オランダ海軍 (オランダかいぐん)は、オランダ の海軍 である。起源はハプスブルク領時代に遡り、連邦共和国 の海軍を経て、王立海軍(オランダ語 : Koninklijke Marine )となった。
歴史
オランダは建国以前神聖ローマ帝国 次いでスペイン の領土となったが、毛織物産業が発展しており貿易も盛んであった。それらの商船を海賊や私略船 が襲うこともしばしばであり、商人は自衛のために武装を行った。この武装商船 がオランダ海軍の起源といわれる。
八十年戦争 (オランダ独立戦争)ではこれらの武装商船が結集して戦った。この当時軍船とその他の船の間には特殊なものを除いて明確な境界はなかったため、多くの商船を有していたオランダは強力な海上戦力を保有する潜在能力を有していた。
1602年 にオランダ東インド会社 が設立され、東アジア、東南アジア諸国との大規模な貿易が始まる。これにより多くの富がもたらされた。1623年 にはアンボイナ事件 が起きイギリス に対してこの地域での貿易で優位に立ったものの、対立構造が決定的になった。1650年代イギリスがオランダの商船を接収して積荷を没収するようになり三次に渡る英蘭戦争 が勃発した。オランダ海軍は港湾の関係上大型の艦は使用できなかったが、マールテン・トロンプ やミヒール・デ・ロイテル 等の名将のもと大型の戦列艦に対して健闘した。英蘭戦争が起るまでの17世紀前半はオランダの黄金時代 であり、イギリスが優位になった後もオランダ海上帝国 として、帝国主義 時代まで続く列強 の一員であった。
18世紀、オランダはフランス と戦い国力 を消耗した。オランダの有力な植民地 はインドネシア (オランダ領東インド が成立するのは20世紀)しかなく、他の列強に比較すると格の落ちる海軍しか整備できなかった。また1795年にはフランス に占領されバタヴィア共和国 となる(フランス革命戦争 )。この時期英海軍を相手としてキャンパーダウンの海戦 を戦った。
20世紀、オランダは第二次世界大戦 まで大きな戦争を戦うことはなかった。また、オランダは第一次世界大戦に中立であり、参戦することは無かった。
その後、大日本帝国 の勢力が拡大するにつれてインドネシアの安全が脅かされることとなる。オランダは自国経済の要であるインドネシアを防衛すべく重点的にそちらに海軍戦力を配備した。1940年5月にはナチス・ドイツのフランス侵攻 に伴い、オランダ本国がドイツに占領された。短時日の陸戦による戦闘が主であり、海上戦闘はほとんど無かった。また、第二次世界大戦 における大日本帝国海軍 とオランダ海軍の戦力差は隔絶しており、1942年に入り日本海軍がマレー・フィリピンを制圧してインドネシア侵攻に至ると、その圧倒的優位に対抗してアメリカ海軍 ・イギリス海軍 ・オーストラリア海軍 と連合艦隊を組織して日本海軍に挑むも、ジャワ沖海戦 、バリ島沖海戦 、スラバヤ沖海戦 、バタビア沖海戦 にいずれも敗北して戦力をすり減らし壊滅した。
第二次世界大戦以降は西側諸国 の一員としてソビエト海軍 の潜水艦 に備えてフリゲート 等を整備した。現在ではヨーロッパ 諸国と共同で設計した軍艦などを運用している。
組織
第二次世界大戦前に海軍司令長官(BDZ)の職が設けられている。この職は海軍最高司令官として機能し2005年まで続く。海軍司令長官はオランダ海軍司令官(CZMNED)、カリブ海海軍司令官(CZMCARIB)と海兵隊総司令官(CKMARNS)を主導し、デン・ハーグ にある海軍参謀本部を指導する。
2005年に国軍の大規模な組織改編がなされ、統合参謀総長が指揮権を集約し各軍参謀総長は権限を制約され教育訓練を主に担当することになる。海軍の実戦部隊は海軍司令部に統合される。海軍司令部は人事、設備管理、会計管理の機能が除外されいくつかの任務は各局や参謀本部に引き継がれている。
また、海軍司令官は北大西洋条約機構 の一員としてベネルクス海軍司令官 (Admiraal Benelux)が設けられ、戦時および国際的演習などでベルギー=オランダ艦隊を編組し指揮する。この機能は常設となっておりデン・ヘルダー海軍基地にはベルギー海軍の参謀が置かれ統連合司令部として存在している。
2023年時点で現役兵総員11,541名[ 1] 。2024年度予算は107.8万ユーロ(約117億ドル)[ 2] 。
なお、オランダ本土の運河など内水の哨戒任務はオランダ陸軍 が担っており、陸軍は哨戒艇部隊を保有する。
階級
日本語
オランダ語
画像
NATO階級符号
士官
元帥
Admiraal 伝統的に存在したが1956年を最後に廃止
OF-10
海軍大将
Luitenant-Admiraal
OF-9
海軍中将
