『マリと子犬の物語』(マリとこいぬのものがたり)は、2007年12月8日に公開された日本映画[2]。配給は東宝。
2004年10月23日に発生した新潟県中越地震において、新潟県山古志村(現・長岡市)で起きた実際のエピソードを元に映画化された。
原作
映画の原作となったのは、2005年2月に文藝春秋から出版された『山古志村のマリと三匹の子犬』である。長岡市のNPO法人「ながおか生活情報交流ねっと」の理事長・桑原眞二が、山古志村の実在の犬・マリの飼い主から、新潟県中越地震発生時のマリと子犬たちの話を聞き、絵本として出版することを発案した。絵本の売上金の一部は新潟県中越地震の復興に充てられることとなった[3]。絵本は、主に小中学生の間で広く読まれ、2007年6月現在で12.5万部が発行された。映画『マリと子犬の物語』はこの絵本を原作として制作された。映画の撮影には新潟県と新潟県長岡市・三条市が全面的に協力している[4]。
あらすじ
山古志村で暮らす石川家の亮太と彩の兄妹は、幼い頃に母親を亡くしていた。二人はある日、原っぱで捨て犬を見つける。その子犬を拾い、マリと名付けてかわいがる。
翌年、成長したマリは3匹の子犬を産み[5]、喜ぶ亮太や彩と幸せに暮らしていた。だが10月23日夕方、突然マグニチュード6.8の大地震が発生する。
仕事や学校で村外にいた亮太と父・優一は難を逃れたが、在宅していた彩と祖父・優造は倒壊した家の下敷きになってしまう。絶望しかける二人だが庭で子犬を世話しているマリが壊れた家の中に何度も入ってきて励まされる。
更にマリは二人を助けようとするが、マリの力ではどうにもならない。
それでもマリは救助にきた自衛隊員を誘導して彩たちは助け出されるが、避難のヘリコプターにはペットを乗せることができず、マリと子犬は取り残される。
全村民が村外避難となった後、食べ物もなくさまざまな危険も襲ってくる中、マリは子犬を守り続け、彩からもらったゴムまりを持って、兄妹に拾われ一緒に遊んだ原っぱを繰り返し訪れて主人の帰りを待った。
そして余震が続く中、山古志村に嵐が近づいている事を知り、マリを心配する彩の懇願を受けて亮太は共に立ち入り禁止になっている山古志村に向かう。だが雨にうたれて彩は発熱し、後を追ってきた優一に二人は助けられる。
余震が収まった後、亮太と彩たちは山古志村に戻るが村は廃墟と化しており、マリや子犬の姿はどこにも見当たらない。だが兄妹がマリとの思い出の原っぱに向かうと、そこにたくましく生き抜いた三匹の子犬と、傷だらけになりながら子犬を守り抜いたマリが姿を現す。
そして地震の翌年、仮設住宅では石川家の家族と仲良く元気に暮らすマリと三匹の子犬の姿があった[6]。
キャスト
- 石川家
-
- 石川優一(40歳、山古志村役場職員) - 船越英一郎
- 長谷川冴子(35歳、優一の義妹) - 松本明子
- 石川亮太(10歳、優一の息子) - 広田亮平
- 石川彩(5歳、優一の娘) - 佐々木麻緒
- 石川優造(75歳、優一の父) - 宇津井健
- マリ(柴犬) - イチ[7]
- 小出家
-
- 内村家
-
- 本間家
-
- その他
-
- 安田啓一(陸自二曹) - 高嶋政伸
- 竹村真治(山古志村役場職員・優一の同僚) - 徳井優
- 関根博美(亮太の担任) - 小林麻央
- 児島忠志(山古志村村長) - 小野武彦(長島忠美旧山古志村村長がモデル)
スタッフ
主題歌
主題歌の作詞と歌唱は平原綾香が手がけている[9]。平原のデビュー曲である「Jupiter」は、新潟県中越地震が起こった後、新潟県内のラジオ局でたびたびリクエストされていた[10]。被災地の復興を応援する歌となっていることを知った平原は、その後たびたび被災地を慰問に訪れていた[9]。主題歌の「今、風の中で」について、平原は被災者を主人公として作詞したと語っている。山古志で開かれた映画の試写会では、平原は会場となった体育館で大勢の住民を前に主題歌を歌った[10]。
自衛隊の装備
災害観測、災害派遣のシーンでは陸上自衛隊が全面協力し、実際に出動した部隊やヘリコプター等の装備も撮影に参加した[11]。
余談
関連出版物
映画の公開に先駆けて、「マリと子犬の物語」のタイトルで『週刊少年サンデー』で2007年38号から45号まで短期集中で連載された。作画は爲永ゆうによる。ほか、主に児童向けの小説や漫画も出版された。
モデルとなったマリ
映画のマリのモデルとなった実際のマリは、劇中とは違って地震当日の朝に3頭の子犬を産んだ。地震発生から16日後に救助された後、飼い主が身を寄せていた避難所には犬を入れることができず、仕方なく子犬とともに置いていくことになった。その後、山古志村の様子を報道する新聞記事に村内に残っていた犬の写真が掲載されたが、これを飼い主が見てマリだと気づき、生きていることを確信。11月10日に一時帰村が許可され、足が不自由だった飼い主に変わって息子が自宅に行くと、3匹の子犬とマリを見つけたが、子犬たちがよく太っていたのに対しマリはひどく痩せていたという[16]。また、心的外傷後ストレス障害 (PTSD) によるとみられる行動の変化があり、怯える様子や側溝などを跨げない様子があったという[17]。2007年12月頃に飼い主は家を再建し、マリはまた飼い主と一緒に暮らせることとなった[16]。
テレビ東京系列で放送されていた『まさはる君が行く!ポチたまペットの旅』の旅犬まさはる君は、新潟県長岡市を旅した際に山古志のマリの住む家を訪れ、松本秀樹共々マリに会っている(2015年2月17日放送)[18]。
マリは2016年6月10日夕方、長岡市内の飼い主宅で15歳で死去した[17]。
なお、マリの産んだ子犬たちは、それぞれ長岡市と新潟市の新たな飼い主のところへと引き取られている。そのうちの1頭は山古志村に住んでいた[19]。
脚注
関連項目
外部リンク
|
---|
1月 | |
---|
2月 | |
---|
3月 | |
---|
4月 | |
---|
5月 | |
---|
6月 | |
---|
7月 | |
---|
8月 | |
---|
9月 | |
---|
10月 | |
---|
11月 | |
---|
12月 | |
---|
|