D1-VTRD-1 VTRとはITU-R BT.601フォーマット(4:2:2コンポーネント方式)で符号化されたデジタルビデオ信号を、19mm(約3/4インチ)カセットテープに非圧縮で記録する放送業務用VTRである。 概要1982年に日米欧で共通のデジタルビデオ記録・伝送フォーマットを策定する目的で標準化が行われた。この結果決まった4:2:2コンポーネント符号化規格がCCIR 601、現在のITU-R BT.601である。ITU-R BT.601規格のサンプリング(標本化)周波数は、輝度信号Yが13.5MHz、色差信号R-Y, B-Yが各々6.75MHzである。ITU-R BT.601規格に則った信号(D-1 VTRの入出力インターフェース信号)を「D-1信号」と呼ぶこともある。 続いてこの方式による放送業務用VTRの規格化が行われ、1986年にCCIR 657として制定後、ソニー[1]とBTS(ボッシュとフィリップスとの合弁放送機器メーカー、その後フランスのThomsonに買収され現在はGrass Valleyが継承)が対応するVTRを発売した。 SDTV用VTRとしては当時最高画質であり、テレビコマーシャルの編集やコンピュータグラフィックスの出力など高画質を要求される分野で用いられたが、放送局では機器が高価なこと(VTRだけでなく編集設備もコンポーネント信号に対応させる必要がある、コンポジット映像信号用機器も残るので変換機器が必要など)、ビデオテープのランニングコストが高いことなどからD-2 VTRの方が普及した。 D-1 VTRの入出力インターフェースの物理規格は初代機のDVR-1000ではECLレベルのパラレル式(ITU-R BT.656)であったが、ソニーが同軸ケーブルを用いたシリアル伝送方式を開発し、2世代目のDVR-2000に実装し普及させた(SMPTE 259Mとして規格化。SDIと略される。)ため、のちの圧縮技術を用いた放送業務用デジタルVTRの多くがSDIをインターフェース規格として採用した。また、プロダクションスイッチャー等のビデオ編集・制作機器も「D-1信号」の「SDI」に対応した製品が普及している。 D-1 フォーマット概要※525/59.94/2:1インターレース方式の場合を“525”、625/50/2:1インターレース方式の場合を“625”と付記。
前述の様に当時最高画質のSDTV用VTRであったが、8bitで量子化するフォーマットだったため ポストプロダクションでの画面合成(キーイングなど)には十分とは言えず、その後10bit量子化のD-5 VTRやDigital BETACAM VTRなどの商品化に繋がった。 規格名称
脚注
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