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中島潔

中島 潔(なかしま きよし、1943年4月26日 - )は、日本画家絵本作家イラストレーター。郷愁を誘う童画や、儚げな女性画を得意とする。「風の画家」として知られる[1]

経歴

1943年、旧満洲国において父・峰雄、母・ウメ子の間に生まれる。1歳の時両親の故郷の佐賀県へ戻る。

1961年、佐賀県立唐津西高等学校卒業。母の死後2か月で再婚をした父への反発から[2]家を出て、伊豆下田で温泉掘りの仕事をする。独学で絵を学び、その後印刷所、広告会社などで働く。

1971年、パリへ行き、半年間絵の勉強をする。

1976年、独立しフリーになる。

1982年、NHK音楽番組みんなのうた」の『かんかんからす』のイメージ画を担当し話題になる。同年9月に小田急百貨店で初の個展を開く。

1987年、『木霊みょうと』で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。

1990年、中国文化庁の招きで北京で個展を開く。

1999年、港区広尾に「ギャラリーうめ吉」をオープン。(2011年3月現在、整備のため休館中)

2001年、パリ、三越エトワール美術館にて「風の画家中島潔の世界・童画でつづる三十年史」展を開く。

2010年、清水寺成就院に、「かぐや姫」「風の故郷」「大漁」など、46面の襖絵を奉納。

2015年、京都の六道珍皇寺に「地獄心音図」の連作5枚を奉納。同寺にて「中島潔 地獄心音図 完成特別公開 -親から子へ、いま伝えたいこと‐」を開催。

「うめ吉」について

「うめ吉」とは、一つの意味は中島潔の雅号であり、落款や初期の印に使われている。もう一つの意味は、童画中に多く登場する犬の名前である。ぬいぐるみとしても人気を博している。

「はあと」について

「はあと」とは、2011年頃より、作品の中にたびたび登場する犬の名前である。耳がふわっとしているのが特徴。中島潔の実際の愛犬「はあと」がモデルとなっている。

作品

童画

農村の風景の中に佇む少年少女を描く。

人気のある画題であり、CMや、NHK「みんなのうた」のイラスト、カレンダー、ジグソーパズル、塗り絵、雑誌表紙など広い分野で見ることができる。

女性画

儚げな女性画を描く。また、『源氏物語』や『万葉集』などを題材とした歴史的な女性像の作品もある。

金子みすゞ

2000年から金子みすゞをモチーフにした作品を発表している。特に、みすゞの代表作である『大漁』については、成就院の襖絵を含めて、作品を4作発表している[2]

関連人物

さだまさしは、中島潔の絵を最初に購入した人物である。その絵は『雨宿り』という題であり、それが「雨やどり」を作曲するヒントとなったと本人が書いている。またその縁で個展の推薦文を書いたとき、「風の画家」というキャッチフレーズを考え出し、これが中島潔を表す言葉になった[3]

「うめ吉」のぬいぐるみなどは、阿部進の設立した創造教育センターにおいてライセンス管理がなされている。また、画集や絵本の多くは創造教育センター(KABA書房)から出版されている。

上京後、一時森田拳次のアシスタントとして働く。同時期に働いていたアシスタントに、ジョージ秋山がいた。

水島新司とも交友があり、水島の漫画作品『あぶさん』には中島本人が度々登場している。

著作等

絵画

  • 『かぐや姫』(2010年、清水寺成就院第一室襖絵)
  • 『風の故郷(花別れ・にわか雨・向日葵)』(2010年、清水寺成就院第二室襖絵)
  • 『風の故郷(紅葉・雪の音)』(2010年、清水寺成就院第三室襖絵)
  • 『大漁』(2010年、清水寺成就院第四室襖絵)
  • 『地獄心音図』(2015年、六道珍皇寺[4]

画集

  • 『風の言葉―風の画家中島潔画集』(KABA書房、1984年)
  • 『風の便り―風の画家中島潔画集』(KABA書房、1984年)
  • 『風の匂い―風の画家中島潔画集』(KABA書房、1984年)
  • 『哀ひとひら』(偕成社、1988年4月、ISBN 9784039633903
  • 『風ひといろ』 (KABA書房、1990年1月、ISBN 9784915467257
  • 『風ものがたり―「中島潔」童画集』 (KABA書房、1990年1月、ISBN 9784915467264
  • 『ふるさと憧憬』 (KABA書房、1991年4月、ISBN 9784915467271
  • 『万葉恋詩』(白泉社、1992年8月、ISBN 9784592760610
  • 『風と花と恋と―「中島潔」画文集』(NHK出版、1993年4月、ISBN 9784140092248
  • 『源氏物語の女(ひと)』(KABA書房、1994年4月、ISBN 9784915467332
  • 『ふるさとの詩―わが心のうた』(KABA書房、1996年4月、ISBN 9784915467349
  • 『童画でつづる30年史―風の画家中島潔』(KABA書房、2001年1月、ISBN 9784915467356
  • 『中島潔の世界1968→2004 (別冊太陽)』(平凡社、2004年6月、ISBN 9784582944709
  • 『みすゞ憧憬―中島潔作品集』(二玄社、2005年11月、ISBN 9784544020960

絵本

  • 『うめ吉』シリーズ
    • 『うめきちまってて』(阿部進 文、KABA書房、1983年3月)
    • 『うめきちおんや?』(阿部進 文、KABA書房、1983年3月)
    • 『うめ吉わん』(ゆざわなつき 文、KABA書房、1987年1月、ISBN 9784915467240
  • 『ゆめみるラッコ ― シアトルからの海のたび』(阿部進 文、KABA書房、1983年11月)
  • 『おふうたいそうできちゃうもん』(阿部進 文、KABA書房、1984年4月)
  • 『おふうのいちにち』(阿部進 文、KABA書房、1984年4月)
  • 『木霊(こだま)みょうと』(吉本直志郎 文、ポプラ社、1986年9月、ISBN 4591023397

イラスト

  • 『とびだせバカラッチ隊』(全2巻)(吉本直志郎文、ポプラ社)
  • 『十二歳シリーズ』(全5巻)(薫くみこ 文、ポプラ社)

他、童話イラストや雑誌表紙など多数。

TV

ドキュメンタリー

  • 「郷愁・童謡と童画で描く中島潔の世界」(NHK 1999年 - 2000年)
  • 「生命(いのち)へのまなざし 〜中島潔が描く金子みすゞの世界〜」(NHK 2001年)
  • 「世界・わが心の旅:セーヌ川 私をつくった二人の女」(NHK 2001年)
  • 「ヒューマンドキュメンタリー 風の画家 “いのち”を描く」(NHK 2010年)

脚注

出典

  1. ^ 画家・中島潔さん、観光PR向け作品完成 唐津市”. 佐賀新聞社 (2011年7月12日). 2018年3月25日閲覧。
  2. ^ a b 『ヒューマンドキュメンタリー・風の画家 いのちを描く』2010年12月23日 NHK総合放送
  3. ^ 『中島潔の世界1968→2004 (別冊太陽)』
  4. ^ 山下裕二(2016)「地獄心音図」『日本美術全集20 日本美術の現代・未来』、小学館、pp.302-303。

参考文献

  • 『別冊太陽 中島潔の世界 1968-2004』

外部リンク

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