一般社団法人日本音声製作者連盟(いっぱんしゃだんほうじん にほんおんせいせいさくしゃれんめい、英: Japan Audio Producers' Association、略称:JAPA)は、音声制作を手掛ける企業が加盟する日本の業界団体。
概要
日本において音声制作を手掛ける企業のための一般社団法人[4]。音声制作会社にとっては、日本で唯一の業界団体である[4]。もともとは、労働問題を音声制作会社の立場から議論するために発足した組織であり、声優や翻訳者らの権利者組合と対峙し、団体協約などの交渉を重ねてきた。
紫水会(しすいかい)を前身とし、日本音声製作者連盟(にほんおんせいせいさくしゃれんめい)を経て、有限責任中間法人日本音声製作者連盟(ゆうげんせきにんちゅうかんほうじん にほんおんせいせいさくしゃれんめい)を改組し発足した。
特徴
日本音声製作者連盟は、音声制作業界の安定や発展を目指している[4]。日本語圏外で制作された映画、ドラマ、ドキュメンタリー、アニメーション、ゲームなどといった各コンテンツの吹替版の制作を手掛ける企業や[4]、日本語圏内で制作されたアニメーションやゲームの音響の制作を手掛ける企業などにより構成されている[4]。具体的な活動としては、関連団体との団体協約や覚書の締結と履行[5]、制作環境の改善[5]、音声制作物のデータベースの構築[5]、といった事業を展開している[5]。また、音声制作に関する広報[5]、音声制作に関する書籍の刊行[5]、音声制作の振興[5]、などといった事業も手掛けている。そのほか、イベントへの協賛や後援なども行っている[5]。
沿革
1960年代の日本では、声優に対する理不尽な扱いが横行しており[6]、待遇の低さが大きな問題となっていた[6]。日本の各放送局は、吹替やラジオドラマにて声だけで演技する俳優と、テレビにて顔を出して演技する俳優との間で、出演料に大きな差をつけていた[6]。顔を出さないのだから、との理由により、吹替やラジオドラマの俳優には低額の出演料しか支払わないということが横行していた[6]。これに対し、声優を含む俳優らは任意団体である日本放送芸能家協会を結成し[7][8]、待遇の改善を要求するようになった。1970年代に入ると、声優や翻訳者などの権利者から再放送時の二次使用料を支払うよう要求する動きが活発化し、事業協同組合化された協同組合日本放送芸能家協会の流れを汲む協同組合日本俳優連合と[9]、協同組合日本放送作家組合の流れを汲む協同組合日本脚本家連盟とが、互いに協力し合って主張を展開するようになった[10]。一方、音声制作会社は、業界団体が存在しなかったため各社ばらばらで個別に権利者組合と交渉してきたが[11]、事態に対処し切れない状況となっていった[11]。それに対し、外国映画配給会社は業界団体として山水会を結成し[11]、山水会が代表して権利者組合と交渉する方法を採っていた[11]。これを受け、音声制作会社も業界団体を発足させることになり[11]、1971年に音声制作会社7社による紫水会が結成された[11][3]。
1978年、紫水会は発展的に解消するとともに[3]、音声制作会社10社により新たに任意団体として日本音声製作者連盟が発足した[3]。同年より業務を開始し[3]、再放送に伴う使用料の徴収や分配をスタートさせた[3]。なお、同年中には、協同組合日本俳優連合と「外国映画日本語版の出演に関する協定書」を締結するとともに[3]、協同組合日本脚本家連盟と「外国映画日本語版の翻訳著作物使用に関する協定書」を締結した[3]。1981年には、動画連盟や協同組合日本俳優連合と「テレビ放送用アニメーション番組の出演並びに音声制作に関する協定書」を締結した[3]。
2003年に有限責任中間法人に移行した[3]。そのため、日本音声製作者連盟では設立年月日を2003年4月1日としている[1]。公益法人制度改革に伴い、2009年に一般社団法人に移行した[3]。
略歴
役員
会員
2023年9月現在[12]。
正会員
準会員
関係団体
著作
編纂
- 『音声制作者の自画像と夢――映像にいのちを吹き込んできた50年』日本音声製作者連盟、2001年。
企画、監修、等
脚注
関連項目
外部リンク