コンスティテューション級( - きゅう、Constitution class)は、アメリカのSFテレビドラマ/映画『スタートレック』シリーズに登場する惑星連邦宇宙艦隊保有の宇宙船の艦級名の一つである。なお、「コンスティテューション」は英語で憲法という意味である。
概要
コンスティテューション級は、『スタートレック』シリーズの最初のテレビドラマ作品である『宇宙大作戦』に、主人公のカーク船長の船であるU.S.S.エンタープライズ NCC-1701の艦級として登場する。
惑星連邦は建前上、戦闘目的の船を造らないが、コンスティテューション級はクリンゴンのD-7級バトルクルーザーと互角の防衛力を持つとされ、23世紀宇宙艦隊の旗艦となっている。『宇宙大作戦』にはエンタープライズの他にもU.S.S.ポチョムキンやU.S.S.ディファイアントなどの同級艦(同型艦)が登場する。
『宇宙大作戦』終了後の劇場版やテレビシリーズで登場する惑星連邦艦はすべてコンスティテューション級のデザインを踏襲したものとなっており、スタートレックの美術面での原点である。
後述にもある通りこの艦級はさまざまなバリエーションがあるが、総じた特徴は23世紀中期の深宇宙探査艦であることである。全長は約300m。最上層階である第1デッキに司令室であるメインブリッジがある。反物質を燃料とし、最高速度はワープ9(光速の729倍)。武装はフェイザー砲と光子魚雷、防御シールドを搭載。転送装置によりクルーは母艦ごと大気圏に突入することなく惑星地表に上陸できる。
なお、非常に類似している名前の艦級として「コンステレーション(英語で星座という意味)級」があるが、この二つは別の艦級であり、さらに紛らわしいことにコンスティテューション級航宙艦「U.S.S コンステレーション」が存在し(下記、宇宙船一覧を参照されたい)、文庫本『宇宙大作戦』シリーズでもしばしば間違われている。
デザイン
初代エンタープライズのデザインはマット・ジェフリーズ。「空飛ぶ円盤」と「ロケット」という宇宙船としてはありきたりなデザインを融合させ、それらをシンプルにまとめたものという、今日でも斬新さを感じさせる優れたデザインがされている。
形状は、円盤状の第1船体(円盤部)と、円筒状の第2船体(推進部)が板状のドーサルネックで接続されている。第2船体背面には翼のように広がるワープナセルパイロンがあり、その先に2対の円筒状のワープナセルが接続する。第2船体艦首にはパラボラアンテナ状のデフレクター盤が設置されている。円柱のデッサン要素のみで構成されているシンプルなデザインであるため非常に印象に残りやすく、「エンタープライズを描けない子供はいない」とまで言われたほどである。
後発シリーズの連邦宇宙艦デザインについては、主人公の艦はコンスティテューション級のデザインを踏襲したものが多く、その他のモブ宇宙艦は第2船体を省略し円盤部とワープナセルが直結したものが多い。
バリエーション
コンスティテューション級は初代U.S.S.エンタープライズの艦級ということもあり、続編やリメイク等による再登場が多く、スタートレックの宇宙艦の中で最も形状にバリエーションが多い艦級である。
初代エンタープライズ型
1966年の『宇宙大作戦』に登場した初代エンタープライズの型。基本的な船体形状がすでに完成されており、このデザインの構成要素はその後の多くの惑星連邦の宇宙艦にも受け継がれている。全長289m。
改装型/エンタープライズA型
1979年の劇場版第1作『スター・トレック』から登場した改装後のエンタープライズと、1986年の劇場版第4作『スタートレックIV 故郷への長い道』から登場したエンタープライズAの型で、コンスティテューション級改、またはコンスティテューションII級[1]と呼ばれる。ワープナセルやワープナセルパイロン等の形状に直線を多用した精悍なデザインとなっており、デフレクター盤やワープナセルの青い発光、細部に至る細かなディティールや電飾の美しさなど、こちらもスタートレックの連邦宇宙艦デザインの基本となっている。全長305m。
スタートレック:ディスカバリー型
2018年の『スタートレック:ディスカバリー』第2シーズン、『スタートレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』に登場した初代エンタープライズの型。オリジナルの初代エンタープライズの形状を踏襲しつつ、ドーサルネックがやや短くなり、ワープナセルやそれを支えるワープナセルパイロン、インパルスエンジン、船体各所のライトアップなどが洗練され、作品の世界観に馴染むようアレンジされたデザインとなっている。全長442m。
