札幌市営地下鉄南北線
南北線(なんぼくせん)は、北海道札幌市北区の麻生駅から同市南区の真駒内駅までを結ぶ、札幌市営地下鉄の路線である。車体および路線図や乗換案内で使用されるラインカラーは「グリーン」(緑: )。駅ナンバリングにおける路線記号はN。 中央のレールをまたいでゴムタイヤで走行する方式の案内軌条式鉄道であり、集電は架空電車線方式の東西線・東豊線とは異なり、第三軌条方式を採用している。 路線データ
歴史積雪寒冷地である札幌市ではモータリゼーションの進行で冬季の交通渋滞が深刻化していたことに加え、冬季オリンピックの開催が決定し、選手や観客の輸送にも対応可能な大量輸送交通機関の建設気運が高まったことが計画の端緒となった。1965年から札苗実験場でゴムタイヤ方式の試験車を使った各種試験に着手し、1967年に札幌市議会で建設が可決された。 →詳細は「札幌市営地下鉄 § 開業前のエピソード」を参照
シェルターかつての定山渓鉄道線の廃線跡を通る南平岸駅 - 真駒内駅間 (4.5 km) は、建設費圧縮を目的に地上高架となっている[注 1]が、雪を防ぐためにアルミ合金製のシェルター(南北線シェルター[21])で覆われている。このような高架上にある長大なものは世界で唯一の構造で、札幌市営地下鉄の特徴の一つにもなっている[注 2]。このシェルターによって、豪雪地帯である札幌の厳しい気象条件に左右されない安定した輸送が実現しているほか、沿線の騒音防止にも役立っている。 シェルター導入が決まる前までは、雪への対策として軌道に熱線を通すロードヒーティングや外側への赤外線ヒーター設置により融雪する方法が検討されたり[22]、また札幌市電のササラ電車をヒントにした除雪車両を開発し真冬は問題なかったものの春先になるとアイスバーン化した路面の影響でスリップする等の問題点が生じ、第一次世界大戦時のドイツ帝国陸軍によるトンネル前後の鉄道路線に覆いを被せて隠密性を持たせた列車砲輸送のアイデアから着想を得てシェルターで覆う形式とした[23]。シェルターには採光窓がついており、夏季には気温上昇の対策として駅部の窓を開けている[21]。 シェルター案の導入に際しては当初、当時の札幌市長・原田與作を交えた会議の承諾を得られず真駒内駅 - 自衛隊駅前間1.8 kmでの試験的な設置の許可を得た後、原田市長の入院を見計らって試験名目で高架区間全線6.4 kmにシェルターの設置が行われた[24]。退院後にシェルター工事が露見し原田市長が激怒し開発にあたっていた大刀豊交通局長(当時)に呼び出しを行うも、大刀は「耳が遠く聞こえない」などの理由をつけて拒否し職務を続けた[25]。 利点の大きいシェルターであるが、経年劣化をはじめ、積雪対策、テレビやラジオの受信障害といった課題も抱えている。このうち、シェルター自体への積雪は、そのまま放置すると下方で交差している道や側道に落下する危険性があるため、深夜に手作業で雪下ろしを行っている。テレビの受信障害については、市交通局が設置した共聴アンテナにより対応している。
使用車両内容は2022年7月27日現在。 現用車両
2024年2月、札幌市が2030年度頃に予定する南北線への新型車両導入に向けた検討に入ったと報じられた[26]。 過去の車両
車両基地
利用状況当路線の乗車人員は以下の通り。
収支当路線の収支は以下の通り。収入には営業外収益、支出には人件費、経費、減価償却費、営業外費用を含む。
運行形態ほとんどが全線通しで運転されているが、南車両基地への出入庫のため、一部の列車が麻生駅 - 自衛隊前駅で運転される(平日の朝8時台に1本、9時台に4本)。以前は自衛隊前発の麻生行が存在したが、現在では麻生発の自衛隊前行のみが設定されている。ただし、非常時および臨時列車では自衛隊前発の麻生行きが運行される場合がある。南車両基地からの出庫時は、南車両基地→自衛隊前駅(折り返し)→真駒内駅と回送され営業運転に就く。入庫の場合でも真駒内駅まで営業運転ののち自衛隊前駅まで回送されるものも存在する。 日中は 7分間隔、朝ラッシュ時は 4分間隔、夕ラッシュ時は5 - 6分間隔で運転される。 毎年夏に開催されている豊平川花火大会開催日には、南北線は見物客で非常に混雑するため、夕方から夜にかけて、4 - 5分間隔の特別ダイヤでの運行となる。 女性と子どもの安心車両2008年12月15日始発より導入。札幌市営地下鉄では「女性専用車」と呼ばず、「女性と子どもの安心車両」という名称である。乗車できるのは「女性」「小学校6年生以下の男児」「身障者および身障者の介護人の男性」となっているがあくまでも任意であり、強制力はない。 対象時間は、平日ダイヤの始発から9時までの全区間となっており、9時をもって一斉解除される。該当する車両は、真駒内側の先頭車1号車である。 麻生行は最後尾(乗車位置番号は21 - 24番に該当)、真駒内行は先頭(乗車位置番号は1 - 4番に該当)になる。 かつて運行されていた3000形の乗車位置番号は、麻生行きは緑の15, 16番、真駒内行は緑の1, 2番に該当していた。 駅一覧
※距離標上の0キロ地点は、北24条駅にある。 過去の接続路線
東豊線との乗り換えについて当初、大通駅とさっぽろ駅における南北線と東豊線の乗り換えは、いずれも改札内乗り換えの方法を採用していたが、2017年(平成29年)9月1日からさっぽろ駅での乗り換え方法が改札外乗り換えに変更された。これに伴い、両者の乗り換えは最短経路の場合を除いて不可能となった(乗車区間が重複することから、折り返しとなる駅から別途料金が発生することになる)。具体的には、南北線(麻生方面)と東豊線(栄町方面)はさっぽろ駅、南北線(真駒内方面)と東豊線(福住方面)は大通駅でしか乗り換えができない[14]。なお、一日乗車券や全線定期券を利用の場合は、この限りではない。 可動式ホーム柵札幌市営地下鉄では、乗客の列車との接触・線路への転落を防ぐとともに、将来のワンマン運転に対応させるため、東京・大阪・横浜・福岡などの地下鉄で既に採用されている可動式ホーム柵(ホームドア)を各線に設置することを決定した。 南北線では2012年7月10日の麻生駅での稼働開始以降、麻生側から順に各駅で順次設置工事が行われ、設置が完了した駅から順次稼働させていった。そして2013年3月2日の真駒内駅での稼働開始を以って南北線全駅への設置が完了し、あわせて4月1日始発からワンマン運転が開始された。 開扉時はチャイムが、閉扉時にはアラームが鳴るが、その時にセンサーが障害物を感知した際には警告ブザーが鳴ると共にランプが点滅する。ホーム柵は東西線のものと同じ三菱電機製で、同社製エレベーターの『気配りアナウンス』用チャイム、開閉報知アラーム(強制戸閉、開延長終了予告、戸開中センサー感知)、警告用ブザー(満員、戸開前センサー長時間感知)を使用している。 備考
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |