レイルリンク (Rail Link、2003年3月26日 - 2022年5月20日) は、イギリスで生産、フランスで調教を受けたサラブレッドの競走馬、種牡馬。2006年の凱旋門賞、パリ大賞典などに優勝した。
戦績
レイルリンクは生産者であるハーリド・ビン・アブドゥッラー所有のもと、フランスのアンドレ・ファーブル調教師に預けられて競走馬となったが、デビューは遅く、2歳のうちは未出走で過ごした[2]。3歳になり、2006年4月10日のサンクルー競馬場で行われたセントサイモン賞(未勝利戦・2100メートル)[3]で初戦を迎えた。この初戦では、道中でレイルリンクの前肢が先行する馬の後肢にぶつかり、その衝撃で内ラチにぶつかって騎手を落としてしまい、競走中止という結果に終わっている[2][3]。
翌5月にシャンティイ競馬場での2戦目で2着[4]、3戦目となったグヴェルナン賞(サンクルー・未勝利戦)で、2着馬に2馬身差をつけての初勝利を飾った[5]。続いてロンシャン競馬場のリス賞(G3)では、持ったままの楽な走りながらも、2着に2馬身差をつけて初の重賞勝ちを飾る[6]。
初のG1出走となった7月14日のパリ大賞典では圧倒的1番人気に支持され[7]、2着馬レッドロックスに2馬身差をつけて優勝、話題の一頭となった[8][7]。このあと、約2ヶ月の間隔を空ける。
秋になると、まず凱旋門賞の前哨戦ニエル賞に出走し、2着のユームザインに半馬身差をつけて優勝、4連勝を記録した[9]。この時点でレイルリンクは凱旋門賞の有力候補であったが、同じ厩舎のハリケーンランやシロッコ、日本から参戦したディープインパクトの下馬評が高く、多くのブックメーカーはレイルリンクをこの3頭に次ぐ存在としており、ロンシャン競馬場内の単勝オッズも25倍で4番人気だった[要出典]。また、2戦目から騎乗していたクリストフ・スミヨンがシロッコに騎乗したため、ステファン・パスキエ騎乗で出走した。道中はディープインパクトをマークするように追走し、最後の直線では先に抜け出したディープインパクトを交わし、さらに最後方から追い込んできたプライドをクビ差で抑えて優勝、5連勝で凱旋門賞を制覇した[10][11]。
この凱旋門賞を含む5連勝は高く評され、国際競馬統括機関連盟(IFHA)発表の「トップ50ワールドリーディングホース」においては127ポンドを与えられ、この時点ではバーナーディニなどと並んで世界最高位の競走成績と位置付けられた[12]。2017年年初に発表された2016年の最終的なランキングではインヴァソール(129ポンド)ら3頭に上位を譲るものの、ディープインパクトらと並んで世界4位タイと評価された[13]。また、レイルリンクの活躍により、父ダンシリは2006年のフランスリーディングサイアーの座を獲得している。
2007年春は骨折のために休養した[要出典]。当初は9月16日のフォワ賞で復帰予定であったが、7月の時点で腱に故障が見つかったため回避、当年は競走に使わないと発表された[14]。その後、7月末にこのまま引退すると発表[15]、2008年から種牡馬として供用されることになった。
競走成績
出走日 |
競馬場 |
競走名 |
格 |
距離 |
着順 |
騎手 |
着差 |
1着(2着)馬 |
出典
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2006.04.10 |
サンクルー |
セントサイモン賞 |
|
芝2100m
|
中止 |
J.ヴィクトワール |
|
Sudan |
[3]
|
2006.05.10 |
シャンティ |
モンパニョット賞 |
|
芝2100m
|
2着 |
C.スミヨン |
2馬身 |
Lauro |
[4]
|
2006.05.29 |
サンクルー |
グヴェルナン賞 |
|
芝2100m
|
1着 |
C.スミヨン |
2馬身 |
(Spicy Wings) |
[5]
|
2006.06.20 |
ロンシャン |
リス賞 |
G3 |
芝2400m |
1着 |
C.スミヨン |
2 1/2馬身 |
(Sudan) |
[6]
|
2006.07.14 |
ロンシャン |
パリ大賞典 |
G1 |
芝2400m
|
1着 |
C.スミヨン |
2馬身 |
(Red Rocks) |
[8]
|
2006.09.10 |
ロンシャン |
ニエル賞 |
G2
|
芝2400m |
1着 |
C.スミヨン |
1/2馬身 |
(Youmzain) |
[9]
|
2006.10.01 |
ロンシャン |
凱旋門賞 |
G1 |
芝2400m
|
1着 |
S.パスキエ |
クビ |
(Pride) |
[11]
|
種牡馬入り後
2008年よりバンステッドマナースタッドで種牡馬入りし、初年度の種付料は12500ポンドに設定された。しかし活躍馬は少なく、種付料は漸減、2013年・2014年時点での種付料は5000ポンドに設定されていた[16]。2015年からはフランスのナショナル・ド・セルシー・ラ・トゥール牧場に移動[2]。種付料は2800ユーロに下落した。2022年5月20日に心臓発作のため、死亡した。19歳没。
主な産駒
- 2009年産
- Last Train(ラストレイン)- バルブヴィユ賞(仏G3)
- Sediciosa(セディシオサ)- ロワイヨーモン賞(仏G3)
- 2010年産
- 2012年産
血統表
血統背景
父ダンシリ (Dansili) はデインヒルの直仔。現役時代に14戦5勝し、プール・デッセ・デ・プーラン2着などマイル路線で活躍した(詳細は同馬の項目参照)。母ドックランズ (Docklands) はシアトリカル産駒。半兄のチェルシーマナー (Chelsea Manor) はフランスのG3を勝っている。半姉のテキスタイルは、新冠町の川上牧場で繁殖牝馬として繋養されている。曾祖母のGolden Alibiは名牝ダリアの半妹にあたる。
脚注
外部リンク