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八王子市陵南会館爆破事件

八王子市陵南会館爆破事件
事件現場(2018年(平成30年)10月28日撮影)
場所 日本の旗 日本東京都八王子市東浅川町の集会施設「八王子陵南会館」[1]
座標
北緯35度38分48.6秒 東経139度17分36.8秒 / 北緯35.646833度 東経139.293556度 / 35.646833; 139.293556座標: 北緯35度38分48.6秒 東経139度17分36.8秒 / 北緯35.646833度 東経139.293556度 / 35.646833; 139.293556
日付 1990年(平成2年)10月9日[1]
午前4時30分頃[1] (UTC+9)
概要 革労協解放派が八王子陵南会館に消火器爆弾と時限式発火装置を設置し、同会館を焼失させた。
武器 消火器爆弾と時限式発火装置[1]
損害 木造平屋建ての同会館363m2のうち、250m2を焼失[1]
犯人 革労協解放派
動機 即位の礼・大嘗祭に対する反発
対処 警視庁公安部が革労協解放派の活動拠点などを家宅捜索
謝罪 なし
賠償 なし
管轄
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八王子市陵南会館爆破事件(はちおうじしりょうなんかいかんばくはじけん)とは、1990年(平成2年)10月9日東京都八王子市で発生した爆弾テロ事件。

日本の新左翼革労協解放派が起こした事件である。

標的の来歴

往年の旧東浅川駅

標的となった「陵南会館」は地元の八王子市の公民館で、元は国鉄中央本線東浅川駅であった東浅川駅は大正天皇大喪列車用の臨時駅として開設された皇室専用の駅で、社殿造駅舎であった[2]

皇室の多摩御陵参拝に自動車を利用することが多くなったため、1960年(昭和35年)に廃止され、1962年(昭和37年)に国鉄から八王子市に払い下げられ、「陵南会館」という公民館となった[1]

事件の概要

平成改元後の1990年(平成2年)11月12日、第125代天皇明仁即位の礼が挙行されることになった[3]。新左翼各派は即位に反対すべく日本各地でテロ事件を続発させていた[4][5][6]

1990年10月9日、陵南会館の西側勝手口付近で突如爆発音とともに火の手が上がった[7][2]。火は約1時間後に消し止められたが、陵南会館の大半を焼失し、付近の民家の窓ガラスが割れるなどの被害が出た[7][2]。幸いにも死傷者はなかった[7]

1990年10月13日、革労協解放派の「革命軍」の名で犯行声明が各報道機関に郵送された[8][9]

捜査

事件後の現場検証消火器爆弾時限式発火装置の残骸が発見されたため、警視庁公安部は新左翼による爆弾テロ事件と断定[7][10]八王子警察署捜査本部を設置した[11]

1990年11月5日、警視庁公安部は杉並区下高井戸にある革労協解放派(狭間派)の拠点「現代社」を現住建造物等放火爆発物取締罰則違反容疑で家宅捜索、フロッピーディスクなど24点を押収した[12]

1990年11月6日、警視庁公安部は駒澤大学構内にある拠点を現住建造物等放火、爆発物取締罰則違反容疑で家宅捜査、ビラなど22点を押収した[13]

1990年11月11日、警視庁公安部は明治大学の学生会館と学苑会室を捜索、機関紙やビラなど42点を押収した[14]

1990年11月21日、警視庁公安部は本事件と絡み身体捜索をしようとした捜査員に暴行した非公然活動家1人を公務執行妨害現行犯逮捕した[注 1][15][16]

事件が与えた影響

従来、新左翼の皇室テロの対象は国有財産法上の「皇室用財産」など皇室関連施設、天皇や皇族祭神とする神社など、現在も何らかの形で皇室に関わりのある施設が主であった。ところが本事件のように、過去の皇室関連施設も標的となったことで、警備対象は一気に拡大することとなった[17]

脚注

注釈

  1. ^ 川崎市高津区内で身体所持品捜索差押令状を執行しようとした際に捜査員に暴行して公務の執行を妨害した[15]

出典

  1. ^ a b c d e f 朝日新聞』1990年10月9日 夕刊 1社19頁「「陵南会館」で爆発 戦前まで皇室使用駅、消火器爆弾か 八王子」(朝日新聞東京本社
  2. ^ a b c 毎日新聞』1990年10月9日 東京夕刊 社会面15頁「八王子の旧皇室専用駅、陵南会館に放火ゲリラ 過激派?」(毎日新聞東京本社
  3. ^ 読売新聞』1990年1月19日 全国版 東京夕刊 夕一面1頁「「即位の礼」11月12日実施を決定」(読売新聞東京本社
  4. ^ 『読売新聞』1990年3月14日 全国版 東京夕刊 夕社会19頁「ビル駐車場に放火ゲリラ 動燃や皇室関係者団体入居 車下に発火装置/東京・赤坂」(読売新聞東京本社)
  5. ^ 『読売新聞』1990年8月20日 全国版 東京夕刊 夕社会19頁「警察署へ鉄パイプ弾 中学校庭に発射装置/千葉・浦安」(読売新聞東京本社)
  6. ^ 『読売新聞』1990年9月8日 全国版 東京朝刊 社会31頁「山火事ゲリラは強力な新型火炎弾 筒の中にガソリン?1リットル/大阪」(読売新聞東京本社)
  7. ^ a b c d 『読売新聞』1990年10月9日 全国版 東京夕刊 夕社会19頁「武蔵野陵近くの旧皇族施設で爆発、炎上 即位の礼反対ゲリラ?/東京・八王子」(読売新聞東京本社)
  8. ^ 『読売新聞』1990年10月13日 全国版 東京夕刊 夕2社14頁「東京・八王子市の消火器爆弾事件 ゲリラが犯行声明文」(読売新聞東京本社)
  9. ^ 『朝日新聞』1990年10月13日 夕刊 2社18頁「革労協?が犯行声明 八王子の陵南会館炎上」(朝日新聞東京本社)
  10. ^ 『毎日新聞』1990年10月15日 東京夕刊 社会面10頁「革労協狭間派の犯行と断定 八王子・陵南会館爆破--警視庁」(毎日新聞東京本社)
  11. ^ 『朝日新聞』1990年10月11日 朝刊 2社30頁「八王子の爆発を反即位の礼・大嘗祭ゲリラと断定 警視庁」(朝日新聞東京本社)
  12. ^ 『毎日新聞』1990年11月5日 東京夕刊 社会面10頁「東京都杉並区の革労協拠点を家宅捜索--警視庁」(毎日新聞東京本社)
  13. ^ 『読売新聞』1990年11月6日 全国版 東京夕刊 夕社会15頁「革労協の拠点校・駒沢大学を捜索 陵南会館爆破事件で警視庁公安部」(読売新聞東京本社)
  14. ^ 『毎日新聞』1990年11月12日 東京朝刊 社会面27頁「爆弾テロ事件で明大を捜索 機関紙、ビラなど押収--警視庁」(毎日新聞東京本社)
  15. ^ a b 『読売新聞』1990年11月21日 全国版 東京夕刊 夕社会23頁「革労協活動家を逮捕 捜査員を殴る/神奈川・川崎」(読売新聞東京本社)
  16. ^ 『毎日新聞』1990年11月21日 東京夕刊 社会面15頁「連続爆弾テロで明治大学校舎を捜索--警視庁公安部」(毎日新聞東京本社)
  17. ^ 『読売新聞』1990年10月21日 全国版 東京朝刊 二面2頁「「即位の礼」に向け過激派の取り締まりを徹底 政府、異例の声明へ」(読売新聞東京本社)

参考文献

Prefix: a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

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