浅井由崇
浅井 由崇(あさい よしたか、1962年3月1日[2] - )は、日本の政治家。前愛知県豊橋市長(1期)。元愛知県議会議員(4期)。 経歴生い立ち愛知県豊橋市出身。豊橋市立岩田小学校、豊橋市立豊岡中学校、愛知県立豊橋南高等学校卒業。早稲田大学政治経済学部に進学。大学在学中は雄弁会に所属した。1987年3月、同大学卒業。同年4月、東陶機器(現・TOTO)に就職。1990年に退職し帰郷[3][4]。同年から2006年まで浅井建築事務所に勤務[5]。 1999年と2003年の愛知県議会議員選挙に無所属で立候補するが、いずれも落選。 2007年の県議選に民主党公認で立候補し初当選。その後民進党を経て、国民民主党に所属するも[6]、2019年の県議選では無所属で立候補し、4期目の当選を果たす[7][8]。 2020年豊橋市長選挙2020年3月26日、任期満了に伴う市長選挙に立候補することを表明[9]。同年11月8日に執行された豊橋市長選挙に連合愛知の推薦、日本共産党の自主支援などを受けて立候補[10]。立憲民主党所属衆議院議員の関健一郎や旧民主系の市議、豊橋商工会議所の神野吾郎会頭らの支援も受け[11]、現職の佐原光一(自民党・公明党推薦)らを大差で破り初当選した[12]。11月9日、当選証書を受け取った浅井は取材に応じ、佐原が豊橋公園を建設予定地として進める新アリーナ計画[13]について「場所は白紙に戻す。市民の声をしっかりと聴きたい」と述べた[14]。11月17日に市長に就任した。 ※当日有権者数:297,830人 最終投票率:43.14%(前回比:13.32pts)
2024年豊橋市長選挙2024年6月27日、豊橋市長選挙への出馬の意思を固めた市議の近藤喜典に対し、市議会の会派「自由民主党豊橋市議団」は推薦を決定した[15]。翌28日、近藤は辞職して記者会見し、出馬表明を行った[16]。7月1日、浅井は定例記者会見で再選出馬を表明した[17]。9月23日、自由民主党豊橋市支部(代表は県議の丹羽洋章)[18]は近藤の推薦を決定した[15]。 同年11月3日、市長選挙が告示され、公明党豊橋支部と連合愛知の推薦を受けた浅井、前市議の近藤、前市議の長坂尚登など計4人が立候補した。近藤の出発式には、自民党から県議や市議が応援に駆けつけた[19]。その一方で、浅井の出発式には同党衆議院議員の根本幸典が出席して良好な関係をアピールし[19]、保守分裂選挙の様相を呈した[20]。前回選に続いて新アリーナ計画の是非が争点の一つとなったが、豊橋市のアリーナは愛知国際アリーナ(名古屋市北区、2025年7月開館予定)のサテライトと位置付けられており、県と市が連携して事業を進めていた[21]。浅井陣営の苦戦を知った大村秀章知事は選挙戦最終日の11月9日、豊橋駅東口で行われた街頭演説会で浅井の応援に入った。根本もこの演説会で弁士を務めた[21][22][23][注 1]。終盤戦では、立憲民主党衆議院議員の小山千帆も浅井の支持を呼びかけた[23]。 同年11月10日投開票。新アリーナ計画に反対し、9月に締結された整備運営契約[25]の解除を主張する長坂が他の3候補を破り初当選した。浅井は次点で落選した[26]。近藤は記者から敗因を問われると「簡単に言えば、保守が割れたこと」と答えた[20]。地元紙は「浅井と近藤が新アリーナ建設賛成票を奪い合い、長坂が現職への批判票や反アリーナ票を効果的に取り込んだとみられる」と報じた[27]。 ※当日有権者数:291,337人 最終投票率:43.43%(前回比:0.29pts)
市政豊橋公園の新アリーナ建設計画佐原光一市政時代の2017年3月24日、豊橋公園の芝生広場に多目的屋内施設(新アリーナ)を建設するという計画が発表された[28]。 2020年11月の市長選の際、同計画は争点の一つとなった。市民団体は同年10月8日付の公開質問状を候補予定者に送付。佐原は、新アリーナは総合体育館とアイプラザの老朽化対策のためにも欠かせない施設であるとし、豊橋公園での建設案を推すと回答した。一方、浅井は「施設は多くの市民の創意を得た形で考えていくべき」「場所は豊橋公園以外」と回答した[13]。11月8日、市長選が執行され、浅井が初当選した。翌9日、当選証書を受け取った浅井は取材に応じ、「場所は白紙に戻す」と答えた[14]。 2022年5月30日、浅井は記者会見を開き、プロバスケットボールBリーグの試合会場などに使う新アリーナの建設候補地として豊橋公園を選んだと発表し、選挙公約を覆した。市場調査をしたうえで交通の便などを考慮し、市内5カ所から選定したと述べた[29][30]。 同年10月1日、建設候補地(豊橋公園)の校区である豊橋市立八町小学校で、校区の住民を対象にした説明会を開いた[31]。しかし市民説明会はこの日で最初で最後になったため、「説明不足」とのちに批難の声が上がった[32][33]。 同年11月25日、新アリーナの建設予定地(豊橋公園北側、朝倉川の近く)の半分ほどが、県が指定した、豪雨時の洪水で建物が流される恐れのある「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれていることが分かったと地元紙が報じた。県の河川課は2021年12月24日にこのことを公表していたが、県や市の新アリーナの担当部署は取材に対し「2022年11月になって把握した」と答えた[34]。 