ビリー・カーンビリー・カーン プロフィール
ビリー・カーン (Billy Kane) は、SNK(SNKプレイモア)の対戦型格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズなどに登場する架空の人物。 キャラクター設定シリーズ第1作の『餓狼伝説』(以下、初代『餓狼』と表記)より登場。出稼ぎでサウスタウンに来たらしく、当初はギース・ハワードが支配する工場で働いていた。仕事仲間とのいざこざで大人数とケンカになり、その際鉄パイプを使って全員を血の海に沈めたところを偶然見かけたギースによって取り立てられ、以降はハワード・コネクションの構成員となる。 最初は単に用心棒として雇われただけだが、ギースに厚く忠誠を誓うビリーをギースも信頼しており、シリーズが進むに連れて、ギースから重要な秘密などの管理を任されるなど、コネクションの中枢の任務にも関わることが多くなり、側近の地位にまで上り詰めた。 ビリーの高い戦闘能力には、ギースも一目置いている。なお、彼の棒術の師はサウスタウンに住む東洋人の男性[注 1]であるが、技を全て会得したビリーによって殺害された。ギースの命令であり、「ギース自身もそうした」という理由で師を殺害した[注 2]。 ビリーはギースに心酔し、絶対の忠誠を誓っている。そのため、ビリー自身は人から命令されることをひどく嫌うが「ギース様だけは別だ」と語っている。ギースのことは自分の命よりも優先すべき存在と思っており、その忠誠心はギースの死後も消えることはなかった。 初代『餓狼』では六角棍を使っていたが、それを無くすと戦う術を失うという弱点があった。『餓狼伝説2』(以下『餓狼2』と表記)以降は、発火させることができる特注品のコンバーター三節棍を使っている。ちなみに『KOF'96』のエンディングにおいてはライフルの弾丸を防ぐほどの強度を誇る。 頭に巻いたバンダナが特徴で、その下の髪が描かれる場合は概ね金髪を短く刈った髪型だが、2014年に稼働したパチスロ『餓狼伝説PREMIUM』では黒髪で、側頭部を剃り上げて伸ばした後ろ髪を後頭部で束ねた髪型となっている。このバンダナは基本的に赤白のストライプ柄だが、『KOF XIV』(以下『KOF XIV』と表記)及び後述の『THE KING OF FIGHTER for GIRLS』ではユニオンジャック柄となっている[注 3]。 初代『餓狼』では素肌にオーバーオールを着用し、『餓狼2』および『餓狼伝説スペシャル』(以下『餓狼SP』と表記)ではユニオンジャック柄のノースリーブシャツを着用している。『リアルバウト餓狼伝説』(以下『RB』と表記)以降は禁煙マークの入ったジャンパー[注 4]を着用することが多いが、ビリー本人はヘビースモーカーである。銘柄は両切りのゴロワーズで、1日2箱は吸う[4]。 幼いころから両親がおらず、サウスタウンの下町で食事も満足にとれない程貧しい暮らしを送っていた。リリィという8歳年下の妹[5]がおり、彼女をとても大事にしている。誰も信用していない彼にとって妹のリリィは唯一の家族であり味方であった。彼は妹のためなら何でもした。妹が幼い頃には家事全般をこなし、生活を支えるために犯罪にも手を出した。少しでも贅沢をさせてやりたい、という一心からギースの配下になった[6]。ジョー・ヒガシがリリィに好意を抱いているのを知っているが、ビリーはそのことに対して快く思っておらず、『餓狼伝説3』(以下『餓狼3』と表記)でのジョーのエンディングではジョーがリリィの肩に手をかけており、その奥でビリーが怒り狂いながら三節棍を振り回している。続く『RB』でのビリーのエンディングでは、逆にビリーがリリィを小脇に抱えてジョーから奪還している。ビリーはリリィの前では普通の兄として振る舞うようにしており、裏社会で生きる姿を極力見せないようにしている。肉親の絆というものを好まないギースも、リリィのことは不問にしている。しかしながらビリーはギースに絶対的な忠誠心を持っているために、ギースとリリィの命を天秤にかける時はギースを優先させる[7]。 