ネコぱら
『ネコぱら』(英語: NEKOPARA)は、さよりが代表を務めるNEKO WORKs制作の美少女アドベンチャーゲームである。 擬人化された猫がヒロインのハートフルコメディ。E-moteシステムを採用しており、キャラクターがアニメーションのように動くのが特徴。日本語、英語、中国語の3ヶ国語に対応している。2014年12月30日からSteamで配信されている[2][3]。2016年12月29日にアニメ化プロジェクトが開始され、クラウドファンディングで資金を募った所42分で目標額10万ドルに到達した[4]。 シリーズ累計の売上本数は2017年10月時点で170万本以上で、売上の9割は日本国外(主に北米と中国)からの購入であると発表されている[5]。2021年11月29日時点では500万本を突破している。[6]2024年12月27日時点では650万本を突破している。[7] Steam版発売当時、Steamの運営元であるValve Corporationは性表現を含むゲームの販売を禁じていたが、外部で性表現を含むパッチを配布することを禁止してはいなかった[8]。このため、Steamで配信されている『ネコぱら』シリーズには性表現は含まれておらず、Steam版『ネコぱら』をアダルトゲームとしてプレイする場合は、NEKO WORKsの公式通販サイトから有料でパッチを購入する必要がある[8]。 また、登場人物たちの日常をつづったVol.0および、前日譚であるExtraは全年齢向けとなっており、性表現を追加するためのパッチは存在しない。 あらすじvol.1 ソレイユ開店しました!主人公・水無月嘉祥は、実家を離れ、ケーキ屋『ラ・ソレイユ』を開店する準備をしていた[9]。実家から送られてきた荷物を確認したところ、実家で飼育していた人型ネコのショコラとバニラが入っていた[9]。二匹を追い返そうとしたが、彼女たちからの嘆願を受け、嘉祥は二匹を手元に置くことにした[9]。 vol.2 姉妹ネコのシュクレ水無月家のアズキとココナツはかつては仲が良かったが、今は喧嘩ばかりだった[9]。そして、ある日、二匹の間に事件が起きた。 vol.3 ネコたちのアロマティゼメイプルは夢に向かって進み始めるが、壁にあたって思い悩む。 それを見たシナモンは、メイプルに協力を申し出たいと考えるが、どのようにすればよいのかわからず困ってしまう。 Extra 仔ネコの日の約束嘉祥が『ラ・ソレイユ』を開店する約半年前、仔ネコのショコラとバニラが水無月家に来た。 はじめは他のネコたちと距離を置いていた二匹だったが、やがて嘉祥をご主人様と認めるようになる。 そして、その年のクリスマス、二匹は嘉祥とある約束をする。 vol.4 ネコとパティシエのノエル嘉祥とネコたちの関係もよくなり、店も繁盛してきたある日、妹の時雨から母・淡雪の誕生日祝いのケーキの依頼が入る[9]。 嘉祥の手作りケーキで淡雪の誕生日を祝っていたところ、父である和菓子職人・州浜が帰宅する[9]。 和菓子職人である州浜は「和菓子とか洋菓子といったジャンルに関係なく、お前の料理には芯がない」と息子に告げる[9]。 さらに、州浜が自分よりも上手な生クリームを作って見せたことから、嘉祥は落ち込んでしまう[9]。 キャラクター担当声優はPC版 / 家庭用ゲーム版・OVA版 / テレビアニメ版・スマホ版の順。 主要人物
水無月家の人型ネコたち
その他の登場人物
開発企画本シリーズは、さよりが主宰する同人サークルから発売された漫画・イラスト集『NEKO PARADISE』を基にしている[11]。 さよりは同人誌の人気を認識していた一方、ページ数に制限のある同人誌では猫たちの日常を描けないと感じていた[12]。さよりは、「ゲームなら内容を長くすることができる上に、動きや音声もつけられるのでファンを満足させることができる」と考え、『NEKO PARADISE』のゲーム化を考えた[12]。 アージュを退社した後の2012年、さよりはスミレの代表であるシナリオライター・雪仁から声をかけられ、『NEKO PARADISE』のゲーム化を望んでいることを伝えたところ、やってみようかという話になった[11]。それからしばらくたった2014年4月、雪仁から「手が空いているので『NEKO PARADISE』のゲーム化計画を進められる」という連絡があり、当時妊娠中で仕事が少なかったさよりは「趣味だから、自分たちのペースでゆっくり開発しても大丈夫だ」と考え、同年末のコミックマーケットで発売することを目標にした開発をはじめた[12]。だが、開発を進める中でやりたいことを突き詰めるうちに規模が大きくなり、E-moteの導入に伴うゲームエンジンの変更といった品質強化を進めた結果、開発費もフルプライスゲーム並みに高くついた[11]。それでも、メインスタッフにして原画家であるさよりがCGを増やすことを厭わない姿勢をとっていたため、原画代が発生することはなかった[11]。 機能・演出本作は、E-moteやAdobe After Effectsなどの、商業作品でも使われるツールを利用して開発された[12]。 