ケルヴィン・タイムライン版エンタープライズ型
2009年の劇場版第11作『スター・トレック (2009年の映画)』に登場した型で、J・J・エイブラムス監督にちなみ「JJプライズ」とも呼ばれる。タイムトラベルに伴う大規模な歴史改変によって生まれた並行世界、ケルヴィン・タイムラインで建造されたエンタープライズ。上記の初代型・改装型のデザインを組み合わせ、21世紀らしい強くスタイリッシュな船として生まれ変わった。劇場版第12作『スター・トレック イントゥ・ダークネス』では劇中で壊滅的なダメージを負い、改装修理を受けた際に細部がマイナーチェンジされる。全長725m。
ケルヴィン・タイムライン版エンタープライズA型
2016年の劇場版第13作『スター・トレック BEYOND』のラストシーンに登場。前作までのデザインから更にアレンジが加えられたものとなっている。歴代のコンスティテューション級のデザインの中では最も独特な形状である。
ソンブラ級
『スタートレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』1-9話に登場したU.S.S.ペレグリンの艦級。外装・内装ともにディスカバリー型コンスティテューション級のオレンジ色の部分が青色になっている以外はまったく同一の船体。登場人物の「コンスティテューション級と同じ部品を使っている」「珍しい」という台詞から、何らかの理由で作られた亜種コンスティテューションと推察される。乗員数99名。
コンスティテューションIII級
『スタートレック:ピカード』シーズン3にコンスティテューションIII級[2]のU.S.S.タイタンNCC-80102-Aが登場。ネオコンスティテューション級とも呼ばれる。
エンタープライズA型(コンスティテューションII級[1])やシャングリラ級U.S.S.タイタンNCC-1777[2]を基にデザインされた25世紀初頭の最新鋭艦で、船体形状はコンスティテューション級に酷似しているが規模はソヴェリン級に近い。円盤部船尾側が1/3ほどが切り抜き状になっており、大規模な補助インパルスエンジンとなっている。第2船体はデフレクター盤両舷にバルジ部分が盛られている。全長560m。最高速度ワープ9.99。
コンスティテューション級宇宙船一覧
- U.S.S.イーグル(U.S.S.Eagle、NCC-956)
- 映画第6作「未知の世界」に登場したカーク・マッコイ奪還作戦の計画書に名前とシルエットが描かれている。
- U.S.S.イントレピッド(U.S.S.Intrepid、NCC-1631)
- 2268年、ガンマ7A星系の近くで遭遇した宇宙アメーバの攻撃を受け撃沈された。なお、クルーは全員バルカン人だった。船名はアメリカの軍艦によく用いられる名称(イントレピッド (空母)など)。
- U.S.S.エクセター(U.S.S.Exeter、NCC-1672[3])
- ロナルド・トレーシー大佐の指揮。2268年、船長がオメガ4号星から持ち込んだ細菌に感染し、船長以外の全クルーが死亡した。船名はイギリスの重巡洋艦エクセターに由来。
- U.S.S.エンタープライズ(U.S.S.Enterprise、NCC-1701)
- U.S.S.エンタープライズ NCC-1701を参照。
- U.S.S.エンタープライズA(U.S.S.Enterprise、NCC-1701-A)
- U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-Aを参照。艦級はコンスティテューションII級と表記されることもある[1]。
- U.S.S.コンゴウ(U.S.S.Kongō、NCC-1710)
- 船名は日本の軍艦金剛に由来。画面・セリフには一切登場しないが、ST6の作戦計画書の画面に写っていない部分にその名が見られる。また当初よりプラモデルのデカールに含まれており、設定としては古くから存在した。
- U.S.S.コンスティテューション(U.S.S.Constitution、NCC-1700)
- コンスティテューション級の一番艦と考えられている。もともとコンスティチューションと名付けられる予定だったスペースシャトルの試作機がエンタープライズと名付けられた返礼のような形でそれまで「スターシップ級」と呼ばれていた本クラスが「コンスティテューション級」とされたもの。
- U.S.S.コンステレーション(U.S.S.Constellation、NCC-1017)
- マット・デッカー准将の指揮。2267年、L-374星系の近くで超巨大無人兵器「惑星の殺し屋」と交戦し大破、放棄される。その後応急修理で再稼動し、「惑星の殺し屋」を内部から破壊するため自爆させられた。船名は星座の意。
