エンビカッタエンビカッタ(英語: Plastic pipe cutters、Plastic pipe shears、エンビカッター)とは主に水道用硬質ポリ塩化ビニル管を切断する専用手動カッタである。商品名としては、ほかに塩ビカッターや塩ビ管カッター等の名称で呼ばれている。 硬質塩化ビニル管等の樹脂管をクサビ刃で、切断時に切り粉を出すことなく切断することができるラチェット式手動工具で、日本で最初に開発(発明)され世界に普及した工具である。 概要(用途)上水道配管に現在多く使用される硬質ポリ塩化ビニル管(以下通称で使用されている塩ビ管と呼ぶ)[1]の切断を主用途としたエンビカッタの技術開発の歴史と切断対象材の変化、工具の機構(方式)・構成部品と切断性能の関係について各項目ごとに記述する。 開発の歴史塩ビ管の工事の際、「エンビカッタ」が開発されるまで、切断は鋸で行っていた。鋸での切断は、切屑の発生や切断端面の粗さ、狭所での仕事のやりにくさという改善すべき点が内存していた[2]。クサビ刃物をラチェット機構で塩ビ管に切り込ませて、切断する片手式手動工具が1976年4月にMCC(松阪鉄工所)で開発・発売された[3]。これが世界初の塩ビ管専用クサビ刃物による切断工具「エンビカッタ」である。しかし、ラチェット機構が他社の「樹木電線等の切断用ばさみにおける両把持柄間の拡開度可変装置」の特許[4]に抵触したため、同1976年12月にラチェット機構をリンク機構方式にモデルチェンジをしている。実用新案登録 第1321201号 「合成樹脂管切断用鋏」[5][6] 技術項目性能硬質ポリ塩化ビニル管 (VP) ・水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管 (HIVP) ・ポリエチレン管 (PE) ・架橋ポリエチレン管 (XPE) ・ポリブテン管 (PB) ・硬質ビニル電線管 (VE) 等の樹脂管を、切屑を出すことなく綺麗な切断面でほぼ真直ぐに切断することができる。切断時の工具の使用可能外気温は、各メーカの取扱説明書に表示してある(参考として-5℃ - 40℃)が、特に5℃以下の低温時には塩ビ管を事前にトーチ・バーナー等で温めてからゆっくりと切断すると、管が割れたり欠けたりすることなく切断ができる。 ラチェット機構の方式
刃形状
引き切りの効果について包丁で柔らかい物を切る場合、刃物を引いて切る。例えば、料理で「さしみ」を切る場合等は手前に刃物を引いて切っている。エンビカッタにおいてもパイプという変形しやすい中空材を切断するのに、この「引き切り」を切断品質に与える主要因であるかどうかの実験的・理論的検証はまだ確定されていない。直線刃で引き切りを設計的に重要とするメーカは、刃取り付けボルトから刃先までの寸法を大きくしている[12]。 切断対象材と商品の呼び・動向について切断対象は、水道用硬質ポリ塩化ビニル管 (VP) ・水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管 (HIVP) ・硬質塩化ビニル電線管 (VE) ・耐衝撃性硬質塩化ビニル電線管 (HIVE) ・水道用架橋ポリエチレン管 (PE) ・水道用ポリエチレン管 (PE) ・水道用ポリエチレン二層管 (PE) ・ガス用ポリエチレン管 (PE) ・一般用ポリエチレン管 (PE) となっている。各社ともに切断可能外径42mmサイズのカッタは、電気工事のVEおよびHIVEの切断が必要なユーザ向けで、また付属のアタッチメントを装着しワイヤープロテクタ・ケーブル用モール(電気工事材料)の切断が可能である。 主だったメーカの商品サイズは、切断可能外径で⌀26・⌀27・⌀34・⌀38・⌀42・⌀60・⌀63mmとなっているが海外のパイプ規格を取り入れたメーカもあり、国内用で考えると〔⌀26=⌀27〕・⌀34・⌀38・⌀42・〔⌀60=⌀63mm〕の5サイズがある。〔⌀60=⌀63mm〕のサイズは、片手で操作可能タイプと両手持ち式の2方式商品があり、全長の違いとラチェット操作回数の違いで使用方法の目的により選択すればよい。 ⌀34は、VP (HIVP) で切断可能最大管の呼び25、⌀38は、切断可能最大管の呼び30となっている以外は、各社商品の呼び方は異なるが、同一切断対象材(管)容量である。 エンビカッタも開発されてから30年以上が経ち、新規参入メーカも今(2009年)では多く、モデルチェンジと切断容量によるサイズの細分化が近年(2002年ごろより)盛んである。 主なメーカー
脚注
参考文献
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