クアラルンプール
クアラルンプール連邦直轄領(クアラルンプールれんぽうちょっかつりょう、マレー語: Wilayah Persekutuan Kuala Lumpur)、通称クアラルンプールは、マレーシアの首都。同国の連邦直轄領の1つ。 マレー半島南部の丘陵地帯にある。東南アジア有数の世界都市に数えられる。一般的にKLと略して称される。 漢字表記は吉隆坡。 概要クアラルンプールはマレー語で「泥の川の合流地点」を意味し、クアラ(Kuala)は二つの川が合流する地点、または「河口」の事を、ルンプール(Lumpur)は「泥」の事をそれぞれ指す[1]。市中心部にある代表的なモスク「ジャメ・モスク」の付近でゴンバック川とクラン川が合流すること、鉱山で採掘した錫を洗ったところ川が泥のように汚れたことが由来になっている[2][3]。 正式には連邦領クアラルンプール(Wilayah Persekutuan Kuala Lumpur)と称し、中国語では吉隆坡(北京語読みは「ジーロンポー、拼音: 」、広東語読みは「ガッロンポ―、Gat1lung4po1」)と記される。 多民族が平和的に共存するマレーシアの首都らしく、多彩な文化が混ざり合ったことがかもし出す賑やかな雰囲気が特徴である。近年は高速道路や市内鉄道、モノレールなどのインフラ開発が進み、豊かな緑の中に高層ビルが立ち並ぶ東南アジア有数の近代都市となった。また、東南アジアの大都市には珍しく、市街地が清潔で治安がいいことも特徴である。 アメリカのシンクタンクが2017年に発表した総合的な世界都市ランキングにおいて、世界39位の都市と評価された[4]。東南アジアではシンガポール、バンコクに次ぐ3位である。また、日本の民間研究所が2016年に発表した「世界の都市総合力ランキング」では、世界39位と評価されており、東南アジアではシンガポールに次ぐ3位である[5]。 連邦政府機能を市東南郊外の新行政都市プトラジャヤ(Putrajaya)へ移す計画が進行中。 地理面積:243.6平方キロメートル 気候典型的な熱帯雨林気候で、年間を通して降水量が多い常夏の気候である。4月前後と11月前後が特に降水量が多いが、主に夕立として降り、終日降る日は多くない。
地域マルチメディア・スーパーコリドーマハティール・ビン・モハマド前首相の指導の下でクアラルンプール南部周辺に建設された、最新のITインフラが整備された総合開発地域が、「マルチメディア・スーパーコリドー」である。その中核となるのは、「サイバージャヤ」と呼ばれるハイテク工業団地と、新行政都市「プトラジャヤ」、クアラルンプール国際空港等で、F1・マレーシアGPが行われるセパンサーキットもこの地域内にある。 人口歴史移民者による開発クアラルンプールは清からの移民者によって、スズの採掘拠点として1857年に開発された。彼らはクラン川とゴンバック川の合流点に落ちつき、そこをクアラルンプール、すなわち「泥の川の合流地点」と呼んだ。 イギリスの支配
日本軍による制圧第二次世界大戦中の1942年1月に、マレー一帯を支配するイギリス軍が日本軍によって制圧される「クアラルンプールの戦い」によって、クアラルンプールは日本の統治下に入ったが、1945年8月の終戦によって再びイギリス統治になった。 独立国成立
政治連邦政府機能移転計画クアラルンプールに連邦行政機関が点在し、また市内が慢性的な交通渋滞に見舞われており、市内は特に悪化の傾向にある。このため政府は行政機能の非効率性を解決するために、マルチメディア・スーパーコリドー計画の一環としてクアラルンプール郊外のプトラジャヤにITを基盤とした行政都市を建設し、連邦政府機能を移転する計画を決定した。プトラジャヤの開発は1995年に着手された。 1999年に首相オフィスと首相府の移転が行われ、2000年以降各省の移転が順次始まる。計画では国防省、連邦議会など一部を除くほとんどの連邦政府機能が2010年までに移転する予定。しかし2011年初頭も計画は継続中。 なお、連邦政府の移転が完了した後も、マレーシアの首都はクアラルンプールのまま[10]。 対外関係姉妹都市・提携都市
