マイクロメータマイクロメータ(英: micrometer)とは、精密なねじ機構を使って、ねじの回転角に変位を置き換えることによって拡大し、精密な長さの測定に用いる測定器。ノギスよりも精度の高い測定に用いられる。 外径測定用マイクロメーターでは 測定最大値は25 mmごとに決まっている。0 - 25 mm , 25 - 50 mm , 50 - 75 mm , ・・・など。 測定に際して多数回回転しなければならない場合もあり、ノギスのような迅速な測定は行えない[1]。 一般的なものは最小読取り量は0.01 mm。副尺を付けて0.001 mmまで読み取れるマイクロメーターもある。 多くはピッチ0.5 mmのネジにより、一回転で0.5 mmの変位を得るように作られる。周囲を50等分した目盛を刻印すれば一目盛1/100 mmの変位となる。この目盛に副尺を設ければ1/1000 mmの変位を読み取れる。 近年デジタル表示マイクロメーターも容易に入手できる。 機械式 と 電子式デジタル表示マイクロメーターがある。電子式デジタル表示マイクロメーターは電池が切れると測定不可能になるのは欠点であるが読み取りは容易である。 測定圧力の差が測定値に影響することを避けるために一定の圧力で測定を行える定圧機構が設けられている。定圧機構はおおむねラチェットストップ式が採用されている。 いろいろな用途に合わせて、測定先端(回転端をスピンドルと呼ぶ、 外側マイクロメーターでは固定端をアンビルと呼ぶ)の形状などの異なるマイクロメータがある。 特殊な用途では2つのピッチの異なるねじによる差動装置を利用した物もある。一般的には前記0.5 mmピッチのネジを用いている。 測定に際して
測定対象別のマイクロメータの例
名称と歴史"micrometer" という単語は、ギリシア語の "micros"(小さい)と "metron"(測定)を組み合わせた造語である。Merriam-Webster Collegiate Dictionary によれば[3]、この単語はフランス語から英語に取り入れられたもので、1670年に初めて用いられたとされている。そのころメートル法もマイクロメートルという単位も存在しなかった。しかし、当時の人々は細かいものを測定する必要に迫られ、またそのような測定法に興味を持っていた。 マイクロメータの原型となるねじの原理を使った測定器具は、ウィリアム・ガスコイン (1612年 - 1644年)がノギスの改良版として発明した。ガスコインは、これを望遠鏡で星と星の角距離や惑星の直径を測定するのに使った。しかし、イングランド内戦が勃発するとガスコインは国王軍に参加し、マーストン・ムーアの戦いで若くして戦死した。 ジェームズ・ワットは1772年、自分用にマイクロメータのような測定器具を作った[4]。ヘンリー・モーズリーは初の実用的なねじ切り旋盤を開発し、マイクロメータの発達に寄与している。また、1805年に自らもマイクロメータ的な器具を発明し「大法官 (Lord Chancellor)」と名付けた[4]。 現在の形のマイクロメータは、パリのジャン・ローラン・パルメール (Jean Laurent Palmer) が1848年に発明している[5]。このため、フランス語ではマイクロメータを palmer、スペイン語では tornillo de Palmer(Palmerのねじ)とも呼ぶ。英語圏では、1867年に Brown & Sharpe がマイクロメータを発売し[6]、広く普及するようになった。1888年、エドワード・モーリーがマイクロメータの精度をさらに高め、複雑な実験でその測定値が正確であることを証明した。 確度と精度を上げるには
脚注・出典
参考文献
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