SDメモリーカード
![]() ![]() (上からSD、miniSD、microSD) SDメモリーカード(エスディーメモリーカード、英: SD Memory Card)は、フラッシュメモリーに属するメモリーカードである。SDカードとも呼ばれる。デジタルカメラ、携帯電話などの携帯機器やテレビなどの家電機器まで幅広く利用されている。 本項ではマルチメディアカード (MMC) を除く、互換性を持つ高機能化・大容量化・小型化の規格についても併せて解説する。 概要SDメモリーカードは、1999年8月25日に松下電器産業(現・パナソニック)、サンディスク(現・ウエスタンデジタル)、東芝(現・キオクシア)によって構成されたSD Groupによって開発・発表された。2000年1月7日には、関連団体である「SDカードアソシエーション (SD Card Association, SDA)(現・SDアソシエーション (SD Association, SDA)」がアメリカ合衆国カリフォルニア州[1]に設立された。 SD規格のロゴは1990年代前半に東芝が開発した。ソニー・フィリップス陣営の対抗規格に競り勝つ形でDVDの原型となった光ディスク「Super Density Disc」のために制作されたもので、ロゴ内の「D」は光ディスクの意匠がある。 デジタル著作権管理を目的としてSDMI (Secure Digital Music Initiative)によって制定されたSDMI仕様に準拠したメモリーカードとして開発された経緯があるため[2]、「SD」の呼称について、かつてはSecure Digitalの略称であると説明していた[3][4]。しかしSDMIは強制力がある仕様ではなく対応機器が一部にとどまり普及しなかったため[5]、SDMIは2001年に活動を休止。このことから、2006年9月にSDメモリーカードの規格書がVer. 2.00に改版された際にはSecure Digitalの略称であるという説明が削除され、これ以降の版でも何かの略称であるという記述は存在しない。 2000年代にはマルチメディアカード・スマートメディア・コンパクトフラッシュ・メモリースティック・xDピクチャーカードなどの競合するメモリーカード規格が多数存在したが、ライセンス料を安価にしたり、miniSDなどの新しい規格をタイムリーに投入したり、携帯電話に搭載されるといった後押しもあり、2005年8月時点での日本国内でのSDカードの販売シェアは64.9 %と圧倒的多数を占め[6]、メモリーカード規格の主流になることができた。
発表当初からのSDカードは全て、SDMI仕様で規定された著作権保護規格CPRMに対応していたが、SD 6.1においてオプションとなり非対応カードも販売されるようになった。対応カードにおいてはCPRM機能に加えて、参照不可能な著作権情報管理用領域(プロテクト領域)が設けられており、メディアとして実際に使用できる容量とは若干の差分が存在する。 SPIモードがあり、低速で良いのであればSPIバスにて簡単に複数のデバイスを接続できる。製品に対応スロットが用意されている場合でも、SDメモリーカードの容量や製品との相性問題の関係で使用できない場合がある。
miniSDカードminiSDカード(ミニエスディーカード)は、SDメモリーカードの小型版で、端子が2ピン追加され11ピンとなっている。サンディスクが2003年(平成15年)3月に発表した。 SDメモリーカードとは電気的に互換性があり、端子の変換のみの簡易な構造のアダプタに装着することでSDメモリーカードとしても利用できる。実際に販売されているminiSDカード製品の多くは、アダプタを同梱している。 2006年(平成18年)には一時、SDメモリーカードの売り上げの半分以上がこのminiSDになった。当時日本では主に携帯電話端末向けに利用されていたが、その後はより小型化されたmicroSDカードへの移行が進んだ。2007年(平成19年)後半にはほとんどの端末にmicroSDカードが採用されるようになり、2008年(平成20年)頃にはminiSDカードの販売数は減少に転じた。microSDカードをminiSDカードに変換するアダプタの存在によりmicroSDカードで代替可能なことも、miniSDカードの市場規模縮小に拍車をかけた[8]。 ソニーグループの製品では、以前はメモリースティックを外部メディアとして採用することが多かった。携帯電話メーカーSony EricssonもSO902iとSO902iWP+まではメモリースティック PRO Duoを採用していたが、2006年発売のSO903iではメモリースティック PRO DuoとminiSDの両規格に対応した外部メモリースロットを搭載した。同社は2007年発売の後継機SO903iTV以降、メモリースティック、miniSDのいずれも廃止し、microSDに移行している。