教育大学日本人学校交通空路空港クアラルンプールの空の玄関であるクアラルンプール国際空港 (KLIA) は中心市街地の南50kmの熱帯雨林の中に位置している。同空港からは日本の東京(羽田空港・成田空港)や大阪(関西空港)、札幌(新千歳空港)、福岡(福岡空港)、那覇(那覇空港)へ直行便が運航されている他、各地の空港とのチャーター便が運航されることも多い。日本の他、アジア地域では香港、バンコク、シンガポール、ベトナムなどへの直行便が運行されており、マレーシア航空や日本航空、全日本空輸といった大手航空会社に加え、エアアジアのような格安航空会社も就航している。 空港とクアラルンプール市内を結ぶ交通手段としてはKLIAエクスプレスとKLIAトランジットがあり、市内のKLセントラル駅からクアラルンプール国際空港駅までをノンストップで28分間で結んでいる。駅構内にはマレー語、英語、日本語の案内看板が設置されている。旧LCCターミナルにはエアポートエクスプレスは乗り入れていなかったが、2014年5月のKLIA2(新LCCターミナル)開業に伴い、停車するようになった。その他、タクシーを利用することもできる。 また、市の南西に位置するスバン空港からは一部の国内路線が出ている。 鉄道クアラルンプール大都市圏内にはKTMコミューター、KLIAエクスプレス、KLIAトランジット、KLモノレール、ラピドKLの鉄道路線が整備されており、近年路線網が拡大している。英語とマレー語の表記があるため外国人でも気軽に利用できる。中心となる駅はクアラルンプール・セントラル駅で、KTM各路線、KTMコミューター、KLモノレール、ラピドKL、KLIAエクスプレス、KLIAトランジットの発着駅となっている。明るく開放的な雰囲気で、案内板には日本語も併記されている。 KTM Commuterの2路線が交わるマスジット・ジャメ駅やペトロナスツインタワーの最寄り駅であるKLCC駅も、市内の主要駅である。 バス市内では、バスの路線網やタクシーを使って安価な移動が可能である。バス運行会社、Rapid KL(ラピドKL)は市内電車(LRT)やモノレールなども運行している。 市外からクアラルンプールに発着する長距離バスの多くは、2010年ころまでチャイナタウンの近くにあるプドゥラヤ・バスターミナルに発着していた。 2011年初頭には、クアラルンプール郊外のBandar Tasik Selatanに新たにバスターミナルが建設され、マラッカ・ジョホールバル・シンガポール向けなどクアラルンプール以南方面発着便はこの新設されたバスターミナルを使用している。(T.B.S.バンダー・タシック・スラタン・バスターミナル<Terminal Bersepadu Selatan Bandar Tasik Selatan (TBS-BTS)> 長い間使用されていたプドゥラヤ・バスターミナルは、2010年から大改装され、2011年4月頃に再オープンした。しかし、クアラルンプール以南は上記TBS-BTSからの発着となり、新プドゥラヤは主にアロースター、イポー、ペナンなどマレー半島の北部主要都市および、クアラルンプール近郊区間(ゲンティンハイランド、スレンバンも近郊エリアに含む)、クアラルンプール国際空港(メインターミナル経由、LCCターミナル行き)方面も運行されている。 観光KLCC地区
ブキッ・ビンタン地区
KLセントラル駅周辺
ブキッ・ナナス駅周辺
ムルデカ・スクエア周辺ムルデカ・スクエア周辺には、19世紀後半~20世紀初頭にかけて造られた歴史的・文化的な建物が集まっている。最寄り駅はマスジット・ジャメ駅。
郊外
宿泊世界各国のホテルチェーンの高級ホテルが市内のブキッ・ビンタンやKLCC周辺に集中するほか、ゴールデントライアングルと呼ばれる地域などに点在する。なお、観光客とビジネス客誘致のために宿泊料金はアジアの主要都市の中でもかなり格安に抑えられているため、観光客の支出が少ない都市の上位にランクされる例がある。高級ホテルは全館禁煙の例も少なくなく、各国から訪れるイスラム教徒の宿泊客が多いため、朝食などに豚肉を使わない配慮がされている。 主なホテル
脚注出典
関連項目外部リンク
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