千趣会
株式会社千趣会(せんしゅかい、英:SENSHUKAI CO.,LTD.)は、大阪府大阪市北区と東京都台東区に本社(登記上の本店は大阪市北区)を置く大手通信販売会社である。東京証券取引所スタンダード上場企業。 概要カタログ通販サービスの「ベルメゾン」(Belle Maison)、およびネット通販サービスの「ベルメゾンネット」を主力とする。他に、花の通販サービス「イイハナ」、ベルメゾン会員向けの保険サービス、「ベルメゾン」の運営ノウハウを生かした法人向けコンサルティングサービスなども行っている。 1970年代よりカタログ通販がメインだったが、ネット通販にも早くから取り組んでいた。しかし、アマゾンや楽天などに押されて2010年代後半に業績が悪化。2023年現在、カタログ中心のプロモーションを見直し、SNS等によるデジタル・プロモーションにシフトする「通信販売事業のデジタルシフト」を目指して変革を進めている[1]。 元々はこけしの頒布販売から始まり、社名も「こけし千体趣味蒐集の会」の略称に由来するものであるという[2]。 歴史創業当初戦前の女性は卒業後に家事手伝いを経て主婦となるのが一般的だったが、戦後は職場で働く女性が増加し、OL(オフィス・レディ)と呼ばれるようになった[3]。 戦後、アーティストによって、伝統的な「伝統こけし」のデザインを離れた「近代こけし」が創作されるようになったが、昭和30年代頃になると、多種多様でマニアックなデザインの「商業こけし」が業者によって大量生産・大量販売されるようになった。当時は戦後の混乱期を過ぎていくらか豊かになりつつあり、男性の「こけしマニア」が出張のたびに土産物のこけしを買い求める例もあったが、当時は女性の楽しみの少ない時代であるから、女性(特にOL)の趣味として市場が拡大した。 1953年、高井恒昌(創業者)がOL向けに全国の銘菓を届ける「味楽会」を個人で開始。その後、OL向けにこけしの頒布を開始し、その際にこけしを「こけし千体趣味蒐集の会」から仕入れていたことから、これを略して会の名前を「千趣会」と改める。当時は高井が職場に直接出向いて商品を販売していた。大阪の銀行へ営業に出向いたところ、一人の女性が代表として職場全員の注文を取りまとめて集金・配布まで行ってくれ、これが千趣会の「お世話係」システムの原点となった。 設立1年後よりこけしの直接仕入を開始。千趣会がこけしの生産を直接管理するようになり、企画・製造・販売までを垂直統合した(現代のSPAシステムに相当)ことで、多種多様なこけしの低価格な安定量産に成功し、こけし業界に革命を起こした。陶器などの趣味性の高い商品を月ごとに頒布し、いつでも入会・退会が可能な「頒布会」(現代の「サブスクリプション」に相当)を行っていた販売業者は千趣会の他にもあったようだが、千趣会は月額百円と安く、「ロイヤルペット」シリーズ(1960年代、全20体)「世界風俗こけし」シリーズ(1970年)などコレクション性の高い製品をリリースしたこと(現代の「トレーディングフィギュア」に相当)で、幅広い客層および年齢の間で「千趣会」のこけしは爆発的なヒットとなり、会員数は半年足らずで5千人に登り、3年後には10万人を突破[4]。 こけしの販売が好調となったことから、1955年11月、個人商店から株式会社に改変し、株式会社千趣会設立。 1960年、「料理カード」付きの料理雑誌『クック』を創刊。『クック』は1959年に実施した日本テレビの番組とのタイアップもあり、1969年には82万部を突破。 1964年、手芸雑誌の『デリカ』を創刊。1970年に28万部を達成。 1971年より新聞広告「OL白書」を展開。全国のOL900人の意見を掬い上げた調査報告を広告として展開した。 カタログ通販を開始1976年、頒布会事業に次ぐ第二の事業として通販カタログ事業を開始し、通販カタログ雑誌の『ベルメゾン』創刊。それまでの千趣会の商品は趣味性の高いものだったが、『ベルメゾン』においては衣料品を中心とした実用品のカタログ販売へと舵を切った[5]。 1970年より「お客様から注文をいただいたときにその商品の在庫があるかどうかわかる」というコンピュータシステムに対して莫大な投資を行い、1979年に稼働。 ファッション衣料から始まった『ベルメゾン』は、服飾雑貨や生活雑貨、家具、インテリア用品へと取り扱いアイテムを広げた。 ネット通販を開始1996年、ショッピングサイト「Call us」を開始。当時はネット黎明期ということもあり、カタログとは別の男性向け商品が中心だった。 2000年より「ベルメゾンネット」を開始。カタログの商品に加えてカタログでは掲載していない商品も販売した。 「千趣会グループ」へ2003年、フラワーギフト通販を手掛けるイイハナに出資し、「千趣会イイハナ」とする。 2008年、ウエディング事業を手掛けるディアーズ・ブレインを子会社化。 2010年、ファッション通販サイトのモバコレを子会社化。 このように「千趣会」から「千趣会グループ」へと規模を拡大する。 構造改革の実施千趣会の業績は、主力のカタログ通信販売事業がAmazon.co.jpなどの新興勢力の台頭により業績が悪化し、2017年12月期に約110億円の赤字に転落[6]。2018年2月26日に地域経済活性化支援機構による支援が決まり、同年3月30日に地域経済活性化支援機構が設立した投資ファンドに対し、第三者割当増資を実施した他[7]、同年10月12日には連結子会社である株式会社ベルネージュダイレクト株式の一部を、2019年1月9日付で雪印メグミルク株式会社へ譲渡することを発表[8]。 千趣会は2018年10月26日に構造改革を実施することを発表[9]。この構造改革では、代表取締役社長を務める星野裕幸など役員4名が業績悪化の責任を取る形で同年10月31日付で退任し、後任の社長には取締役を務めている梶原健司が同年11月1日付で昇格した他[10]、約280名の希望退職者の募集を行う[11]。 大阪本社は2019年1月に千趣会ビジネスセンターへ移転した。 東京都品川区にある東京本社も、2018年12月25日に東京都台東区へ移転した[12]。大阪市北区にある自社ビル(旧・本社)も2019年3月29日に売却された[13]。 グループ会社の再編も実施され、千趣会ゼネラルサービス株式会社と株式会社千趣ビジネスサービスは2019年1月1日付で千趣会へ吸収合併され、千趣会サービス・販売株式会社も2019年1月1日付で千趣会コールセンター株式会社へ吸収合併された。株式会社フィールライフは2019年6月30日に解散後、同年11月11日に清算を結了した[14][15]。 2019年12月期において黒字決算になったことから、2020年7月31日に地域経済活性化支機構援による支援が終了。同年9月16日に東日本旅客鉄道(JR東日本)と資本・業務提携を締結。同年10月12日にJR東日本に対して第三者割当による自己株式の処分を実施し、JR東日本は千趣会の筆頭株主となった[16]。 沿革
CM1990年代後半に石田純一と室井滋が夫婦役を演じたCMが放送された。 しばらくCMは実施していなかったが、2010年に地方局で、2011年4月にキー局で再度実施。 事業拠点関連会社
テレビ番組
脚注
外部リンク |