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ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン

ビートルズ > 曲名リスト > ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン
ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン
ビートルズ楽曲
収録アルバムザ・ビートルズ・アンソロジー3
英語名What's the New Mary Jane
リリース1996年10月28日
録音
ジャンル実験音楽[1]
時間6分21秒
レーベルアップル・レコード
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
ザ・ビートルズ・アンソロジー3 収録曲
ロッキー・ラックーン
(DISC 1-21)
ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン
(DISC 1-22)
ステップ・インサイド・ラヴ / ロス・パラノイアス
(DISC 1-23)

ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」(What's the New Mary Jane)は、ビートルズの楽曲である。ジョン・レノンによって作曲された楽曲(クレジットはレノン=マッカートニー名義)で、1968年にインドのリシケーシュマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのもとで超越瞑想を学んでいた時期に書かれた[2]。同年の『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム)』のためのセッションでレコーディングが行なわれたが、最終的に未収録となった。

1969年にプラスティック・オノ・バンドのシングルとして発売することが計画されたが、何らかの事情によって発売中止となり、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』で公式作品初収録となった。

背景・曲の構成

1968年の春、ビートルズはインドのリシケーシュにわたり、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのもとで超越瞑想を学んでいた[3][4]。この時期にレノンは、「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」を書いた[5]。歌詞の中には、チャパティ(インドの薄焼きパン)、アフリカの女王、スパゲティ、モンゴルのヒツジ、パタゴニアのパンケーキなどが登場する[6]。タイトルおよび歌詞に登場する「Mary Jane(メリー・ジェーン)」は、マリファナを表す隠語[7][8]

1969年5月の『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』誌のインタビューで、レノンは「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」をアレックス・マルダス英語版[注釈 1]とともに書いたことを示唆している[9]。しかし、発売時の作曲者のクレジットにアレックスの名はなく[9]ポール・マッカートニーとの共同名義であるレノン=マッカートニーが表記されている[11]。音楽史家であるジョン・ブラニーは、アレックスが作詞を手伝った可能性を考慮したうえで、「レノンであれば世界最高のミュージシャンと組めるのに、なぜ素人と組んだのか?」「アレックスの名が共作者としてクレジットされていないうえに、仕上げのレコーディングに参加していないのはなぜか?」という疑問を呈し、前述のレノンの発言を「インタビューを利用したアップル・エレクトロニクスの宣伝」と推測している[12]

レコーディング

1968年5月、キンファウンスにあるジョージ・ハリスンの自宅で、デモ音源(通称「イーシャー・デモ」)の録音が行なわれた[5]。レノンはこの日に15曲のデモ音源の録音を行なっており、「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」はそのうちの1つだった[13]。この日に録音されたデモ音源には、タンバリンの音と狂的なコーラスのほか、レノンによる語りが含まれている[14]

8月14日、ジョージ・マーティンのプロデュースのもと、EMIレコーディング・スタジオのスタジオ3で「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」のレコーディングが行なわれた[5][6]。本作のレコーディングには、レノンとジョージ・ハリスンのほかにオノ・ヨーコマル・エヴァンズが参加[15]。この日のセッションで4テイク録音され[5]、最終テイクに追加のギターのパート、ピアノボーカルオーバー・ダビングされた[15]。セッションの終わりに、モノラル・ミックスが作成され[15]、9月11日にステレオ・ミックスが作成された[6]。しかし、『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム)』の発売に向けた準備の中で、本作は収録曲の候補から外された[5]

11月26日、レノンとオノはステレオ・マスターに対してオーバー・ダビングを行なった[15]。オーバー・ダビング完了後、テープの編集が行なわれて複数のバージョンが作成され、その日の夜にレノンによって最終的なマスターが選ばれた[15]

