入線できるようになり、1960年代には16m級車3両編成での運転が可能になった。後に橋梁の重量制限も1両あたり30t未満までになり、17m級車の850形も入線可能になった。1983年に17m級車(860形・880形・890形)を入線させた際には、重量を30t未満に抑えるために制御車化せざるを得ず、それ以上の大きさの車両は入線することができなかった。そのため、大手私鉄から小型車が淘汰された1980年頃を境に、車両の代替が滞る。その後も何度か車両調達を試みたものの、車両の大きさや廃車時期の不一致ですべて破談となった。 1998年より名古屋市営地下鉄の車両を導入することで、代替が一気に進んだ。しかし種車が確保できず、長尾・志度両線の運用が全車両を置きかえるまでには至らなかった。そこで2003年に、長尾線を線路が繋がっている琴平線と同じ18m級車の入線が可能なように改良して、大型車[18]を導入。余剰となる長尾線の冷房化された小型車を、志度線に転出させ、両線の非冷房車を完全に置き換える案が持ちあがった。 橋梁に関しては平木以東に未改良のものが2箇所存在していた。このため2004年4月に3000形の2連にレールを積み込んだ試験列車を走らせて確認を行った結果、問題がなかったため、この計画は大きく推進されることになる。一方急曲線に関しては、水田 - 西前田にある吉田川橋梁前後は、既に橋梁の架け替えと同時に改良を行うことが具体化していたので問題はなかった。また駅構内が急曲線上に存在する木太東口駅に関しては、ホームの改築と路線位置を多少ずらすことで対処した。他の駅でもホームを削る工事が実施され、在来車両には転落防止のステップが取りつけられた。 2006年7月、長尾線用1200形2編成4両が投入され、大型車の運行が開始された。さらに同年12月には1200形1編成2両、2007年7月には1300形2編成4両が投入され、長尾線の冷房化100%を達成した。置き換えられる形で順次、仏生山工場から冷房付きの600形が今橋工場に転出し、全車両の転出をもって志度線も100%の冷房化を達成した。なお1両あたりの定員増加に伴いラッシュ時の増結が廃止され、全列車2両編成となった。2011年9月には1300形2編成4両が投入され大型車を増やした。現在はほぼすべての列車が大型車での運行となっている。
高松電気軌道の車両高松電気軌道時代は梅鉢鉄工所製の木製単車9両(総定員360人)を所有していた。1912年に1-5を新製し、翌年に6-9を増備した。合併後20形 (初代)(21-29)に改番した。他に電動有蓋貨車2両を所有し30形 (初代) (31・32)に改番。 開通当初は電車の出力が弱く、川島口付近の坂では、満員の時は坂を登り切ることができず、速度が落ちるので、乗客が下車をして電車を後押しした、という[8]。 新駅設置計画「ことでん活性化協議会」が花園駅 - 林道駅間への新駅設置案を示している[19]。2019年8月に高松琴平電気鉄道は、この区間への新駅設置要望に「駅の新設は用地の取得をはじめ、多額の費用を要するため、弊社単独での実施は困難です。」と回答している[20]。 脚注
参考文献
関連項目 |