『餓狼2』および『餓狼SP』での戦いの舞台はイングランドのロンドン。奥に歯車が並んでおり、ライン移動ができない(ライン飛ばし攻撃を食らうと歯車にぶつかり、追加ダメージを受けて手前のラインに戻される)。ラウンド4(エクストララウンド)まで進むと、ステージの左側に洗濯物がぶら下がっているが、これはビリーの趣味である洗濯を反映させたもの。 『餓狼SP』では、総当たり戦となるために、ギースもしくはビリーをプレイヤーとして進めていくと、お互いに戦う場面が発生する。ギースに対して忠誠心があるビリーだが、「夢のようだ」と言って正々堂々と戦いを挑む。しかしギースに勝つと「あんたの腕もサビついちまったようだな」と見下すような台詞を吐く。ただ、本心としてはギースやクラウザーに勝利するのは想定外だったようであり、彼のエンディングでは困惑している姿が描かれている。 初代『餓狼』のリメイク作品の『餓狼伝説 WILD AMBITION』(以下『餓狼WA』と表記)ではライデンとともにプレイヤーキャラクターとして登場する。ただし『餓狼WA』での使用武器は三節棍になり、1Pの衣装は『RB』のジャンパーのアレンジで、2Pの衣装はベストとネクタイに変更されている。 各作品ごとの設定・演出餓狼伝説『餓狼2』および『餓狼SP』ではヴォルフガング・クラウザーの部下になっていたが、その目的はクラウザーを監視することにあり、これはギースからの命令であった[1]。ただし、『餓狼2』の稼働当初は、ギースは本当に死んでいた設定になっていた。『餓狼』および『餓狼2』の時点では、ビリーの出身国は「アメリカ」との設定であったが、『餓狼SP』以降は「イギリス」に変更された[1]。 『餓狼3』ではテリー、アンディ、ジョーのCPU戦のみ対ギース戦前に登場する。また、ギースのエンディングにも姿を見せる。 『RB』のエンディングでは、自身が倒したシャドウ(クラウザー配下のギースの影武者)の顔に「にせもの」とラクガキをするお茶目な一面もある。 『リアルバウト餓狼伝説スペシャル DOMINATED MIND』(以下『RBSDM』と表記)では、ボスキャラクターであるホワイトに洗脳されるという憂き目に遭った。 『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』(以下『RBS』と表記)では、「『RB』以後、ギース死亡のショックで精神に異常をきたした」という設定[要出典]のEXビリーが、隠しキャラクターとして登場している(ゲーム上の性能は『RB』のビリーとほぼ同じ)。 ザ・キング・オブ・ファイターズ『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(以下『KOF』と表記)シリーズの一作目である『KOF'94』では、イギリスチームとしてキングとビッグ・ベアと組んで登場が予定されていたが、女性格闘家チーム編成に伴い、ベアとビリーの出場はなくなった[8]。なお、ビリーはスーツ姿でメキシコ(龍虎の拳チーム)ステージ、ベアはイタリア(餓狼伝説チーム)ステージの背景に登場している。 『KOF'95』(以下『'95』と表記)ではギースの命令で八神庵と如月影二の二人と「ライバルチーム」を結成して出場するが、そのエンディングで庵に不意討ちを受け、影二とともに倒されてしまった。それ以降、八神庵を敵視している。『'95』の衣装は初代『餓狼』と同様に素肌にオーバーオールを着用している。K.O負けすると三節棍が回転しながら飛んでしまい、時間切れで負けると三節棍を真っ二つに折る。 『KOF'96』では、ボスチームのステージの背景に同僚のリッパー、ホッパーとともに登場する。ボスチームのエンディングでは、ギースがMr.ビッグから銃撃された直後、その銃弾を棒で防いでギースを守っている[9]。 『KOF'97』(以下『'97』と表記)ではギースの指示でブルー・マリーと山崎竜二とともに「'97スペシャルチーム」として出場。以降の作品では、この二人(特に山崎)と組んでの出場が多い。 