山崎 元(やまざき はじめ、1958年5月8日 - 2024年1月1日)は、日本の経済評論家。国家公務員共済組合連合会資産運用委員会委員[1]、株式会社マイベンチマーク代表[2][注 1]、楽天証券経済研究所客員研究員(2005年~2023年3月)、獨協大学経済学部特任教授(2010年度〜2015年度)[3]。
専門分野は資産運用及び経済全般の分析。お金の運用、経済一般、転職と自己啓発といった分野で活動していた。
経歴
北海道札幌南高等学校、1981年に東京大学経済学部卒業後、三菱商事入社。以後、12回の転職(→野村投信→住友生命→住友信託→シュローダー投信→バーラ(en:Barra, Inc.)→メリルリンチ証券→パリバ証券→山一證券→第一勧業アセットマネジメント→明治安田生命→UFJ総研→楽天証券)をしている。山一證券在籍時の1997年、同社の自主廃業を経験する[4]。2005年、楽天証券経済研究所客員研究員に就任し、2023年3月に同社退職[注 2][注 3]。
2022年8月に食道がんを告知され闘病していたが、2024年1月1日、東京都内の自宅で死去した[5][6]。65歳没。
人物
ほぼ毎日酒を飲んでおり、特にウィスキーをストレートで飲むのを好んだが、2022年8月に食道がんを告知された後は酒を断った。飲酒や食事を十分に付き合えることはビジネス上有力な武器だと考えており、それはがんになった後も変わらなかったが、それでも飲酒のコストは小さくなく、「近年の「飲酒関連評価損益」はマイナスに傾いていた」[7]と2023年1月時点では評価していた。
主張
投資商品について
- 世の中にある運用商品の99%以上は、はじめから検討に値しないクズである[8]。
- 外貨建ての保険や投資信託などを売るセールスマンに外国通貨の先行きなどわかるはずもないし、そのセールスマンが属する会社の研究所やエコノミスト、運用のプロにも先行きはわからない。ブラックロック、フランクリン・テンプルトンなどグローバルな投資を行う一流の運用会社であっても、外国の国債や通貨の先行きはわからない。彼らがリスクの高い新興国の国債などに投資できる理由は、1つには分散投資ができるからその一部として投資できるのであり、もう1つには他人のお金だからだ。株価の下落を心配して株式を売り、株価が下がったところで買い戻そうといった試みは、プロがやっても成功しない場合のほうが多い[9]。
- 金融商品を買う場合「年間の総支払い手数料が0.5%を超えるものを決して買わない」と心に決めておくこと[10]。
公的年金への見解
- 公的年金は継続性に問題はないが、向こう30年くらいの間に2~3割程度縮小する。加えて、政府が言う所得代替率は、年金の受取額から差し引かれる税金、社会保険料を考慮していない名目額ベースのものなので、個人が将来生活の参考にするには問題があり、「手取りベースの所得代替率」を想定するにはさらに十数%のディスカウントが必要だ[9]。
- 「老後2000万円問題」以降、霞が関方面では使用を避けられる傾向にある言葉らしいが、「自助努力」は重要だ[9]。
金融機関に関する見解
- 銀行は決済業者と個人の帳尻を決済するだけで、個人の行動に関する情報を持てない。金融ビジネスの主なプレーヤーは、案外短期間で大きく入れ替わるだろう。当面は、キャッシュレス決済で誰が覇権を握って、データを保有するようになるのかに注目したい[11]。
- 金融機関が売ろうとしている「典型的なダメ投信」の商品と売り方の特徴を以下のようなものだと示している。(1)まず、「たとえば65歳で3500万円持っていても、資産を普通に取り崩すと、90歳になる前に資産が尽きます……」などと脅す。(2)次に、「上記のケースで、資産が3%の利回りで運用できると、110歳くらいまで『資産寿命』を延ばすことができます」と誘う。(3)商品は、「3%程度の利回りを目指す」などと、いかにもこれが良い資産寿命延命策であるかのように装う。(4)年金が入る偶数月ではなく奇数月に分配する商品が多い。高齢者に「安定的な現金収入のある生活」をイメージさせる。(5)商品は、販売手数料2%程度、運用管理費用年間1%程度のものが多い。(6)商品によっては、年間に運用資産額の「4%」「7%」「15%」などと、「資産の取り崩しニーズ」への対応を標榜するものもある。[12]
保険商品に関するアドバイス
- 貯蓄性の生命保険(外貨建ての終身保険など)のように実質的な手数料が明示されていないものや、自分で調べなければわからないものに関しては、「すべて」ダメだと考えていいと警鐘を鳴らしている[10]。
- 近年よく売られている外貨建ての生命保険など、すべて検討に値しない商品だと考えていいと述べている。手数料を知らずに商品を買うのは、控除率を知らずに馬券を買うくらい愚かなことであり、理性のある人間がすることではないと警鐘を鳴らしている[10]。
- 民間生保の「がん保険」は不要である。自分が将来がんに罹る確率と、どのくらいの出費が生じるかの推測と、これと保険料の負担の得失を考えると、加入者にとって損である[13]。自身が癌になっても、結論は変わらない[14]。保険料を毎月払うよりも、預金なり積立投資なりで蓄えたほうが合理的である[15]。
著書
単著
共著
監修
出演
テレビ
ラジオ
注釈
脚注
外部リンク