パレルモFC (Palermo FC )は、イタリア ・パレルモ を本拠地とするサッカー クラブチーム。
概要
主な愛称はエンブレムやユニフォームなどからロザネーロ (イタリア語で「ピンクと黒」)。クラブのサポーターは「パレルモ人」を意味するパレルミターノ と呼ばれている。同じくシチリア島を本拠とするカターニャ との対戦はデルビー・ディ・シチリア と呼ばれるイタリア屈指の有名カードである。その他、ナポリ との対戦はデルビー・デル・スッド (「南部のダービー」)、カリアリ との対戦はデルビー・デッレ・イーゾレ (「島のダービー」)と呼ばれ、毎年白熱した試合が繰り広げられている。
欧州では珍しいピンクをクラブカラーとしていることで知られるが、1900年の設立から7年間は「赤と青」を採用していた。現在のカラーを採用するに至った経緯は明確になっておらず諸説あるが、ユニフォームを漂白する過程で誤ってピンクと黒になってしまったという説や、創設者の一人ジョセフ・ウィテカー が勝利あるいは敗北の試合後に飲んだリキュールと薬草酒の「甘みと苦味」を表現したという説が最も有名である[ 4] [ 5] 。
歴史
1900年11月1日、ウニオーネ・スポルティーヴァ・チッタ・ディ・パレルモ (Unione Sportiva Città di Palermo )として創設。
多くをセリエAで過ごした1940~50年代を除いて長らく下部リーグに所属していたが、2002年夏、ヴェネツィア のオーナーだったマウリツィオ・ザンパリーニ が1500万ユーロでクラブを買収し、会長に就任すると、積極的な補強などが実を結び2004年に31季ぶりのセリエA 昇格を果たし、さらに欧州カップ戦への出場を成し遂げるなどクラブの地位を著しく向上させた。通算29シーズンをセリエAで過ごし、また2006年のイタリア代表 のワールドカップ 制覇にはアンドレア・バルツァッリ 、クリスティアン・ザッカルド 、ファビオ・グロッソ 、シモーネ・バローネ の4名を送り込み、ユヴェントス の5名に次ぐ2番目の勢力として代表チームに貢献した。2008年にG-14 (ヨーロッパビッグクラブ連合体)の後継組織であるECA (欧州クラブ協会)に加盟。
セリエA復帰後の2014-15シーズン はアルゼンチン人のパウロ・ディバラ とフランコ・バスケス の活躍もあり、シーズンを11位で終えた。
ディバラがユヴェントスに移籍して迎えた2015-16シーズン は実に8度の監督交代が行われるなど、チームは混迷を深めながらも最終節でエラス・ヴェローナに3-2で勝利して16位となり、降格を免れた[ 6] 。
1年でのセリエA復帰を目指した2017-18シーズン は、ブルーノ・テディーノ が監督に就任しシーズン前半を首位で折り返すも、最終的には自動昇格圏外の4位で終え、昇格プレーオフでも決勝でフロジノーネ に敗れ昇格を逃した。
2018-19シーズンは勝ち点63の3位で終え、昇格プレーオフの出場権を獲得したものの、深刻な財政難に陥り、2019年5月13日、FIGCにより、一度は最下位の19位でセリエC降格処分が下された[ 7] [ 8] 。しかし、クラブはこの処分に対しFIGCに上訴し、自動降格処分から勝ち点20の剥奪処分に軽減され、最終的に11位となった[ 9] 。
2019年7月12日、FIGC (イタリアサッカー連盟)により、2019-20シーズンのセリエB から除外され[ 10] 、7月23日、起業家ダリオ・ミッリ(パレルモ出身、レンツォ・バルベラ の甥)と、シチリア系アメリカ人のトニー・ディピアッツァが共同所有の会社"Hera Hora srl"がクラブを買収してSSDパレルモ (Società Sportiva Dilettantistica Palermo )が創設され、セリエD (4部)へ所属することとなった[ 11] 。2020年7月16日、クラブ名をパレルモFC (Palermo Football Club)に改称した[ 12] 。
2022年7月4日、マンチェスター・シティFC を保有するシティ・フットボール・グループ による買収が発表された[ 13] [ 14] 。買収額は1300万ユーロであり、クラブ株式の80%を取得した。
名物オーナー
2002年にASローマ のフランコ・センシ会長からクラブを買収した現会長マウリツィオ・ザンパリーニは、イタリア最大のスーパーマーケットチェーン、エンメゼータのオーナーであった(2005年所有する全株を多国籍企業に売却)。同氏はパレルモを買い取るまでSSCヴェネツィア で20年(1987年〜2002年)会長を務めた他、セリエC1やC2のさまざまなクラブでオーナー経験を持つ。本業であるエンメゼータを重点出店したい地域のチームを買収し、「あなたの買い物がチームを強くする」と看板広告に記載し、サポーターのチームに対しての忠誠を巧みにスーパーの売り上げに利用すると言うユニークな手法で本業を大きくした。
