「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ 」(All I've Got to Do )は、ビートルズ の楽曲である。1963年に発売された2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ 』に収録され、アメリカでは1964年に発売された『ミート・ザ・ビートルズ 』に収録された。レノン=マッカートニー 名義となっているが、ジョン・レノン によって書かれた楽曲。デニス・アルストランドは、本作を「ロックンロールやロック・ミュージックにおいて、ベーシストがコードを演奏して曲の重要な部分を担った初の例」としている[ 6] 。
背景
レノンは「またスモーキー・ロビンソン みたいな曲を作ろうとしたんだ」と語っており、音楽評論家のイアン・マクドナルド (英語版 ) はミラクルズ (英語版 ) の「ディペンド・オン・ミー」と音楽面と歌詞の両方で比較した。ビートルズの伝記作家のボブ・スピッツはこの曲を「落ち着きがなく憂鬱で、気まぐれ」と評し、シュレルズ の「ベイビー・イッツ・ユー 」やドリフターズ の初期の作品と比較している。
「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」は、レノンが『ウィズ・ザ・ビートルズ』のために書いた3曲のうちの1つで、他には「イット・ウォント・ビー・ロング 」や「ナット・ア・セカンド・タイム 」がある。本作はアメリカ市場を意識して書かれており、作曲された当時、電話機はイギリスよりも大西洋の西側で普及していた。1980年の『プレイボーイ 』誌のインタビューで、レノンは「僕は人生で1度も女の子に電話を掛けたことがなかった。なぜなら電話はイングランドの子供にとって生活の一部ではなかったから」と語っている。
レコーディング
「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」は、1963年9月11日の1回のセッションで、オーバー・ダビング に使用されたテイク15を含む14テイクで録音され、マスターテイクにはテイク15が採用された。9月30日にモノラル・ミックス、10月29日にステレオ・ミックスが作成された。
音楽ジャーナリストのスティーヴ・ターナー (英語版 ) は、本作を1961年に作られた楽曲と主張しているが、マクドナルドはこれに反論するかたちで「ビートルズのライブのレパートリーに含まれておらず、14テイクのうち8テイクが不完全であったのは、バンドがこの曲に慣れていなかったからだ」と述べている。
リリース・評価
「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」は、イギリスでは『ウィズ・ザ・ビートルズ 』の収録曲として発売され、同作にはミラクルズの「ユーヴ・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー 」のカバー・バージョンも収録されている。アメリカではキャピトル 編集盤『ミート・ザ・ビートルズ 』の収録曲として発売された。
『オールミュージック 』のスティーヴン・トマス・アールワイン は、「甘いバラード」「とてもゴージャス」と評している[ 16] 。
クレジット
※出典
カバー・バージョン
トクシック・オーディオ (英語版 ) - 2002年に発売されたトリビュート・アルバム『Come Together: An A Cappella Tribute to the Beatles』に収録[ 17] 。
ペテル・リパ (英語版 ) - 2003年に発売されたアルバム『Beatles in Blue(s)』に収録[ 18] 。
スミザリーンズ (英語版 ) - 2007年に発売されたトリビュート・アルバム『Meet the Smithereens!』に収録[ 19] 。
またTHE GOGGLES は、本作のパロディ曲「All I Have To Do(本来ならDo)」を発表している[ 20] 。
脚注
出典
^ Alstrand 2009 .
^ Erlewine, Stephen Thomas. With the Beatles - The Beatles | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年6月10日 閲覧。
^ Leggett, Steve. Come Together: An A Cappella Tribute to the Beatles - Various Artists | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年6月10日 閲覧。
^ Couture, Francois. Beatles in Blue(s) - Peter Lipa | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年6月10日 閲覧。
^ Deming, Mark. Meet the Smithereens! - The Smithereens | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年6月10日 閲覧。
^ “ゴーグルズのトリビュート・アルバム第1弾参加アーティスト発表に藤原さくら、キノコホテル、伊藤銀次ら5組! ”. POPSCENE (2018年2月9日). 2020年4月23日 閲覧。
参考文献
Alstrand, Dennis. “The Evolution of Rock Bass Playing; McCartney Style: 1963 ”. 2010年1月1日時点のオリジナル よりアーカイブ。2021年6月10日 閲覧。
Cross, Craig (2005). The Beatles: Day-by-Day, Song-by-Song, Record-by-Record . Lincoln, NE: iUniverse. ISBN 0-5953-4663-4
Dowlding, William (1989). Beatlesongs . New York: Touchstone. ISBN 0-6716-8229-6
Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions . New York: Harmony Books. ISBN 0-5175-7066-1
MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd revised ed.). Pimlico (Rand). ISBN 1-8441-3828-3
Margotin, Phillipe; Guesdon, Jean-Michel (2014). All The Songs: The Story Behind Every Beatles Release . Running Press. ISBN 1-6037-6371-6
Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now . New York: Henry Holt and Company. ISBN 0-8050-5249-6
Sheff, David (2000). All We Are Saying: The Last Major Interview with John Lennon and Yoko Ono . New York: St. Martin's Press. ISBN 0-3122-5464-4
Spitz, Bob (2005). The Beatles: The Biography . Boston: Little, Brown. ISBN 0-3168-0352-9
Turner, Steve (2005). A Hard Day's Write: The Stories Behind Every Beatles Song (3rd ed.). New York: Harper Paperbacks. ISBN 0-0608-4409-4
外部リンク