microSDカード![]() ![]() microSDカード(マイクロエスディーカード)は、SDアソシエーションによって2005年(平成17年)7月13日に承認されたフラッシュメモリ型電子媒体である。サンディスクが2004年(平成16年)2月に開発したトランスフラッシュ(TransFlash; TFカード)の仕様を引き継いだもので、名称は異なるが媒体そのものは同じである。 外形寸法は、11 mm × 15 mm × 1 mmと、SDメモリーカードの1/4程度、汎用品として使われているリムーバブルメディアの中で最も寸法が小さい。miniSDの場合と同様に、SDメモリーカードとは電気的に互換性があり、microSDカードを変換アダプタに装着することによって、SDメモリーカードまたはminiSDカードとして利用することができる。 携帯電話での利用日本国外では当初モトローラの携帯電話を中心に採用されていた。日本ではボーダフォン 日本法人(現・ソフトバンク)のVodafone 702MO、Vodafone 702sMO(いずれもモトローラ製)にTransFlash規格で採用され、日本のメーカーからも2006年(平成18年)1月に開発が発表されたVodafone 804Nを皮切りに、続々と対応端末が登場した。本体の小型化・薄型化にも貢献できるため、miniSDに替わって主流となった。 auの2006年(平成18年)秋冬CDMA 1X WINモデルではメモリースティック Duoに対応のW43SとW44SおよびminiSDに対応のW41SHを除く全てが、NTTdocomoでもSO903iを除く903iシリーズがmicroSD専用スロットを搭載した。こうした背景のもと、2007年6月にはSD陣営でのシェアトップに君臨する規格となった[8]。 小型大容量化によって頻繁な着脱を想定せず、電池パックの内側にmicroSDカードスロットを設ける端末が多い。スマートフォンでは、SIMカードと同じトレイに乗せて挿入する機種も多く見られる。 携帯電話以外での用途携帯電話以外にデジタルオーディオプレーヤーなどにも容量増設用としてmicroSDスロットが設置されているものもある。 日本では2009年(平成21年)から映像ソフトウエアの媒体としても使用されるようになった。映画などがDVD-Video、Blu-ray DiscとmicroSDとのセットまたはmicroSD単体で販売されている。ワンセグ放送と互換性のあるフォーマットで収録されており、広く普及しているワンセグ対応携帯電話などで手軽に再生できる。 また、小型のUSBメモリのなかには、狭義のUSBフラッシュドライブの構造ではなくmicroSDカードと小型のmicroSDカードリーダーを組み合わせることで記憶装置を構成している製品も存在する[9]。 規格形状(フォームファクタ)SDメモリーカードは、マルチメディアカード (MMC) に近い形状を持っており、SDメモリーカード用スロットは物理的にMMCも挿入可能な互換性を持つ。そのため、SDメモリーカードを使用している機器では、マルチメディアカードも利用できることが多い。 当初の規格では端子は1列のみであったが、SD 4.00で規定されたUHS-IIから2列目の端子が追加された。従来の端子を第1ロウ、UHS-II以降で追加された端子を第2ロウと呼ぶ。
SDメモリーカードのロックSDメモリーカードにはロック機能(書き込み禁止スイッチ)がついており、カード側面のツマミをロック位置に移動させると、データの削除 / 上書きを禁止することができるとされている。ロックのツマミが書き込み可能位置に存在することを検出し「書き込みが可能である」と判定している。ツマミの位置は接続される機器側で物理的に検出しており、カード内部の電気回路とは接続されていない。このため、USBアダプタなど機器側でロックを検出しないこともあり、その場合はスイッチの意味は全く無い。 2018年にはハギワラソリューションズにより、誤操作防止としてロックスイッチを廃したSDメモリーカードが発売されている[11]。 SDアプリケーションフォーマット各種用途に合わせたSD規格が制定されている[12]。
→「ワンセグ」も参照