「スクデットを獲得するまで財布の紐を締めない」という発言の通り巨万の富を投入し積極的な補強を行いクラブを強化する。シチリアの州都である大都市パレルモを本拠地に持ちながらセリエC1に甘んじていたパレルモをセリエAに定着させ、人気クラブへと成長させた功績は非常に大きい。一方で成果が出なければ短期間で監督を解任する短気さで有名であり、25年を超えるクラブオーナー生活で支払った違約金は合計で1000万ユーロを超えるという[ 15] 。また監督交代で成果が出なければ呼び戻すことも多く、フランチェスコ・グイドリン などは4度も解任されている。近年は南米からタレントを発掘し高額で売却する移籍方針に代わり、「もう広告としてのチームは必要では無くなった」と売却を示唆したり、自身が担う役割を任せられる優秀なディレクターを求めるなど一線から退きたい意向を示している。実際に2012年にCEOに就任したピエトロ・ロ・モナコ はクラブ株式の10%を保有しており、後継者として期待されていたが、一躍名を上げたカターニャ 時代と同様の極端な南米路線はチームの崩壊を招き低迷。ザンパリーニの就任10シーズン目の節目の一年は久々のセリエB降格という結果に終わり、ロ・モナコはシーズン終了を待たずしてクラブを去った。
サプライヤーとスポンサー
タイトル
国内タイトル
セリエB :5回
1931–32, 1947–48, 1967–68, 2003–04, 2013–14
国際タイトル
なし
過去の成績
シーズン
ディビジョン
コッパ・イタリア
リーグ
順位
試
勝
分
敗
得
失
点
1959-60
セリエA
16位
34
0 6
15
13
27
40
27
ベスト16
1960-61
セリエB
0 3位
38
13
20
0 5
46
27
46
1回戦敗退
1961-62
セリエA
0 8位
34
13
0 9
12
30
35
35
2回戦敗退
1962-63
セリエA
18位
34
0 5
10
19
18
54
20
1回戦敗退
1963-64
セリエB
12位
38
0 9
17
12
25
28
35
1回戦敗退
1964-65
セリエB
11位
38
12
12
14
43
43
36
3回戦敗退
1965-66
セリエB
15位
38
0 9
16
13
34
34
34
2回戦敗退
1966-67
セリエB
0 9位
38
12
14
12
34
26
38
2回戦敗退
1967-68
セリエB
0 1位
40
18
16
0 6
40
23
52
2回戦敗退
1968-69
セリエA
11位
30
0 7
11
12
21
32
25
1回戦敗退
1969-70
セリエA
15位
30
0 5
10
15
23
45
20
1回戦敗退
1970-71
セリエB
13位
38
0 8
21
0 9
33
33
37
1回戦敗退
1971-72
セリエB
0 3位
38
17
14
0 7
35
22
48
1回戦敗退
1972-73
セリエA
15位
30
0 3
11
16
13
41
17
1回戦敗退
1973-74
セリエB
0 7位
38
0 9
21
0 8
35
42
39
準優勝
1974-75
セリエB
0 5位
38
13
17
0 8
31
25
43
1回戦敗退
1975-76
セリエB
11位
38
11
0 6
11
34
35
38
1回戦敗退
1976-77
セリエB
13位
38
0 8
17
13
29
41
33
1回戦敗退
1977-78
セリエB
0 6位
38
12
16
10
42
36
40
1回戦敗退
1978-79
セリエB
7位
38
11
19
9
38
34
41
準優勝
1979-80
セリエB
10位
38
12
14
12
29
35
38
1回戦敗退
1980-81
セリエB
14位
38
9
21
8
35
33
34
1回戦敗退
1981-82
セリエB
6位
38
15
12
11
52
42
42
1回戦敗退
1982-83
セリエB
15位
38
11
12
15
36
46
34
1回戦敗退
1983-84
セリエB
17位
38
9
16
13
30
32
34
1回戦敗退
1984-85
セリエC1/ジローネB
2位
38
16
13
5
41
24
45
1回戦敗退
1985-86
セリエB
16位
38
7
20
11
27
35
34
1回戦敗退
1986-87
Club cancelled, did not play in any league
1987-88
セリエC2/ジローネD
1位
34
19
11
4
57
21
49
—
1988-89
セリエC1/ジローネB
3位
34
11
18
5
31
19
40
—
1989-90
セリエC1/ジローネB
5位
34
14
15
5
34
19
43
2回戦敗退
1990-91
セリエC1/ジローネB
2位
34
15
13
6
40
24
43
1回戦敗退
1991-92
セリエB
17位
38
11
13
14
41
43
35
2回戦敗退
1992-93
セリエC1/ジローネB
1位
34
16
14
4
46
25
46
1回戦敗退
1993-94
セリエB
14位
38
12
12
14
32
38
36
2回戦敗退
1994-95
セリエB
12位
38
10
14
14
33
35
44
2回戦敗退
1995-96
セリエB
7位
38
12
16
10
36
35
52
準々決勝敗退
1996-97
セリエB
19位
38
6
17
15
40
55
35
1回戦敗退
1997-98
セリエC1/ジローネB
14位
34
8
13
13
32
37
37
1回戦敗退
1998-99
セリエC1/ジローネB
2位
34
15
11
8
36
30
56
—
1999-2000
セリエC1/ジローネB
6位
34
13
13
8
30
23
52
GS敗退
2000-01
セリエC1/ジローネB
1位
34
18
10
6
47
31
64
—
2001-02
セリエB
11位
38
12
12
14
47
54
48
GS敗退