同年11月から12月にかけて、市民団体が新アリーナ建設の賛否を問う住民投票条例制定を求め署名活動を行い、有効判定分だけでも直接請求に必要な約6千人を大きく上回る1万5991人分を集めた[35]。2023年2月27日、市議会本会議で同条例制定の議案が審議された。市民団体の共同代表の一人は「私はアリーナは白紙撤回するという公約を信じて、2020年11月の市長選挙で浅井候補に投票した。当選の報を聞いたときは、事務所に駆けつけて、万歳三唱を一緒にやった。それだけに、5月30日の記者会見は本当に驚いた。どんな理由をつけようが、選挙の公約を破ることは許されないと思う」と意見陳述した。浅井は「新アリーナの整備については、市民の意思が議員の賛同による議会での議決という形で十分反映されていることから、本条例を制定する意義は見いだし難い」と答弁した。条例制定の議案は反対多数で否決された[36]。 2023年4月29日、新アリーナ建設の賛否を問う住民投票を求める署名活動をした市民団体の共同代表が名古屋地裁に住民訴訟を起こした[37]。 同年5月31日、市は、豊橋公園内の豊橋球場を解体し、跡地に新アリーナを建設すると発表した。豊橋球場は2027年度中をめどに、豊橋総合スポーツ公園の未整備区画へ移設するとした[38]。 2024年5月20日、上記の市民団体共同代表が、新アリーナ計画を巡る公文書公開請求で「不存在」という市の弁明は虚偽だったとして、虚偽公文書作成、同行使の疑いで浅井を刑事告発し、豊橋警察署が受理した[39]。 同年5月30日、市は、新アリーナ計画に関する2022年の市場調査委託業務で、完成が遅れた調査報告書を委託期限に間に合ったようにするため、日付を偽装したと発表した[40]。 同日、PFI事業「多目的屋内施設(新アリーナ)及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」について、スターツコーポレーションを代表企業とする特別目的会社「TOYOHASHI Next Parkグループ」[注 2]が230億6999万円で落札した[42]。6月28日、市は同グループと基本協定を結んだ[43]。9月27日、市は同グループと、落札額と同額で正式に特定事業契約を締結した[25]。 豊橋市動物愛護センターの建設計画佐原市政時代の2019年2月5日、動物の愛護や管理の拠点として「動物愛護センター」を設置する方針が打ち出された[44]。県内では豊田市、岡崎市がすでにセンターを稼働させていたが、豊橋市にはなかった[45]。 2020年11月の市長選の際、動物愛護センターの設立は争点の一つとなった[45]。浅井は選挙公報に「動物愛護のまちづくり 動物愛護センターの設立」を公約に掲げて立候補[46]。他の政策を優先させた現職の佐原を破り、初当選した。 2022年8月2日、市は、市議会福祉教育委員会で、豊橋市動物愛護センター(仮称)の建設予定地を市内中野町の市保健所・保健センター(ほいっぷ)の駐車場部分とすると発表した。建設の候補地は(1)ほいっぷ駐車場、(2)ほいっぷ周辺農地、(3)道の駅とよはしの周辺農地、(4)小池給水所跡地、(5)グリーンスポーツセンター跡地、(6)のんほいパーク西門駐車場、(7)のんほいパーク周辺農地の計7つで、既存ライフラインがあること、用地交渉が不要であること、集客性の観点などから、ほいっぷ駐車場が選ばれた[45]。翌8月3日、市は正式に当該計画を公表した。2階建て、延べ千平方メートルの規模を予定し、2025年度の完成を目指す[47]。 その後、豊橋市医師会などを含めた関係者から「ほいっぷの駐車場が減ると、災害時の救護活動や休日夜間急病診療所の運営に支障をきたす」と反対の声が上がった[48]。 2023年1月23日、市は、計画地をほいっぷ駐車場から、7か所の候補地の次点であった「ほいっぷから500メートル以内の周辺の農地」に変更すると発表した。また、最初の検討時に想定していた2000平方メートルの建物面積を、隣接農地への光害や日陰対策のため、3000~4000平方メートルに改めた[48]。同年2月21日、市は、市議会福祉教育委員会で「豊橋市動物愛護センター(仮称)整備基本計画案」を示した。候補地を、ほいっぷの北側から西側に隣接する農地とすると明記した[49]。4月7日、市は建設地をほいっぷ隣接地に決定したと発表。ほいっぷの南西側、道路を挟んだ畑約3,600平方メートルの所有者と土地の売買契約を結んだことを明らかにした。2023年度中に地質調査と実施設計を行い、2024年度に着工し、2025年度前半のオープンを目指す。また、動物愛護センターの整備と合わせ、ほいっぷの駐車場を約900平方メートル拡張するとした[50]。 2024年3月31日、市は、動物愛護行政について基本方針などを定めた「豊橋市動物愛護管理推進計画」を廃止した[51]。 同年7月3日、豊橋市動物愛護センターの起工式が行われた。総事業費は9億8000万円で、そのうちクラウドファンディングで1286万円を集めた。2025年秋の開所予定[52]。 その他
脚注注釈
出典
外部リンク
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