旧五輪教会堂(きゅうごりんきょうかいどう)は、長崎県五島市の久賀島にあるキリスト教(カトリック教会)の教会堂(聖堂)である。1881年(明治14年)にカトリック浜脇教会の教会堂として建てられ、1931年(昭和6年)に新教会を建てる際に解体、船で運んで五輪に移築復元を行なった。その後1984年(昭和59年)に新しい教会堂を建てるため解体される予定が立てられたが、日本の建築様式を知る上で貴重なものであるとして解体は中止され、翌年に長崎県の有形文化財に指定された。県の文化財課による現地調査が12月に行われ、更にこれ以前にも九州大学が調査を行なっていたため、翌年2月という早い時期に文化財指定が行われている。新しい教会堂は同じ集落内のすぐ近くにあるイワシ缶詰工場の跡地に建設された。
更にその後1999年に平成11年に国の重要文化財に指定され[3][4]、ユネスコの世界遺産(文化遺産)候補で2018年に登録審査が決まり、同年6月30日に世界遺産登録が決定した[5][6]「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する「久賀島の集落」に包括される教会である[7]。
1985年(昭和60年)、隣接地にカトリック五輪教会が建てられたことにより福江市(現在は五島市)に寄贈され、保存公開されている[3]。
教会の保護者
沿革
建物概要
設計者の正式な記録はないが、田ノ浦に住む平山という大工によって建てられたと見られている[8]。
外観は日本家屋の形態を取りつつ、内観は初期教会堂建築の特徴を持つ建築物となっている[8]。玄関部には両開き板戸の中央出入り口と片開き板戸の左右出入り口から構成される。会堂部側面の窓は壁体の中に引き戸が入り込む形式を取る。
1881年に建設された旧教会堂は、長崎県にある教会堂としては大浦天主堂(国宝)に次ぐ古さを持つ木造教会であり、移築の際に著しい改変を施していないため全体として創建当時の形態を留めている。ただし、玄関部や主祭壇後方の廊下など、一部の形態が浜脇所在当時の古写真と比較したときとは異なっており、移築の際に改変された可能性があると見られている。
所在地
〒 853-2172 長崎県五島市蕨町993-11
ただしこの教会へのアクセス道路は登山道のような道しかないので、雨天時の訪問は困難である。
脚注
- ^ a b c 旧五輪教会堂 文化遺産データベース 文化庁
- ^ a b 旧五輪教会堂 長崎県の文化財 長崎県学芸文化課
- ^ a b “長崎、天草の「潜伏キリシタン」が世界文化遺産に決定 22件目”. 産経新聞. (2018年6月30日). https://www.sankei.com/article/20180630-KZXLQSC53BNLTO34UH3O2ZEDXE/ 2018年6月30日閲覧。
- ^ a b “長崎と天草地方の「潜伏キリシタン」世界遺産に”. 読売新聞. (2018年6月30日). https://web.archive.org/web/20180630133218/http://www.yomiuri.co.jp/culture/20180630-OYT1T50066.html 2018年6月30日閲覧。
- ^ 旧五輪教会堂 長崎の教会群とキリスト教関連遺産 長崎県世界遺産登録推進室
- ^ a b “⑩久賀島の集落(五島市) 新天地求め未開地へ 「牢屋の窄」で苛烈な弾圧”. 長崎新聞社 (2018年1月19日). 2024年12月6日閲覧。
参考文献
外部リンク
関連項目
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座標: 北緯32度48分7.9秒 東経128度54分13.5秒 / 北緯32.802194度 東経128.903750度 / 32.802194; 128.903750