2002-03
セリエB
6位
38
15
13
10
45
42
58
1回戦敗退
2003-04
セリエB
1位
46
22
17
7
75
39
83
ベスト16
2004-05
セリエA
6位
38
12
17
9
48
44
53
ベスト16
2005-06
セリエA
5位
38
13
13
12
50
52
52
準決勝敗退
2006-07
セリエA
5位
38
16
10
12
55
46
58
GS敗退
2007-08
セリエA
11位
38
12
11
15
47
47
47
ベスト16
2008-09
セリエA
8位
38
17
6
15
57
50
57
3回戦敗退
2009-10
セリエA
5位
38
18
11
9
59
47
65
5回戦敗退
2010-11
セリエA
8位
38
17
5
16
58
63
56
準優勝
2011-12
セリエA
16位
38
11
10
17
52
62
43
ベスト16
2012-13
セリエA
18位
38
6
14
18
34
54
32
4回戦敗退
2013-14
セリエB
1位
42
25
11
6
62
28
86
3回戦敗退
2014-15
セリエA
11位
38
12
13
13
53
55
49
3回戦敗退
2015-16
セリエA
16位
38
10
9
19
38
65
39
4回戦敗退
2016-17
セリエA
19位
38
6
8
24
33
77
26
4回戦敗退
2017-18
セリエB
4位
42
18
17
7
59
39
71
3回戦敗退
2018-19
セリエB
11位[ 19]
36
16
15
5
57
38
43[ 20]
3回戦敗退
2019-20
セリエD/ジローネI
1位
26
20
3
3
47
16
63
—
2020-21
セリエC/ジローネC
7位
36
14
11
11
44
40
53
—
2021-22
セリエC/ジローネC
4位
36
18
12
6
64
33
66
—
2022-23
セリエB
欧州の成績
現所属メンバー
2022年9月12日現在 [ 21] [ 22] [ 23] [ 24]
注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルール に基づく。
期限付き移籍選手
in
注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルール に基づく。
out
注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルール に基づく。
歴代会長
歴代監督
歴代所属選手
GK
DF
MF
FW
脚注
^
“Renzo Barbera ” (Italian). PalermoCalcio.it. 23 April 2011時点のオリジナル よりアーカイブ。4 May 2011 閲覧。
^ “City Football Group acquires majority stake in Palermo FC ”. palermofc.com. 4 July 2022 閲覧。
^ “Palermo, ecco il nuovo CdA firmato City: c'è Galassi ” (Italian). calcioefinanza.it. 6 July 2022 閲覧。
^ “Records fall for plucky Palermo” (英語). FIFA.com. (2006年11月8日). http://www.fifa.com/worldfootball/clubfootball/news/newsid=107432.html 2013年1月5日 閲覧。
^ “BUON COMPLEANNO, PALERMO 108 ANNI E BELLO COME SEMPRE” (イタリア語). パレルモ公式サイト. (2008年11月1日). http://palermocalcio.it/it/0809/news/scheda.php?id=11220 2013年1月5日 閲覧。
^ “Wk38: Palermo squeeze to safety ”. Football Italia (15 May 2016). 15 May 2016 閲覧。
^ “BREAKING: Palermo relegated to Serie C” . Football Italia (London: Tiro Media). (13 May 2019). https://www.football-italia.net/138005/breaking-palermo-relegated-serie-c 20 May 2019 閲覧。
