『風来忍法帖』(ふうらいにんぽうちょう)は、山田風太郎の時代小説。忍法帖シリーズの第9長編。『週刊大衆』に1963年(昭和38年)3月16日号から12月26日号まで連載された。主人公側が「忍法の素人が複数」という設定の最初の作品である。
1965年に同名で映画化された。
登場人物
香具師(やし)たち
- 悪源太助平(あくげんたすけひら) - 香具師たちのリーダー格。槍投げの名人。
- 七郎義経(しちろうよしつね) - 気取り屋の優男。サブリーダー的存在。
- 弁慶(べんけい) - 大入道の巨漢。怪力の持ち主。
- 陣虚兵衛(じんきょへえ) - 顔色の悪いやせこけた男。遠目がききスリの達人である。
- 夜狩りのとろ盛(よがりのとろもり) - ひょうたんみたいな顔、哀れっぽい、脳天から声を出す男。
- 昼寝睾丸斎(ひるねこうがんさい) - 軍学者めいたどじょうひげの男。香具師たちの参謀。
- 馬左衛門(うまざえもん) - 馬面の巨根男。
風摩組忍者
- 風摩小太郎(ふうま こたろう) - 北条家の乱波・風摩組の頭領
- 戸来刑四郎(へらい けいしろう) - 風摩組忍者
- 御巫燐馬(みかなぎ りんま) - 同じく風摩組忍者
- 累破蓮斎(かさね はれんさい) - 同上
風摩組くノ一
- お雁(おかり) - 風摩組くノ一のリーダー格。
- お燕(おえん) - 風摩組くノ一
- お鶴(おつる) - 同上
- お鳶(おとび) - 同上
- お鷺(おさぎ) - 同上
- お雉(おきじ) - 同上
伊賀忍者
- 服部半蔵 - 伊賀組の頭領。初代半蔵。
- 青歯助十郎(あおば すけじゅうろう) - 伊賀忍者。
その他
- 麻也姫(まやひめ) - 太田資房の妹。太田三楽斎の孫。
- 太田三楽斎(おおた さんらくさい) - 太田道灌の曾孫。65歳。
- 太田源五郎資房(おおた げんごろう すけふさ) - 武州岩槻城主。太田三楽斎の孫。
登場する忍法
- 忍法風閂(かぜかんぬき) - 髪の毛を使い、人間の体を切り刻む。
- 忍法砂鋳形(すないがた) - 砂に女性の全身の形を取って、その上に自分の体を合わせるとそっくりに変身する。
- 忍法忍びの水月(しのびのすいげつ) - 掌から出る粘液を壁や柱に塗り、鏡状態に変える[1] 。
- 忍法落花もどし(らっかもどし) - 切断された自分の肉体を元通りにつなぐ。
- 忍法蝙蝠(こうもり) - 天井に足を密着、逆さのまま刀を振るい、落下して襲撃する[2] 。
- 忍法恋さみだれ(こいさみだれ) - 粘着力の強い糸を投げ、相手の体に貼り付くと激痛が走る。
- 忍法風琴水琴(ふうきんすいきん) - 髪の毛を張って侵入者がそれに触れると、微弱な警戒音が発生する。
- 忍法子宮針(こつぼばり) - 子宮に針を仕込んでおき、性交時に男根を刺す。
- 忍法通し矢の眼(とおしやのめ) - 物体が透き通って見える。
- 忍法扇針(おうぎばり) - 両手の指の間に長い針をはさみ、突いたり投げたりする。
- 忍法針鼠(はりねずみ) - 無数の柳葉刀を操り、相手の肉体を穴だらけにする。
書誌情報
映画
1965年5月16日に東宝系で公開された。カラー、宝塚映画製作、東宝スコープ、85分。
なお1968年には、続編『風来忍法帖 八方破れ』が公開されている。
スタッフ
- 製作 - 田中友幸、武中孝一
- 原作 - 山田風太郎
- 脚本 - 関沢新一
- 監督 - 川崎徹広
- 撮影 - 飯村正
- 美術 - 加藤雅俊
- 音楽 - 広瀬健次郎
- 録音 - 中川浩一
- 照明 - 岡本健一
- 編集 - 藤井良平
- スチル - 池上恭介
出演者
同時上映
『最後の審判』
脚注
- ^ 『忍者月影抄』の忍法鏡地獄と同じ。
- ^ 『江戸忍法帖』の忍法むささび落としと同じ。
- ^ 東宝WEB SITE MOVIE DATABASE キャスト紹介閲覧