など。 また、PRO CARDと呼ばれるパナソニックの独自規格カードがあり、同社製の業務用高機能電子レンジ(マイクロウェーブ解凍機・マイクロウェーブコンベクションオーブンなど)でメニューを記憶させる専用のカードである。これらの機器に市販のカードは使用できない。 容量SD(SDSC)![]() SDSC[13] (SD Standard Capacity) は2000年のSD 1.01で規定された当初の規格。最大容量は2 GiBである[14]。これは、SDメモリーカードでの事実上の標準的なファイルフォーマットとしてFAT16が用いられ[注 3]、その規格上の最大ボリュームサイズが最大で2 GiBまでに制限されているためである。過去には2 GiBを超える製品も存在したが、SDメモリーカード規格外なので使用できる製品がごく一部に限られている(現在では通常、2 GiBを超える製品は後述のSDHC、SDXC規格が使用されている)。 SDメモリーカードは、非常に簡素な構造と技術とを採用し、扱いやすい大きさ、形状、側面の誤消去防止用の物理プロテクトスイッチ、SD Music Initiative (Secure Digital Music Initiative, SDMI) 適合の著作権保護機能など、家庭電化製品(家電など)への幅広い用途を直接意識した機能が特徴である。これは、ソニーなどが推進するメモリースティック(1997年(平成9年)7月17日発表)と直接競合した。 SDHC![]() SDHC (SD High Capacity) は2006年のSD 2.00で規定され、ファイルシステムをFAT32に対応させたことで最大32 GiB[14]までの大容量化が可能となった。 物理的な寸法は従来のSDメモリーカードと同一で、上位互換性を保持しているため、SDHC対応機器でSDメモリーカードを扱うことができる。追加された仕様[15]により下位互換性は存在しないため、旧来のSDメモリーカードのみに対応した機器はSDHCメモリーカードを扱うことはできない。ただし、物理的な寸法と電気的な仕様は互換性があるため、SDHC規格よりも前に発売されているデジタルカメラ、メモリーカードリーダー、パソコンの一部はファームウェアやドライバのアップデートによってSDメモリーカードの上限の2 GiBを超える容量の認識、利用が可能になっている。同様に、SDメモリーカードにしか対応していないノートパソコンでもWindows XP SP3へアップデート、ホットフィックスの適用、またはそれ以降のOSへアップグレードすることで内蔵のSDカードスロットが2 GiB以上の容量を認識可能となる場合がある。
SDXCSDXC (SD eXtended Capacity) は2009年(平成21年)のSD 3.00で規定された。ファイルシステムにexFATを採用し最大容量は2 TiBとなった[14]。 物理的な寸法は旧来のSDメモリーカード規格と同一で、上位互換性を保持しており、SDXC対応機器でSD / SDHCメモリーカードを扱うことができる。SDXCではSDXCとmicroSDXCの2種類の形状になる。miniSDXCの規格自体は仕様書に存在しているが、マーケティング上現実的でないという理由から省かれている。 旧来のSDHC対応機器でSDXCメモリーカードをFAT32でフォーマットし使用することも可能である。ただし、Windows標準のフォーマッタを使用した場合、実装上の問題から64 GiB以上のSDXCメモリーカードであっても利用できる上限容量は32 GiBとなる(サードパーティー製のフォーマッタを使用することで、1ファイルあたりの容量は4 GiBまでに制約されるものの回避可能である)。 FAT32とexFATの違いを理解しないでexFATファイルシステムのままのSDXCカードをSDXC規格非対応製品に挿入することは危険で、メーカー側も使用を推奨しておらず[16]、あくまでも自己責任的な使用になる。実際、SDXC規格非対応の携帯電話やスマートフォンにmicroSDXCカードを挿入した結果、microSDXCカードが使用不能になる事態が相次いで報告されている。物理的な破損ではないため、SDXC規格対応製品でフォーマットし直せばカード自体は回復するが、それまでにカードに保存されていたデータは消滅する。 2012年6月にNTTドコモがそれに関する通知[17]を発表し、その現象を回避するソフトウェアアップデートの配布を行なっている。なお、ソフトウェアアップデート後も、非対応機種では引き続き使用できない。 