^ Mastrocola, Cesare (13 May 2019). “(244) – DEFERIMENTO DEL PROCURATORE FEDERALE A CARICO DI: ZAMPARINI MAURIZIO (all'epoca dei fatti Presidente del CdA della Società US Città di Palermo Spa sino al 7 marzo 2017 e, successivamente, Consigliere del Consiglio di Amministrazione della Società US Città di Palermo Spa sino al 3 maggio 2018), GIAMMARVA GIOVANNI (all'epoca dei fatti Presidente del CdA della Società US Città di Palermo Spa dall'8 novembre 2017 all'8 agosto 2018), MOROSI ANASTASIO (all'epoca dei fatti Presidente del Collegio Sindacale della Società US Città di Palermo Spa) SOCIETÀ US CITTÀ DI PALERMO SPA - (nota n. 12055/816 pf18-19 GP/GC/blp del 29.4.2019).” (Italian). Comunicato Ufficiale (FIGC) 2018–19 (63). https://www.figc.it/media/87986/cu-n-63.pdf 20 May 2019 閲覧。 .
^ “Serie B: Palermo avoid relegation ”. Football Italia. 29 May 2019 閲覧。
^ “Figc: Palermo escluso da Serie B, ripescato Venezia” (Italian). La Repubblica. (12 July 2019). https://palermo.repubblica.it/sport/2019/07/12/news/figc_palermo_escluso_da_serie_b_ripescato_venezia_-231039066/ 12 July 2019 閲覧。
^ “IL FUTURO DEL PALERMO, MIRRI-DI PIAZZA I NUOVI PROPRIETARI” (イタリア語). Giornale di Sicilia. (24 July 2019). https://palermo.gds.it/video/calcio/2019/07/24/il-futuro-del-palermo-in-diretta-dal-comune-la-scelta-della-nuova-proprieta-5246d1b7-9fe8-4b8b-a416-bbe094c1d3eb/ 24 July 2019 閲覧。
^ “New name & coach for Palermo ”. Football Italia. 16 July 2020 閲覧。
^ “City Group, chi sono i nuovi proprietari che hanno acquistato il Palermo ” (イタリア語). SKY Sport Italia (4 July 2022). 4 July 2022 閲覧。
^ “Il city football group rileva la maggioranza del palermo fc ” (イタリア語). Palermo F.C. (4 July 2022). 4 July 2022 閲覧。
^ “Palermo, Zamparini: "Allenatori esonerati? Se penso a tutto quello che ho speso mi sparo"” (イタリア語). TUTTOPALERMO.net. (2012年9月22日). http://www.tuttopalermo.net/?action=read&idnotizia=48689 2013年1月5日 閲覧。
^ “Palermo Shirt List ”. Alessio Candiloro. 16 July 2007時点のオリジナル よりアーカイブ。14 June 2007 閲覧。
^ “Partners ”. U.S. Città di Palermo. 20 May 2019 閲覧。
^ "GRUPPO ARENA SPONSOR DI MAGLIA DEL PALERMO CALCIO" (Press release) (Italian). U.S. Città di Palermo. 2 May 2019. 2019年5月20日閲覧 。
^ 財政難により降格
^ 勝ち点20が剥奪
^ “First Team 2022/23 ”. palermofc.com . 2021年9月12日 閲覧。
^ “23 convocati per Palermo-Picerno ” (Italian). palermofc.com. 20 August 2021 閲覧。
^ “I convocati per Palermo-Foggia ” (Italian). palermofc.com. 9 October 2021 閲覧。
^ “I convocati per Palermo-Avellino ” (Italian). palermofc.com. 30 October 2021 閲覧。
^ "COMUNICATO DELLA SOCIETÀ" (Press release) (イタリア語). U.S. Città di Palermo. 3 May 2019. 2019年5月3日時点のオリジナル よりアーカイブ。2019年5月20日閲覧 。
外部リンク
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