H&K XM8
H&K XM8は、アメリカ軍の次期正式アサルトライフルとしてドイツのH&K社で開発されたアサルトライフル。XM29へ移行する間の穴埋めとして[1]、1990年代後半-2000年代前半にかけて開発が進められていた。 概要XM8は、H&K G36を基本設計に、強化プラスチックなどの新素材を多く使用し、時代を先取りしたような先進的なデザイン[1]をしているのが特徴である。プラスチック素材は自由な形に成型できるので、銃の形を人間工学的にデザインし、使用者の体に丁度良くフィットして自然な姿勢で射撃できるように工夫されている。そのうえ、銃の問題点である反動を軽減して命中精度を向上させることが可能である。 2005年に、アメリカ陸軍が次期制式アサルトライフルとして同銃を発表したが、同年4月に採用は保留とされた。その後、10月31日には正式に採用を中止し[1]、今後の動向は未定となった。なお、H&K社はPMCに対し営業活動を行っている[2]。軍事組織で採用が確認されているのはマレーシア海軍の特殊部隊PASKALのみとなっている。 しかし、現在は月刊アームズマガジン(2011年11月号)において「生産は終了している」とされている。 性能従来の銃と異なる一番の特徴は、部品交換によりアサルトライフルからカービンや分隊支援火器として使用できるように改造が可能な点である。部品交換は容易に行える設計になっており、道具を使わず素手で行える[3]。 直銃床の設計が優れているため反動が小さく、銃口の跳ね上がりも少ないので、フルオート射撃でも優れた命中精度を誇り、片手でのフルオート射撃も可能としている。 M16系の機関部に直接発射ガスを吹き付けて作動させる方式と異なり、AR-18に類似した通常のガスピストン方式(発射ガスに押されたピストンが機関部を動作させる)なので銃内部が汚れにくい。そのため、連続2,000発の射撃を行った後でもクリーニングを必要とせず[3]、汚れにも強い。事実、2007年7月に行われたXM8、HK416、SCAR-L Mk.16、M4A1の4丁の信頼性比較テストでは、最も優秀な成績を収めている。 ちなみに、テストの内容は各銃10丁を25時間にわたって汚し、その後、銃を6千発発砲するというものである。 テスト結果/排莢不良回数[4]
付属品・オプション銃上部に付いたISM(多機能先進サイト・モジュール)は、ドットサイト式赤外線ポインター(倍率は1倍)、光学サイト(4倍)、赤外線照射装置を装備する。キャリングハンドルを兼ねるブリッジは取り外しが可能で、リアサイト、フロントサイトを内蔵している。コッキング・レバー、マガジン・レバーは両方とも左右どちら側でも操作が可能で、機関部両側にモード切替レバー(安全装置/射撃モード)が取り付けられているなど、左利きの射手にも対応可能な造りとなっている。排莢口は右側面のみだが、その後ろには排出された薬莢を前方へ反射させる突起があるため、やはり左肩からの射撃が容易である。 銃床は、5段階に伸縮が可能なバットストックで、取り外しが可能。ハンドガードは人間工学に基づいた設計をしており、対高温であるため銃身の熱を遮断する他、前端の下面には銃剣を装着する切り欠きがある。ピカティニー・コンバット・アタッチメント・ポイント(英語: Picatinny Combat Attachment Points, PCAP(ピーキャップ))と呼ばれるアタッチメント・ポイントは、各種アクセサリーをワンタッチで付け替えることができる。スコープやレーザーポインターといった照準機器はすべて同じ狙点になるよう設計されていて、交換・取り付け後に個別の零点規制(ゼローイング)を行う必要が無い。箱型弾倉はポリマー製で、金属製のマガジンよりも重量が30%軽くなっている[3]。箱型弾倉以外にも、100連装ドラム型弾倉も存在する。銃身はコールドハンマー製法[注 1]で作られており、長時間射撃・連続発射を繰り返しても命中精度への影響は少ないとされる[3]。 また、XM8の銃身下部には40mm グレネードランチャー「M320 グレネードランチャー」や、マスターキー仕様の12ゲージショットガン「レミントンM870」などが工具なしで装着可能[1]。 さまざまなオプション部品を取り付けても、同じ条件のM4カービンより2割ほど重量が軽いとされる[1]。 バリエーション
画像
登場作品映画
漫画・アニメ
ゲーム
脚注注釈出典関連項目外部リンク |