Vice-Admiraal
OF-8
海軍少将
Schout-bij-nacht
OF-7
海軍准将
Commandeur
OF-6
海軍大佐
Kapitein-ter-zee
OF-5
海軍中佐
Kapitein-luitenant-ter-zee
OF-4
海軍少佐
Luitenant-ter-zee 1ste klasse
OF-3
海軍大尉
Luitenant-ter-zee der 2e klasse oudste categorie
OF-2
海軍中尉
Luitenant-ter-zee 2de klasse
OF-1
海軍少尉
Luitenant-ter-zee 3de klasse
OF-1
准士官 および下士官 、兵卒
兵曹長
Adjudant-onderofficier
OR-9/OR-8
上等兵曹
Sergeant-majoor
OR-7
一等兵曹
Sergeant
OR-6/OR-5
二等兵曹
Korporaal
OR-4
上等水兵
Matroos der 1ste Klasse
OR-3
一等水兵
Matroos der 2de Klasse
OR-2
二等水兵
Matroos der 3de Klasse
OR-1
海軍士官候補生 については各学年ごとに現行の階級制の中から指定される。第1学年は三等兵、第2学年は伍長、第3学年は兵曹、第4学年は少尉となっている。オランダ語での呼称は海軍と海兵隊とで異なるものもある。
主要基地・施設
装備
艦艇
2023年9月11日現在[ 3]
過去に就役した艦艇については「オランダ海軍艦艇一覧 」を参照。
通常動力型潜水艦
ゼーレーウ(S803 Zeeleeuw ) - 1990年
ドルフェイン(S808 Dolfijn ) - 1993年
ブラインヴィス(S810 Bruinvis ) - 1994年
フリゲート
ファン・アムステル (F831 Van Amstel ) - 1993年
ファン・スペイク (F828 Van Speijk ) - 1995年
デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン (F802 De Zeven Provinciën ) - 2002年
トロンプ (F803 Tromp ) - 2003年
デ・ロイテル (F804 De Ruyter ) - 2004年
エヴァーツェン (F805 Evertsen ) - 2005年
哨戒艦
(P840 Holland ) - 2011年
(P841 Zeeland ) - 2013年
(P842 Friesland ) - 2013年
(P843 Groningen ) - 2013年
ドック型輸送揚陸艦(LPD)
汎用揚陸艇(LCU)
L9525-9529
車両兵員揚陸艇(LCVP)
L9565-9576
機雷掃討艇
マックム(M857 Makkum ) - 1985年
スヒーダム(M860 Schiedam ) - 1986年
ジーリクゼー(M862 Zierikzee ) - 1987年
フラールディンゲン(M863 Vlaardingen ) - 1989年
ウィレムスタット(M864 Willemstad ) - 1989年
測量艦
スネリウス(A802 Snellius ) - 2003年
ライメス(A803 Luymes ) - 2004年
遠洋調査船(ESB)
練習帆船
ファン・キンスベルヘン(A902 Van Kinsbergen) - 1999年
ウラニア(Y8050 Urania ) - 1938年
補給艦
統合支援艦(JSS)
魚雷揚収船
メルクール(A900 Mercuur ) - 1987年
水中作業母船
セルベルス(A851 Cerberus ) - 1992年
アーガス(A852 Argus ) - 1992年
ナウティルス(A853 Nautilus ) - 1992年
ヒードラ(A854 Hydra ) - 1992年
タンカー
支援艇
ニーウディープ(Y8005 Nieuwdiep ) - 1972年
曳船
ハウエ(A878 Gouwe ) - 1987年
ノースシー(A871 Noordee ) - 2016年
ワッデンシー(A872 Waddenzee ) - 2016年
ゾイデル(A873 Zuiderzee ) - 2016年
港内曳船
スヘルデ(Y8055 Schelde )、ヴィールバルフ(Y8056 Wierbalg )、マルズヴィン(Y8057 Malzwin )、ザウトヴァル(Y8058 Zuidwal )、ヴェストヴァル(Y8059 Westwal )
