六酸化四リン (ろくさんかよんリン、Tetraphosphorus hexoxide)は、分子式P4 O6 で表される化合物 。三酸化リン (Phosphorus trioxide) や三酸化二リン とも呼ばれる。無色の固体であり、アダマンタン に関連する構造を持つ。形式上は亜リン酸 (H3 PO3 )の無水物 であるが、酸の脱水により得ることはできない。白色でワックス状であり、ニンニクの臭いのする結晶および非常に有毒な固体である[ 1] 。
調製
空気がわずかに供給されている状態でリンを低温で燃焼させることにより得られる。
P4 + 3 O2 → P4 O6
副生成物には赤リン亜酸化物が含まれる[ 1] 。
化学的性質
水と反応して亜リン酸 を形成する。つまり、六酸化四リンは亜リン酸の無水物である[ 2] 。
P4 O6 + 6 H2 O → 4 H3 PO3
塩化水素 と反応して亜リン酸と三塩化リン を形成する。
P4 O6 + 6 HCl → 2 H3 PO3 + 2 PCl3
塩素または臭素と反応してそれぞれ対応するハロゲン化リンを形成し、密閉された管内で要素と反応し四ヨウ化二リン を形成する[ 1] 。
195Kでオゾン と反応し、不安定な化合物P4 O18 を生成する[ 3] 。
P4 O18 は238K以上の溶液中で分解し、O2 ガスを放出する。乾燥したP4 O18 の分解は爆発的である。
不均化 反応では、P4 O6 を密閉された管内で710Kで加熱すると、P(III)とP(V)が混合したP4 O8 に変換される。副生成物として赤リンが生成される[ 3] 。
配位子として
P4 O6 ·Fe(CO)4 の構造
P4 O6 は、亜リン酸エステル に相当する遷移金属の配位子である。図の錯体はP4 O6 ·Fe(CO)4 である[ 4] 。BH3 を用いると、二量体付加体が生成される[ 3] 。
P8 O12 (BH3 )2 の構造
出典
酸化数 により分類。 混合酸化状態 酸化数+1 酸化数+2 酸化数+3 酸化数+4 酸化数+5 酸化数+6 酸化数+7 酸化数+8 Related
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