さよりは、ういんどみるOasisの『ウィッチズガーデン』がE-mote導入のきっかけだったとテックジャイアンとのインタビューの中で述べており、「当時はまだE-moteが一般に公開されていなかったものの、どうしてもアニメーションを導入したかったため、手書きアニメーションで代用を考えていた。その時、E-moteが公開されたため、体験版で動く絵をサンプルとして公開したところ、反応が良かったので導入を決めた」と振り返っている[12]。ただし、E-moteはそれに追従するエンジンでないと単体では動作せず、最終的に本作専用のカスタマイズエンジンを開発せざるを得なかったため、開発を始めた時点で見積もった費用がより高くなる結果を招いた[12]。 「胸を揺らす」という隠し機能を導入した理由について、さよりは「私はゲーマーとして時間が長かったため、『どの要素もつまらないというのは悲しい』と考えており、細かな部分でも楽しめる『救い』として『胸を揺らす』という機能を導入した」と、電ファミニコゲーマーとのインタビューの中で述べている[5]。 シナリオ・キャラクター設定本シリーズに登場するキャラクターのうち、ショコラとバニラは『NEKO PARADISE』よりも前の2008年夏のコミックマーケットで発売された同人誌を初出としており、キャラクターの名称はその同人誌のおまけ本で初めて登場したほか、この時点で二人はケーキ屋に勤務しているという設定が存在していた[12]。 さよりはテックジャイアンとのインタビューの中で、ショコラとバニラの服装について、「過去にゴスロリを描いていたころから白黒の色味を多用しており、今回のソレイユの制服でもそれを採用したら、メイド服っぽくなってしまった」と振り返っている[12]。 ゲーム化に当たり、さよりは「同人誌のキャラクターと別人だと思われる分には問題ない」と考え、シナリオライターの雪仁に「これまでの同人誌の設定は気にしなくてよい」と話し、最低限の設定を伝えた後は雪仁に任せた[12]。 雪仁は、一から設定を作り直すつもりでキャラクターの設定を構築したが、さよりのキャラクターを自分が動かしてしまってもよいのかという不安から、何度もさよりに問い合わせたとテックジャイアンとのインタビューの中で述べている[12]。 また、前述のインタビューの中で、雪仁は「シナリオを執筆するにあたり、キャラクターの可愛さとエロさを引き立てることを意識した」と述べている[12]。 主人公の実妹である時雨について、さよりは「雪仁さんに『この作品は猫たちがメインであって、時雨は攻略対象じゃないから、あまりいい子にしないでほしい』と頼んだはずなのに、すごくヒロインらしい妹に仕上がってしまった」と、同人ゲームサークル・moarea88とのインタビューの中で述べており[13]、雪仁も「さよりからは『時雨は、猫を嘗め回しかねないほどの変態にしてほしい』という指定があったが、それはちょっと辛いのではないかとさよりに話した」とテックジャイアンとのインタビューの中で振り返っている[12]。 本シリーズのキャストはさよりの要望を基に選出されており、「ショコラとバニラは最初の段階から中村あむとヒマリにすると決めていた」とさよりはテックジャイアンとのインタビューの中で振り返っている[14]。 また、ショコラとバニラ以外のキャラクターも、さよりが過去に関わった作品の出演者や、さよりが気に入っているゲームのサンプルボイスを聞いたうえで選出されており、最終的に美少女ゲームで活躍する声優が多用された[14]。 Steamでの配信および多言語対応元々本作は外国語に対応する予定はなかったが、2014年7月にティザーサイトと公式Twitterアカウントを公開したところ、Steamで話題になっていた海外製のギャルゲー『Sakura Spirit』のパブリッシャーであるSekai Projectから「我々が翻訳するから、Steamで公開しないか」とTwitterを通じて持ち掛けられた[12]。スケジュールを検討した結果可能であると判断したさよりは、自身の母国である中国に美少女ゲームの愛好家が多いことを理解していたため、「英語版も出すなら中国語版も出してはどうか」と提案し、Sekai Projectはその提案を受け入れた[12]。 NEKO Worksの社長であるアンコウは元々Steamのユーザーであり、いつかSteamでゲームを出したいと考えていたところ、『Sakura Spirit』が世界中で大きな注目を集めたことを知り、自分たちでもできるのではないかと思い、まずはユーザーの反応を見るためにSteam Greenlightに本シリーズの情報を投稿した[5]。 投稿して間もなく、本シリーズに対する支持が集まり、正式リリースが決定した[5]。また、これに合わせて多言語対応も決定し、英訳はSekai Projectのスタッフが、中国語訳はさよりの同人誌を台湾で代理販売する同人サークルがそれぞれ担当した[12]。 翻訳作業が開始されたのは発売3か月前の9月であった上、元の日本語のテキストに誤字や脱字が見つかると他の言語版のテキストも翻訳しなおす必要があったため、NEKO Worksはマスターアップ直前までデバッグに追われた[12]。 