リリース

アルバム『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム)』発売後も、レノンは本作の発売を計画していた。1969年後期、レノンは同年に結成したプラスティック・オノ・バンドの3枚目のシングルとして「ユー・ノウ・マイ・ネーム」を発売し、そのB面に本作を収録することを計画[16]。シングルには「Apple 1002」というカタログ番号が割り当てられ、イギリスで1969年12月5日に発売が予定されたが、発売日直前に取りやめとなった[17]

1984年、ジェフ・エメリックが未発表のテイクを集めた『セッションズ英語版』用に本作のリミックスを行なった[5]。しかし、このアルバムはハリスンとマッカートニーが「作品の質」を批判する宣誓供述書を提出したことにより発売中止となった[18][19][20]。本作を含めた『セッションズ』の発売に向けて用意された音源は、海賊盤業者の手に渡り、1988年に発売された『Ultra Rare Trax, Volume 5 & 6』や1990年に発売された『Unsurpassed Masters, Volume 4』などの海賊盤に収録された[21]

1994年にジョージ・マーティンによってリミックスされ[5]、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』で初めて公式発売された[6]

2018年に発売された『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉』に、この曲のイーシャー・デモとテイク1が収録された[22][23]

クレジット

※出典[6]

脚注

注釈

  1. ^ 「マジック・アレックス」(Magic Alex)の名で知られる発明家[9]。レノンの推薦でアップル・エレクトロニクスの責任者を務め、アップル・スタジオのデザインなどを手がけた[10]

出典

  1. ^ Courrier, Kevin (2008). Artificial Paradise: The Dark Side of the Beatles' Utopian Dream. Santa Barbara, California: ABC-CLIO. pp. 215-216. ISBN 0313345872 
  2. ^ ビートルズのインド訪問50周年、あなたが知らない16の歴史的トリビア”. マイナビニュース. マイナビ (2018年2月18日). 2018年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月12日閲覧。
  3. ^ Everett 1999, pp. 199, 202–203.
  4. ^ Shea & Rodriguez 2007, p. 301.
  5. ^ a b c d e f g Womack 2016, p. 534.
  6. ^ a b c d e White Album 2018, p. 37.
  7. ^ Misiroglu, Gina (2015). American Countercultures: An Encyclopedia of Nonconformists, Alternative Lifestyles, and Radical Ideas in U.S. History. Taylor & Francis. p. 465. ISBN 1317477294 
  8. ^ Womack 2016, p. 535.
  9. ^ a b c Blaney 2005, p. 34.
  10. ^ ビートルズと親交の深かったマジック・アレックスことヤニ・マルダスが逝去。享年74歳”. NME Japan. BandLab UK (2017年1月14日). 2022年7月27日閲覧。
  11. ^ Anthology 3 (booklet). The Beatles. London: Apple Records. 1996. p. 17.
  12. ^ Blaney 2005, pp. 34–35.
  13. ^ Everett 1999, p. 163.
  14. ^ Winn 2009, p. 170.
  15. ^ a b c d e Blaney 2005, p. 35.
  16. ^ Greene, Doyle (2016). Rock, Counterculture and the Avant-Garde, 1966-1970: How the Beatles, Frank Zappa and the Velvet Underground Defined an Era. Jefferson, North Carolina: McFarland, Incorporated, Publishers. p. 70. ISBN 1476624038 
  17. ^ Lewisohn 1988a, p. 194.
  18. ^ Unterberger 2006, pp. 373–374.
  19. ^ Heylin 2010, p. 299.
  20. ^ Doggett 2011, pp. 284–285.
  21. ^ Winn 2009, p. 201.
  22. ^ アルバム本編の“2018年ステレオミックス”や多数のアウトテイクを収録!ザ・ビートルズ『ホワイト・アルバム』50周年記念スーパーデラックスエディション”. HMV&BOOKS online. ローソンエンタテインメント. 2019年1月12日閲覧。
  23. ^ ザ・ビートルズ、ホワイト・アルバム50周年記念盤が登場”. BARKS. 株式会社ジャパンミュージックネットワーク (2018年9月25日). 2019年1月12日閲覧。

参考文献

外部リンク

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