- U.S.S.ディファイアント(U.S.S.Defiant、NCC-1764)
- U.S.S.ディファイアントを参照。
- U.S.S.ファラガット(U.S.S.Farragut、NCC-1647)
- ガロヴィック大佐の指揮。2257年、ダイコス4号星で遭遇したダイキロニウム・ガス怪獣の攻撃を受け、クルー200名が死亡した。ジェームズ・T・カークが最初に配属された船で、カークは生存者の一人である。アメリカ南北戦争の北軍提督デヴィッド・ファラガットに由来。: 『スタートレック エンサイクロペディア』などの記述では長らくコンスティテューション級として扱われてきたが、『ストレンジ・ニュー・ワールド』1-10話ではミランダ級に似た別の艦級として登場。 2259年時点でカークはこの艦の副長を務めていたほか、パイク船長がエンタープライズの指揮を退任しなかった世界線の2266年では船長であった。
- U.S.S.ヨークタウン(U.S.S.Yorktown、NCC-1717)
- ジョエル・ランドルフ大佐の指揮。2286年、太陽系にやって来た異星人の探査機の影響で機能不全に陥った。後に改称され、U.S.S.エンタープライズNCC-1701-Aとなる。船名はアメリカの空母ヨークタウン (CV-5)に由来。なお、最初期の草稿においては主役艦の名はエンタープライズではなくヨークタウンだった。
- U.S.S.リパブリック(U.S.S.Republic、NCC-1371)
- 2250年頃、宇宙艦隊アカデミーの学生だったジェームズ・T・カークが少尉として訓練乗務していた船。
- U.S.S.レキシントン(U.S.S.Lexington、NCC-1709)
- ロバート・ウェスリー准将の指揮。2268年、M-5コンピューター演習に参加したがM-5に乗っ取られたU.S.S.エンタープライズの実弾射撃を受け、クルー53名が死亡した。船名はアメリカの空母レキシントン (CV-2)に由来。
- U.S.S.エクスカリバー(U.S.S.Excalibur、NCC-1664)
- ハリス大佐の指揮。2268年、M-5コンピューター演習に参加したがM-5に乗っ取られたU.S.S.エンタープライズの実弾射撃を受け、クルーは全員死亡した。船名はアーサー王物語の聖剣エクスカリバーに由来。
- U.S.S.フッド(U.S.S.Hood、NCC-1703)
- 2268年のM-5コンピューター演習に参加した船の一隻。船名はイギリスの戦艦フッドに由来。
- U.S.S.ポチョムキン(U.S.S.Potemkin、NCC-1657)
- 2268年のM-5コンピューター演習に参加した船の一隻。船名はロシアの軍艦ポチョムキンに由来。なお上記4隻は、旧TV版では「四分割したTV画面それぞれにエンタープライズ号の映像を同時表示することで、「四隻」を同時に表示する」手法で登場した(現デジタルリマスター版では、普通にCGで4隻の艦隊が表現されている)。
- U.S.S.ルーベン・ジェームズ(U.S.S.Reuben James)
- ジャコボ・ロス准将の指揮。2265年、クリンゴン帝国との中立地帯に近いドロザナ星系の宇宙基地に駐留。船名は19世紀初頭のアメリカ海軍兵士、ルーベン・ジェームズに由来。「Star Trek Online」に登場。
- U.S.S.ニュージャージー(U.S.S.New jersey, NCC-1975)
- 『スタートレック:ピカード』26話に登場。経歴は不明であるが、宇宙艦隊ミュージアムに展示されている。 ニュージャージーと明言されてはいないが、『新スタートレック』130話「エンタープライズの面影」にてピカード艦長がスコット大佐に「Constitution class. There is one in the fleet museum. but then, of course this is your Enterprise(コンスティテューション級ですか。艦隊ミュージアムに1隻あります。ですがこれは、あなたのエンタープライズですね)」という会話をする場面がある。
注
- ^ a b c 『スタートレック:ピカード』のプロダクション・デザイナーであるデイブ・ブラス氏のInstagram
- ^ a b Star Trek Logs “U.S.S. Titan”『スタートレック』シリーズ公式Instagram
- ^ 『宇宙大作戦』デジタルリマスター版で設定された番号
関連項目
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