なお、2022年(令和4年)10月現在のところ、exFATを扱えるのはMicrosoft Windows XP SP2以降(更新プログラム (KB955704) 適用)、Microsoft Windows Vista SP1以降、Microsoft Windows 7、Microsoft Windows 8、Microsoft Windows 8.1、Microsoft Windows 10、Microsoft Windows 11の各種Windows OS、またはWindows CE 6.0、Mac OS X v10.6.4以降に限られ、パソコンやモバイル環境によっては利用できない。2009年(平成21年)1月現在、Linux系などのサポートに関しては、マイクロソフトからの発表はない。CES 2009 News release DS AssosiationにもSDXCメモリーカードに関する概説のみが発表されており、サポートOS、周辺機器などに関する記述はない。 なお、Linuxについては、FUSEを利用した実装が存在[18]し、Ubuntuなどのディストリビューションの最新版で利用できる。 AppleのMac製品には2010年(平成22年)新発売から、従来はなかったSDカードスロットが内蔵されはじめ、SDXCにソフトに対応、iMac (Mid 2010) 以降のモデルにはハードも対応。また接続は内部USBではなく、PCI Express 1レーン接続になっている。 SDXCメモリーカードの規格上の最大容量は2 TiB (2048 GiB) で、転送速度はロードマップ上にて将来的に最大300 MB/sの高速な転送を可能にするとしている。また、SDHCとEmbedded SD、SDIOにも転送速度高速化の規格と技術が採用される予定である。 2009年の時点では製品化の目処が立っていたのは最大256 GiBまでであり、それ以上の容量は技術革新が必要な状態となっていた[19]が、2020年時点ではSDXC・microSDXCとも最大1 TiBまでの大容量カードが発売されており、転送速度は製品にて最大160 MB/s実装可能となっている。 SDUCSDUC (SD Ultra Capacity) は、最大容量128 TiB[14]に対応する規格として2018年のSD 7.00で規定された。ファイルシステムはSDXCメモリーカードに引き続きexFATを採用している。従来のSDメモリーカードとの後方互換性を有する[7]。 最大転送速度(バスインターフェーススピード)
通信速度に関する規格であり、いわゆる理論最大値である。 なお、一部の製品にみられる「XX倍速」という表記はSDアソシエーションの規格によるものではない。一般には、コンパクトディスクの転送速度である150 KB/sを「1倍速」として転送速度を表記している。 DS(デフォルトスピード)2000年のSD 1.01で規定された当初のモード。後述のHSの登場に伴って名称がつけられた。ノーマルスピードとも呼ばれる。最大転送速度は12.5 MB/sで、対応メモリーカードにモードを示す表記はない[20]。 HS(ハイスピード)2004年のSD 1.10で規定されたモード。バススピードは25 MB/sで、モードを示す表記は規定されていないが製品によって「Hi-Speed」等の表記がなされた[20]。 UHS-I2010年のSD 3.01で規定されたモードで、UHSはUltra High Speedの略。SDR12、SDR25、SDR50、DDR50、SDR104の4つのスピード区分があり、最大転送速度はそれぞれ12.5 MB/s、25 MB/s、50 MB/s、50 MB/s、104 MB/sとなる。規格上はUHS50カードとUHS104カードが規定され、UHS50カードはSDR104をサポートしないため最大転送速度は50 MB/s、UHS104は全てをサポートし104 MB/s。UHS-Iに対応するカードにはSDメモリーカードロゴマークの右横下に「I」と印字される[21][20]。 UHS-II![]() 2011年のSD 4.00で規定されたモード。常に双方向通信を行うFD(Full Duplex)モードとデータ送受信時は片方向通信を行うHD(Half Duplex)モードがあり、最大転送速度はそれぞれ156 MB/sと312 MB/s。対応カードにはSDメモリーカードロゴマークの右横下に「II」と表記される。対応カードのピン数は増加しているが後方互換性は確保されており、従来の機器と組み合わせた場合は遅い側のモードに合わせて動作する。[21][20]。 UHS-III2017年のSD 6.00で規定されたモード。HDモードが削除されFDモードのみとなり、最大転送速度は624 MB/s。UHS-II同様、下位互換性を備えるためピンは2段に配置され、従来同様の転送も可能。