音楽本シリーズの楽曲はスミレに所属する水城新人が手掛けた[14]。 また、Vol.1のオープニング曲である『タイヨウパラダイス』はnaoが、エンディングテーマである『ねこまんま日和』の歌唱は霜月はるかがそれぞれ担当した[14]。 霜月の起用は、雪仁と霜月に偶然共通の知り合いがいたことで実現した[14]。 反響本シリーズ累計の売上本数は2017年10月時点で170万本以上で、売上の9割は日本国外(主に北米と中国)からの購入であると発表されている[5]。 アンコウは電ファミニコゲーマーとのインタビューの中で、「Vol.1の時点では北米からの購入者が多かったが、Vol.2、3と進むにつれて中国から購入者が増えていた」と述べており、ヒットの要因として「980円という価格帯で多言語対応のギャルゲーを出したことと、アニメーションツールであるE-moteを導入したことが大きかったのではないか」と推測している[5]。 また、全世界におけるシリーズ累計の売上本数は2021年11月時点で500万本を突破した[15]。 評価moarea88はVol.1の体験版について、「従来のスミレの作品では序盤から個性的なサブキャラクターが勢いよく物語を動かすのに対し、Vol.1の体験版はヒロインの二人とした物語が展開するため、彼女たちの可愛さに惹かれた」とGetchu.comに寄せた記事の中で述べている[13]。 OVA
2017年12月22日に本作を原作とするOVAがSteamで配信開始されたほか、2018年1月1日には上映会が開催された[16][17]。2018年7月27日には『仔ネコの日の約束』のOVA版がゲーム版と同時に配信開始された。 制作2016年12月29日より、OVAの資金調達がKickstarterで開始され、10万ドルごとに10分アニメを長くするという追加目標が用意された[18]。締め切りまでに最終的には96万ドルを超える資金が集まり、支援金額の大きさはKickstarterアニメーション部門歴代1位を記録した[19]。その後、PayPal利用者等を対象とした追加ファンディング「ネコぱらOVA追加支援キャンペーン」が実施された[19][20]。 スタッフ
主題歌
テレビアニメ2020年1月から3月までAT-Xほかにて放送された[22][23]。 番組終了後は、『今日のネコちゃん』と題し、1匹の猫が紹介されるミニコーナーがあった。 プロモーション2019年6月に製作が発表された[10]。さらに同年7月6日にロサンゼルスで開催されたANIME EXPOにて第1話の先行プレミア上映があり、追加キャストとして森嶋優花がテレビアニメオリジナルキャラクターを担当することが発表された[24]。その後、7月27日に台湾の台北で開催されたFancy Frontier 開拓動漫祭[25]、8月9日にカナダのバンクーバーで開催されたAnime Revolution[26]、11月10日に北京で開催されたBICAF2019国际动漫展[27][28]などで第1話の先行上映会が行われた。11月29日にシンガポールで開催されたC3 AFA Singapore 2019でも先行上映会が開催され[29]、各局の放送日時と主題歌情報が公開された[30]。2019年12月24日には1話と2話の先行上映会が東京でも開催され[31]、配信情報[32]、Webラジオの開始[33]、インターネットでの特番[34]、リリースイベントの情報[35]が発表された。 スタッフ(TV)
主題歌(TV)
各話リスト
放送局
BD
Webラジオ『ネコぱらじお』がHiBiKi Radio Stationで2020年1月1日から2020年4月2日迄隔週水曜日に配信[40][33]。パーソナリティはショコラ役の八木侑紀、バニラ役の佐伯伊織、カカオ役の森嶋優花。 森嶋優花の担当するテレビアニメオリジナルキャラクターは当初名前が不明であり、ラジオでは仮の名前として事前のTwitterでのアンケート[41]の結果によりマカロンという名前が付けられ[42]、「マカロン役の森嶋優花」と名乗っていた。 ボイスドラマ
コミカライズ『ネコぱら 〜ショコラ&バニラ〜』のタイトルで『電撃G'sコミック』の2018年7月号 - 2019年1月号に連載された。作画はTam-U。
『ネコぱら 〜ショコラ&バニラ〜』 アスキー・メディアワークス 〈電撃コミックスNEXT〉、1巻完結
スマートフォン向けゲーム2019年7月、ロサンゼルスで開催されたANIME EXPOにて『ネコぱらいてん!』と題する新作のゲームが発表された[43]。登場キャラクターはフレーズ(声優は山本希望)[44]のほか、バニラ(佐伯伊織)[45]、ショコラ(八木侑紀)[46]などテレビアニメ版に準じるキャラクターとキャストが発表されている。企画はavex technologies、開発はYostar[47]。2024年12月に制作中止を発表。登場を予定していたネコたちは『ネコぱら セカイコネクト』に引き継がれる。[48] 脚注
外部リンク
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