中原 佑介(なかはら ゆうすけ、1931年8月22日 - 2011年3月3日[1])は、日本の美術評論家。京都精華大学学長、同大学名誉教授。
経歴
兵庫県神戸市生まれ。本名は江戸頌昌(えどのぶよし)。神戸一中、旧制三高、京都大学理学部卒、京都大学大学院中退。湯川秀樹研究室で理論物理学を専攻していたが、在学中の1955年美術評論が雑誌に掲載されたのを機に、美術批評家となる。
1970年に第10回日本国際美術展「東京ビエンナーレ」(通称「人間と物質」展)のコミッショナー、1976年と1978年にベネチア・ビエンナーレのコミッショナーを務めた。1990年3月から9月まで水戸芸術館美術部門芸術総監督を務めた。その後京都精華大学教授となり、2002年に退任して京都精華大学名誉教授となった。2006年4月から2010年3月まで兵庫県立美術館長を務め、2008年1月には国際美術評論家連盟会長に就任した。東野芳明、針生一郎と並んで「美術評論の御三家」と呼ばれた[2][3]。2011年3月3日、79歳で死去[1]。
著書
- 『ナンセンスの美学』 現代思潮社, 1962
- 『現代彫刻』 角川書店〈角川新書〉, 1965
- 『見ることの神話』 フィルムアート社, 1972
- 『人間と物質のあいだ 現代美術の状況』 田畑書店, 1972
- 『ナンセンス芸術論』 フィルムアート社, 1972
- 『大発明物語』 美術出版社, 1975
- 『現代芸術入門』 美術出版社, 1979
- 『ブランクーシ Endless beginning』 美術出版社, 1986
- 『80年代美術100のかたち INAXギャラリー+中原佑介』 INAX, 1991
- 『兵士の物語』 山本容子絵, 評論社, 1992
- 『一九三〇年代のメキシコ』 メタローグ, 1994
- 『関係と無関係 河口龍夫論』 現代企画室, 2003
- 『中原佑介美術批評選集』現代企画室(全12巻予定)
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- 2011から刊行中(2022までに10冊刊)
- 第1巻:創造のための批評 戦後美術批評の地平
- 第2巻:日本近代美術史 西洋美術の受容とそのゆくえ
- 第3巻:前衛のゆくえ アンデパンダン展の時代とナンセンスの美学
- 第4巻:「見ることの神話」から アイディアの自立と芸術の変容
- 第5巻:「人間と物質」展の射程 日本初の本格的な国際展
- 第6巻:現代彫刻論 物質文明との対峙
- 第7巻:メディアとしての芸術 漫画・デザイン・写真・映像
- 第8巻:現代芸術とは何か 二〇世紀美術をめぐる「対話」
- 第9巻:大発明物語 芸術と科学的思考
- 第10巻:社会のなかの美術 拡張する展示空間
- 第11巻:作家論(未刊)
- 第12巻:資料編(書誌や年譜ほか、未刊)
共編著
- 『現代の美術 art now』-「1 先駆者たち」ほか、講談社(全12巻・別巻) 1971-73
- 高階秀爾と企画共編、別巻は『現代美術の思想』、巻末に全巻・図版索引
- 『世界の名画 24 モンドリアンと抽象絵画』中央公論社 1974。中村真一郎、高階秀爾と分担解説
- 『グランド世界美術 23 ピカソとマチス 立体派と野獣派』講談社 1974
- 『ピカソ全集 8 彫刻5』講談社 1982
- 『クリスト Christo works 1958-1983』草月出版 1984
- 『現代世界の美術 19 デルヴォー』集英社 1986
- 『ヒトはなぜ絵を描くのか』フィルムアート社 2001
- 『美術と展示の現場』新宿書房 2008
- 秋元雄史、笠原美智子、増田玲(共著)、神戸芸術工科大学デザイン教育研究センター(編)
翻訳
- カルヴィン・トムキンズ『花嫁と独身者たち 現代芸術五人の巨匠』 高取利尚共訳 美術出版社 1972
- エンリコ・クリスポルティ『現代の絵画 20 現代のイギリス絵画』 川名公平共訳 平凡社 1973
- ローズリー・ゴールドバーグ『パフォーマンス 未来派から現在まで』 リブロポート・アール・ヴィヴァン選書 1982.11
- エリック・シェインズ『コンスタンチン・ブランクーシ』 水沢勉共訳 美術出版社 (モダン・マスターズ・シリーズ) 1991.2
- 『ウォーホル日記』 パット・ハケット編、野中邦子共訳 文藝春秋 1995.12 / 文春文庫(上下) 1997.1
脚注
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外部リンク