対応カードにはSDメモリーカードロゴマークの右横下に「III」と表記される。[20][22]。 SD Express2018年のSD 7.00で規定されたモード。PCIe 3.0とNVMe 1.3を採用し、PCIe 3.0 x1レーンで最大転送速度985 MB/sを実現した[20][23]。 2020年のSD 8.00でPCIe 4.0およびNVMe 1.4に対応し、新たにPCIe 3.0 x2レーンまたはPCIe 4.0 x1レーンによる最大転送速度1970 MB/s、PCIe 4.0 x2レーンによる3940 MB/sに対応した[20]。 PCIe 3.0 x1レーンまたはPCIe 4.0 x1レーンによる転送はUHS-II / IIIと同形状のメモリーカードで対応するが、PCIe 3.0 x2レーンおよびPCIe 4.0 x2レーンによる転送はさらにピン数を増やした新形状のカードでのみ可能である。またピンアサインの関係でUHS-II / IIIとSD Expressは排他であり、SD Express対応カードをUHS-II / III対応機器に挿入するとUHS-Iとして動作するため大幅に転送速度が低下する[20][24]。 スピードクラススピードクラス2006年のSD 2.00において、SDHCカードの規格策定と同時にデータ転送速度の目安としてスピードクラスも策定された。統一された基準を元にこのスピードクラスのロゴを明示することで、消費者がその用途にあったスピードクラスのカードを選択可能にするとしている。SDカードではオプション扱いだが、SDHCカードではスピードクラスの規格に準拠することが義務付けられている。SD 2.00では2、4、6の3種だったがSD 3.00で10が追加された。各スピードクラスに準拠した製品は、Cの中に各クラスに対応した数字が書かれたロゴマークを表示することができる[25]。 定められた単位の未使用領域(=汚れ率0 %のAU)に定められた記録方法で書き込みを行ったとき、カードごとの最低保証レートは以下のようになる。
※ Class 10は後で規格化されたため、HighSpeedモードをサポートしていないハードウェアでは最低速度が保証されない。 UHSスピードクラスUHSスピードクラスは2010年のSD 3.01で規定されたもので、当初はU1のみだったが2011年のSD 4.00でU3が追加された。準拠する製品はUの中に対応する数字が書かれたロゴマークを表示することができる。
ビデオスピードクラスビデオスピードクラスは2016年のSD 5.00で規定されたもので、V6, 10はHSおよびUHS-I / II / III対応カード、V30はUHS-I / II / III対応カード、V60, 90はUHS-II / III対応カードで実装可能である。
アプリケーションパフォーマンスクラスAndroidスマートフォンなどで、アプリケーションをインストールしたりデータを格納する場合、ランダムアクセスやシーケンシャルの性能が求められるようになり、アプリケーションを快適に利用するための規格として策定された[27]。 SD Ver.5.1で、ランダムリード1500IOPS、ランダムライト500IOPSのアプリケーションパフォーマンスクラス1(A1)が策定された。 SD Ver.6.0で、ランダムリード4000IOPS、ランダムライト2000IOPSのアプリケーションパフォーマンスクラス2(A2)が策定された。 SDIOSDにはメモリーカード規格の他、SDIOと呼ばれるI/Oインターフェースを想定した規格もある。標準での電流容量はStandard-Power SDIOとして200 mAまでだが、High-Power SDIOとして500 mAまで拡張できる。
Embedded SDSDメモリーカード仕様をベースにしたデジタル機器内蔵メモリ用規格、さまざまな機器で共通のI/Oインターフェースを利用しSDメモリーカードとの互換性を高めることを目的としている[29]。 改竄防止機能付きSDメモリーカード[ライトワンス (Write Once) SDメモリーカード]捜査機関へのデジタルスチルカメラの浸透は早かったものの、メモリーカードの内容『改竄』問題はずっとついて回った[30]。そこで捜査機関や法執行機関等向けに上書き保存機能を無効化したSDメモリーカードが提供されるようになった[31][32]。 メモリーカード市場シェアの変遷携帯電話におけるメモリーカードのシェア日本の携帯型電話機分野では、2000年(平成12年)12月にDDIポケット(現・ワイモバイル)が発売した九州松下電器(現・パナソニック システムネットワークス)製のPHS端末「KX-HS100」で初めて採用された。