『KOF2003』(以下『2003』と表記)では山崎、牙刀と組んで「アウトローチーム」として出場。ギースの意図で組まれたチームだったが、無界との戦いの直後に牙刀は結局大会に父親が現れなかったことでその場を離れ、更には「血が騒ぐ」と挑発してきた山崎と小競り合いを行い、チームは空中分解している。なお、この『2003』のみコスチュームのデザインが『餓狼WA』の1Pカラーに近いものになっている。 家庭用『KOF XIII』では唯一の新規追加キャラクターとして出場。『KOF XIII』の衣装は『'95』と同様に素肌にオーバーオール。また、悪態をつきながらもリリィと親密なジョーへの気遣いを見せている。 『KOF XIV』では主人のギースと新たなハワード・コネクションのメンバー・ハインとともに「サウスタウンチーム」として出場[10]。『KOF XV』ではハインが自身の代わりに山崎をチームに加えることをギースに了承してもらうが、ハインが素直にギースに忠誠を誓ってないと気づいたビリーは、リッパーとホッパーに「ハインから目を離すな」と依頼する。 『KOF XIV』以降はリリィに未だに好意を抱くジョーから「お兄様」と呼ばれるがビリーはジョーに対して殺意をむき出しにしており、『KOF XIII』とは逆の対応をしている。『KOF XV』の「餓狼伝説チーム」のエンディングではジョーがリリィをデートに誘ったことに憤慨して、ジョーを病院送りにする。 『KOF MAXIMUM IMPACT 2』(以下『KOF MI2』と表記)ではギースの死後、裏世界から足を洗ってイギリスの片田舎に隠れ住み、リリィとともに平穏な生活を送っていた。しかし『KOF』の開催を知ると、サウスタウンが誰の街であるかを思い知らせるために舞い戻るが、さらにこのことは後に妹のリリィの耳にも届くことになり、兄を真人間にする更生目的の妹の大会参加[注 5]までに発展することとなる。同作では彼に限ったことではないが、日本語で喋る場面が多くなっている。『KOF MI2』に開催された大会で、マキシマに棒を使うことを抗議されたが、サイボーグである彼に対して、そのことを言われたくないと強い口調で言い返している。また同作やアニメ『Another Day』では、ギースの実子であるロック・ハワードに執着し、ビリーは彼をハワード・コネクション復興の要にしようと画策、会うたびにサウスタウンの支配に引き込もうとする。 女性向け恋愛ゲーム『THE KING OF FIGHTER for GIRLS』では、『KOF MI2』と同様にギースと死別しており、大会主催者のナギが結成させたオフィシャルチームの一員として、ナギの側近のヨミ、山崎竜二とチームを組んでいる。ただし、ゲームシステム上はナギ・ヨミ・ビリーの三人が「神世界チーム」として扱われる[11]。 『THE KING OF FIGHTERS ALLSTAR』では通常のビリーのほか、2019年7月30日より女体化されたプリティー・ビリーが登場[12]。腰まで伸びた長い髪をカチューシャ状にしたバンダナで飾った美少女で、衣装は『KOF XIV』のものをベースにしているが、へそ出しになっていたりジーンズの右足の部分が大胆にカットされていたりとアレンジされている[注 6]。 3DCGアニメ『THE KING OF FIGHTERS: DESTINY』では、バンダナの下の髪色・髪型の設定が前述の『餓狼伝説PREMIUM』と同様のものに変更されている。 カプコンとのクロスオーバー『頂上決戦 最強ファイターズ』ではトーナメントモードでカプコン側のキャラクターを選択している場合に登場。ギースの命令でプレイヤーキャラクターを襲うが、ライバルキャラクターにあっさり退場させられる(選んでいたカプコン側キャラクターがベガだった場合、ベガのライバルキャラクターであるギースが現れてビリーを叱責しながら画面外へ吹き飛ばす)。