クロスグリ(黒酢栗、別名クロフサスグリ、英名ブラックカラント (Blackcurrant)、学名 Ribes nigrum)は、小さな食用の果実をつける温帯性の落葉低木。カシス(仏: Cassis)とも呼ばれる。果実は黒に近い濃紫色で、ビタミンCやアントシアニンが豊富。他のスグリの仲間と同じく、スグリ科スグリ属に分類される。
生産
カシスの世界最大の産地はポーランドで、毎年10万トンから14万5千トンの収穫高があり、これは世界全体の収穫高の約半分を占める。ポーランドは同時に輸出高でも世界最大である[1]。またポーランドは品種改良も盛んで、頻繁に新品種を生み出している[2]。
日本では11トンの収穫量があり、青森県が7.7トンとフサスグリ国内最大の産地となっている[3]。
利用法
クロスグリの実はかすかな苦味をもち、ゼリー、ジャム、アイスクリーム、コーディアル、リキュール、ドライフルーツなどに利用される。イギリス、ヨーロッパ、イギリス連邦諸国では、クロスグリの風味を加えたり、干した果実を加えたクッキーなどの菓子が多数存在する。しかし、同じブランドの製品でも北アメリカでは、この風味が取り除かれていることが多く、代わりに利用しやすいブドウ味が使用されている。日本国内ではクロスグリの風味を活かしジャム、飴、ケーキ、ジュース、お茶、ワイン、サプリメントに加工されるなど利用[4][5]されている。
また、クロスグリを使った飲み物は様々なものが販売されているが、国によって呼び方が異なる。
- 酒場では、クロスグリのコーディアルは単に「ブラック」と呼ばれる。例えば、「ウォッカ・アンド・ブラック」「スネークバイト・アンド・ブラック」「ペルノー・アンド・ブラック」「ブラック・アンド・レモネード」など。
- 北アメリカでは、クロスグリのコーディアルを「クレーム・ド・カシス (仏: creme de cassis)」と呼ぶ。
- イギリスやフランスでは、「キール」などで用いるクロスグリのリキュールを「クレーム・ド・カシス」と呼ぶ。
- オランダでは、赤い色のクロスグリ味のソフトドリンクをカシスと呼ぶ。
- イギリスのグラクソ・スミスクライン社は「ライビーナ」という商品名のクロスグリのコーディアルを生産している。ライビーナはイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、香港などで販売されており、とても甘いが、主に子供向けの「健康飲料」として販売されている。
アガサ・クリスティの創作したベルギー人の名探偵エルキュール・ポアロは、しばしばクロスグリのシロップを飲んでいる。
成分
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
クロスグリに関連するメディアがあります。
脚注
外部リンク