携帯電話では2002年(平成14年)3月にJ-フォン(現・ソフトバンク)が発売したシャープ製端末「J-SH51」で採用、その後日本の他キャリア・メーカーに波及した。 2003年(平成15年)にminiSDカードが発売されるとフルサイズのSDカードにかわりこちらの採用が多くなり、NTTドコモが10月21日に発表した「505iS」シリーズでは当時首位のNEC、松下電器産業を含む4社がminiSDカードを採用。ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(現・ソニーモバイルコミュニケーションズ)、三菱電機の2社が採用した小型版メモリースティック「メモリースティック Duo」に対して優勢となった。また、三菱電機も「901i」シリーズではminiSDを採用し、以後は機種毎のコンセプトに合ったメモリーカードを選択するようになっている。 microSDカードは、2004年(平成16年)にモトローラ製端末Vodafone 702MO、Vodafone 702sMOに採用(当時の名称はトランスフラッシュ)されてからは、日本国内での普及が中心のminiSDを置き換えるかたちで米国・日本での採用が進み、au(KDDI / 沖縄セルラー電話連合)では2006年秋モデルではほとんどの機種をmicroSDカードに対応させた。対抗規格である「メモリースティック マイクロ」の採用例は日本国内ではW52Sのみにとどまり、しかもW52S自体も変換アダプタによりmicroSDに対応したこともあり、microSDの優勢は確固たるものとなった。他社も追従する形で2007年(平成19年)以降、携帯電話の外部メモリースロットが対応するサイズはmicroSDカードとなった。 一貫してメモリースティックを採用し続けていたソニー・エリクソンも、SO903iではメモリースティックDuoとminiSDカードの両対応とした。それ以降、同社が日本市場向けに供給している端末はほぼ全てmicroSDを採用している。 デジタルカメラにおけるシェア![]() SDメモリカードは規格として後発だったため、当初は他のメモリーカード規格に対してシェアや出荷数で大きな差をつけられていた。 2003年(平成15年)には最大のライバルであるメモリースティックとのシェアが逆転する。この年は、小型・薄型のコンパクトデジタルカメラに不向きな大柄のコンパクトフラッシュからの規格変更を最後まで決めかねていた、老舗カメラメーカーのニコンとキヤノンが相次いでSDカードの採用を決定し、コンパクトデジタルカメラ分野での大勢も決した。 デジタル一眼レフカメラでは、コンパクトフラッシュの大きさがそれほど問題にならないことと、主にプロの現場で使われるため容量・転送速度・信頼性の問題から、2013年現在でもコンパクトフラッシュが標準的なメディアである。ただし、デジタル一眼レフにもSDカードを使用する機種があり、ペンタックスでは*ist Dを除く全機種で、ニコンではD40 / D40x・D50・D80・D90・D300s(CFとのデュアルスロット)で採用、またキヤノンではMark II以降のEOS-1D及びEOS-1DsでSDカードとコンパクトフラッシュのデュアルスロットを採用している。 2007年(平成19年)春にはこれまでxDピクチャーカード陣営の中心だった富士フイルムがSDカードとxDピクチャーカードのどちらか一方を使えるデュアルスロット搭載という形でSDカードが使えるコンパクトデジタルカメラを発売。2009年(平成21年)にはデュアルスロットを撤廃してSD / SDHCカードのみの対応とした機種も発売された。2007年(平成19年)冬にはxDピクチャーカード陣営のもう一つの中心だったオリンパスも一部機種でアダプタによりmicroSDに対応する機種を発売、2010年(平成22年)1月発売のFE-47・μTOUGH-3000以降の機種でSD / SDHCカード対応になった。またソニーも2010年(平成22年)以降SDカードとメモリースティックのデュアルスロットに対応したデジタルカメラを発売し事実上、主要メーカー全てがSDカードを採用することになった。 コンパクトデジタルカメラでは、microSDをアダプタなしで使用できる機種も存在する。 デファクトスタンダードとしてのSDカード![]() 2003年(平成15年)頃からSDカードが優勢になってきていたものの、しばらくはデファクトスタンダードと言えるほどの差をつけられていなかった。