ノースデルハークス(Y8208 Noorderhaaks)、ズイダーハークス(Y8209 Zuiderhaaks)
戦力推移
艦種
1974年
1984年
1993年
2005年
2011年
LC フリゲート
4
4
M フリゲート
4 [ 6]
8 [ 7]
8
2
2
GW フリゲート
2
2
2
L フリゲート
1 [ 8]
2
2
S フリゲート
12
10
6
MLM フリゲート [ 9]
6
フリゲート合計
25
22
18
6
6
哨戒艇
4
2-4
潜水艦
6
6
4
4
4
補給艦
2
2
2
1
ATS
1
2
2
JSS
1
1
機雷敷設艇
15
15
15
10
6
掃海艇
11
11 [ 10]
艦船合計数
59
56
40
28
21
LRMP 航空機
21
13 [ 11]
13
ヘリコプター
36 [ 12]
30 [ 13]
20
20
20
航空機合計
57
43
33
20
20
旗
海軍用国籍旗
海軍元帥旗(階級旗)
海軍大将旗(階級旗)
海軍中将旗(階級旗)
海軍少将旗(階級旗)
海軍代将旗(階級旗)
脚注
^ Defensie, Ministerie van (2023年9月18日). “Aantallen personeel - Over Defensie - Defensie.nl ” (オランダ語). www.defensie.nl . 2023年12月2日 閲覧。
^ Defensie, Ministerie van (2023年9月28日). “Financiën - Over Defensie - Defensie.nl ” (オランダ語). www.defensie.nl . 2023年12月2日 閲覧。
^ Defensie, Ministerie van (2023年9月12日). “Aantallen materieel - Over Defensie - Defensie.nl ” (オランダ語). www.defensie.nl . 2023年12月1日 閲覧。
^ オランダ領アンティルに配備。
^ トリパルタイト級改修型。
^ De M-fregatten werden voor het eerst genoemd bij de Memorie van Toelichting bij de defensiebegroting van 1977.
^ In de defensienota 1984 ging het om een groter type M-fregat dan in de MVT 1977 nog sprake was.
^ Het Aangepast Standaardfregat , zoals genoemd in de Defensienota van 1974 was een iets groter schip dan de uiteindelijk gebouwde L-fregatten
^ Gemoderniseerde Van Speijkklasse
^ Gepland was tevens de aanschaf van 2 oceaanmijnenvegers, maar een jaar later was dit plan al geschrapt. Gepland was voorts de vervanging van de Dokkumklasse mijnenvegers vanaf 1988, met een nader te bepalen aantal van minimaal 6 en maximaal 15 mijnenvegers.
^ Aanvankelijk werd de aanschaf van 2 extra Orion P-3 vliegtuigen overwogen, maar een jaar later waren deze plannen al geschrapt.
^ Er is later zelfs nog aan 40 helikopters gedacht.
^ Gepland was de aanschaf van 8 grote helikopters, als aanvulling op de 22 (2 waren al verloren gegaan) Lynx helikopters van de MLD.
参考文献
『世界の艦船』(海人社)各号
Christopher Langton, Military Balance 2009 , Routledge.
Jane's Fighting Ships 2011-2012
外部リンク
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