なお、SNK側を選択していた場合に登場し、同様の役回りになるバルログはその後の『CAPCOM VS. SNK』シリーズおよび『SVC CHAOS』に使用キャラクターとして登場できたのに対し、ビリーは『CAPCOM VS. SNK 2』で妹のリリィとともにロンドンステージに背景出演したり、『SVC CHAOS』で同僚のリッパーやホッパーとともにギースの個別エンディングに登場する程度となっている。ただし、カードゲームの『激突カードファイターズ』シリーズではビリーの個別キャラクターカードが全ての作品に存在する。 キャラクターの原型最初にデザインされた時のモデルはイギリス出身のプロレスラー、ダイナマイト・キッド[13]で、当初は金髪の坊主頭の設定だったが、デザイナーの猛反対によって変更され[7]バンダナの下はフサフサの髪の毛になっている。『ネオジオフリーク』誌での『RB』の開発者インタビューなどでは、モデルは俳優のエミリオ・エステベス(当時)とされている[7]。 ゲーム上の特徴格闘スタイルは棒術。初代『餓狼』では、「旋風飛翔棍」で棒をなくすとひたすら身を守り行動不能になる。同作のビリーの攻撃は全てガード可能で投げ技が存在しないため、対CPU戦ではひたすらガードを固めて棒を投げてくるのを待ち、代わりの棒を受け取った直後の隙に投げを決める(投げると棒をまた手放す)というのを繰り返すだけで勝つことが可能であった。 『餓狼2』での対CPU戦では三闘士の第1番目として登場し、プレイヤーの前に立ちはだかる。機動力の高さはさほどでもないが、各種通常技、驚異的なリーチの長さである「三節棍中段打ち」、対空迎撃に使用する「雀落とし」、反撃技の「旋風棍」でプレイヤーを寄せ付けない強さを見せた。アクセル・ホーク、ローレンス・ブラッド、ヴォルフガング・クラウザーともに、スーパーファミコンやメガドライブなどの一部の移植版でのみ、隠しコマンドを入力することで使用できる。 最初から使用可能となった『餓狼SP』では、超必殺技の「超火炎旋風棍」が追加されたことで、攻撃だけでなく守備面も強化された。CPUビリーにパーフェクト勝ちすると4万点のボーナスが貰える。『RB』シリーズでは、続編が出るごとに性能が変更されている。『リアルバウト餓狼伝説2』(以下『RB2』と表記)では、強攻撃の性能が大きく変更されたが、三節棍による攻撃のリーチの長さは変わらず。『RB』や『RBS』(EXビリー)での潜在能力である「紅蓮殺棍」は、連続技や反撃技として優秀な性能を誇る。 『KOF』シリーズでは、三節棍による攻撃のリーチの長さは不変のものだが、全体的に攻撃判定がそれほど強くはなく、また、機動力も高くはないため、攻めと守りを堅実にこなす地道な戦法を取ることが多い。特殊技の「大回転蹴り」はビリーの技の中でも性能が高く、通常技をキャンセルして出すと効果的。 技の解説通常技『KOF』シリーズ技名が公表されている『'95』の名称のみ記載[14]。
通常投げ
特殊技
必殺技
超必殺技・潜在能力
ストライカー動作
他のメディアでのビリー『コミックボンボン』の漫画版『餓狼伝説』(細井雄二・著)では「人間凶器」の異名を持ち、テリーとの勝負に負けたマイケル・マックスとホア・ジャイを何の躊躇いもなしに棒で頭を貫通させて処刑するというゲーム以上の残酷さを見せている。続編の『2』では、テリーに敗れた上にギースを失ったショックから酒浸りの日々を送っていたが、ローレンスにスカウトされてクラウザーの配下として復活を果たす[注 7]。テリーを一度は倒すが「一勝一敗」としてトドメは刺さず、テリーの再起に期待して決着を促す。クラウザーの居城においては同僚のチン・シンザンの手で重傷を負わされながらもテリーと決着を付けようとするが、クラウザーの攻撃からテリーを庇って倒れた。『3』には未登場。『餓狼1』では一人称は「私」だったが、『2』以降は「オレ」になっている。また、この作品の「強襲飛翔棍」は飛び込みを撃墜する対空技になっている。 『ボンボン増刊号』に連載された漫画版『KOF』(細井雄二・著)にも登場。草薙京と戦い、彼にテリーと同じ物を感じる。最後は庵に奇襲され、倒された。 担当声優
関連人物
脚注注釈
出典
参考文献
関連項目 |