しかし2005年(平成17年)から携帯電話でのminiSD規格の採用が増加してきたこともあり、シェアを徐々に拡大。2006年(平成18年)にはメモリーカードシェアの約7割を獲得したデータがある[33]。またmicroSDは2007年1月に日本国内の販売シェアでminiSDを抜いた[8]。 2008年(平成20年)では、BCNランキングによるとメモリーカードシェアの7割以上をSD系列が占めている(microSD 40.6 %、SDカード33.1 %)[34]。 家電量販店などのメモリーカードコーナーでもSD系列メディアは最も品揃えが豊富であり、身近な小売店としてコンビニエンスストアなどでも購入が可能な場合もある。2009年(平成21年)時点ではUSBメモリと並び、最も有力なフラッシュメモリメディアとして普及している。 ほかにゲーム機では、任天堂は松下電器産業(現・パナソニック)との提携でニンテンドー ゲームキューブ対応のSDカードアダプタを発売したほか、ゲームボーイアドバンスSPの周辺機器「プレイやん」やWii、ニンテンドーDSi、ニンテンドー3DS、Nintendo Switch(MicroSDXCカード 2 TiBまで)にもSDメモリーカード規格を採用している。 このような市場動向から、消費者がデジタルカメラ、ビデオカメラなどを購入する際にSDカードを使えることが商品選択の際の一つのポイントとされることがある。そのため、先述した自社規格であるメモリースティックを抱えるソニーも、自社製パソコンおよびPlayStation 3(初期の一部のモデルのみ)にSDカードスロットを、携帯電話ではmicroSDやminiSDを採用するなどして消費者のニーズに応えている。同社はSDメモリーカード対応のデジタルカメラ(一部のデジタル一眼レフカメラを除く)や、SDメモリーカード単体の発売はしていなかったが、2010年(平成22年)1月からSD / SDHCカード及び、携帯電話向けのmicroSD / microSDHCカードの発売を開始し、2011年(平成23年)からはソニー製でもSDメモリーカードのみに対応しメモリースティックには対応しない製品が登場している。また、規格化されたばかりのSDUC規格に対応した機器については2019年7月7日現在、日本では存在していない。 欠点
著作権保護SDカードは、違法コピーが蔓延するCDに代わり、著作権保護機能を前面にアピールしたセキュアなメディアとして登場した。しかし、SDMIはもとより、途中から追加されたCPRMも、対応製品が発表される前に違法コピーされていた。SDXC及びSDUCでは、CPRMを強化(ただし互換性はない)したCPXMに対応した。 特許関連SDカードには複数の特許が絡む。PCでは特許料不要でUSB端子を用いるUSBメモリが一般化しており、ライセンス契約などによる製造コストの増加を懸念し、SDカードスロットの搭載を見送るメーカーも存在する。ただ、デジタルカメラの写真などを取り込むといった需要があることから、ホームユーザー向けPCへの搭載は増えている。 加えて、LinuxなどのオープンソースOSでは、同様に特許の関係で、ドライバなどのソフトウェア的な実装自体は行われているものの、標準では使用できないようになっている。このため、Linuxなどを販売する商用ディストリビュータが、個別で特許契約した上で、各自の判断で有効化する必要がある。これもほとんどのLinuxディストリビューションで有効化されている。 ただし、FreeBSDは、特許問題のない下位互換規格である「マルチメディアカードの例外的な実装」と位置付けし「SDメモリーカードではない」と主張、実装が行われている。 転送速度SDHCカードはSDスピードクラスの制定によって現在[いつ?]の最高速度の規定が「Class 10のカード:10 MB/s (80 Mbps) 以上の速度」であり、またSDXC規格にて最大300 MB/sを目指している。しかし、コンパクトフラッシュでは2006年(平成18年)5月のCF Spec. Rev 4.0で、ATA/ATAPI-7のUDMA 6の最大888倍速133 MB/sの転送速度を公称しており、転送速度の面でSD規格のカードはこれに及ばない。この転送速度差は書き込み速度に直結するため、高速な転送速度を要求される高級デジタルカメラにコンパクトフラッシュが採用され続けている理由になっている。 その他以下は、SDカードを含むすべてのメモリーカード規格でも生じうる欠点である。
参考文献
脚注注釈出典
関連項目外部リンクInformation related to SDメモリーカード |