松浦市(まつうらし)は、長崎県北部、北松浦半島に位置する市。離島部も市域に含む。松浦党発祥の地。「アジ」水揚げ日本一を誇る都市であり、「アジフライの聖地」として知られている[1][2]。
地理
長崎県の北松浦半島北部に位置し、北は玄界灘から伊万里湾に面し、西は平戸市、南は佐世保市、東は佐賀県伊万里市に接している[3]。市域南側の内陸部は溶岩台地の丘陵地で、平地は少ない。川は坂瀬川・竜尾川・志佐川・調川川・今福川などが流れ、河口には「ぎぎが浜」に代表される鳴き砂がある。
有人離島では、伊万里湾の沖合いに浮かぶ福島・鷹島・黒島・飛島・青島の各島を行政区域とする。この中で、平成の大合併前まで単独で町制を施行していた2島(黒島は旧鷹島町に含まれる)のうち、福島は1967年(昭和42年)に隣の佐賀県伊万里市との間に福島大橋が架橋され、鷹島も2009年(平成21年)4月18日に唐津市との間に鷹島肥前大橋が架橋された。このように2島では経済的、地理的には松浦市本土だけでなく佐賀県とのつながりも強い(旧福島町では2003年に住民団体が伊万里市との法定合併協議会設置を求める請求書を提出している)。
気候
松浦(2011年 - 2020年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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20.0 (68)
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21.8 (71.2)
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24.3 (75.7)
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26.3 (79.3)
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31.3 (88.3)
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32.8 (91)
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36.2 (97.2)
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37.0 (98.6)
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34.1 (93.4)
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31.3 (88.3)
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28.8 (83.8)
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23.7 (74.7)
|
37.0 (98.6)
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平均最高気温 °C (°F)
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10.3 (50.5)
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10.9 (51.6)
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14.8 (58.6)
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18.9 (66)
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23.3 (73.9)
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25.3 (77.5)
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29.6 (85.3)
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31.1 (88)
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26.9 (80.4)
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22.5 (72.5)
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17.8 (64)
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12.0 (53.6)
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20.3 (68.5)
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日平均気温 °C (°F)
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7.0 (44.6)
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7.4 (45.3)
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10.8 (51.4)
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14.6 (58.3)
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19.0 (66.2)
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22.0 (71.6)
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26.4 (79.5)
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27.4 (81.3)
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23.4 (74.1)
|
18.9 (66)
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13.9 (57)
|
8.7 (47.7)
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16.6 (61.9)
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平均最低気温 °C (°F)
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3.7 (38.7)
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3.6 (38.5)
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6.8 (44.2)
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10.4 (50.7)
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14.9 (58.8)
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19.4 (66.9)
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23.9 (75)
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24.4 (75.9)
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20.4 (68.7)
|
15.4 (59.7)
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10.0 (50)
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5.2 (41.4)
|
13.2 (55.8)
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最低気温記録 °C (°F)
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−4.1 (24.6)
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−3.4 (25.9)
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−0.7 (30.7)
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2.9 (37.2)
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6.3 (43.3)
|
13.2 (55.8)
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17.4 (63.3)
|
17.8 (64)
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12.5 (54.5)
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8.0 (46.4)
|
2.5 (36.5)
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−0.5 (31.1)
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−4.1 (24.6)
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降水量 mm (inch)
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86.0 (3.386)
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99.9 (3.933)
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135.7 (5.343)
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167.6 (6.598)
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147.7 (5.815)
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309.2 (12.173)
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337.0 (13.268)
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364.7 (14.358)
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214.4 (8.441)
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142.0 (5.591)
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108.3 (4.264)
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89.8 (3.535)
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2,195.2 (86.425)
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平均降水日数 (≥1.0 mm)
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8.4
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9.7
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8.7
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8.8
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7.7
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13.0
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12.2
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10.3
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11.9
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8.0
|
8.8
|
8.4
|
116.6
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平均月間日照時間
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102.9
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108.8
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173.0
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192.9
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213.0
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122.8
|
172.4
|
212.4
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146.6
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168.4
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131.8
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88.9
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1,831.8
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出典1:Japan Meteorological Agency
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出典2:気象庁[4]
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隣接する自治体
地域
人口
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松浦市と全国の年齢別人口分布(2005年)
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松浦市の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 松浦市 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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松浦市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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36,598人
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1975年(昭和50年)
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33,042人
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1980年(昭和55年)
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32,478人
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1985年(昭和60年)
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32,312人
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1990年(平成2年)
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31,254人
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1995年(平成7年)
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30,470人
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2000年(平成12年)
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28,370人
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2005年(平成17年)
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26,993人
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2010年(平成22年)
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25,145人
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2015年(平成27年)
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23,309人
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2020年(令和2年)
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21,271人
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総務省統計局 国勢調査より
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地名
松浦市の地名を参照。
歴史
律令制下では肥前国松浦郡の区域とされた。平安時代後期の延久元年(1069年)、源氏(嵯峨源氏)の流れを汲む源久が松浦郡宇野御厨の検校となり、現在の市域にあたる梶谷に住み松浦久と名乗り、太夫判官と称して松浦郡・彼杵郡の一部及び壱岐郡を治めた。この松浦久のもとで松浦党と呼ばれる武士団が結成された。松浦党は水軍として有名で、元寇でも活躍している。
江戸時代には藩庁は置かれなかった。その後は当地を含む北松浦半島一帯(離島部を含む)で石炭の存在が発見され、明治時代から戦後にかけて石炭産業(北松炭田)で栄え、最盛期にあたる1955年(昭和30年)の国勢調査では人口44,057人を数えた。
そうした中で炭鉱事故も発生し、1958年(昭和33年)5月7日、中興鉱業江口鉱業所では地下200m地点で出水、作業員29人が死亡する事例もあった[5]。
1960年代以降のエネルギー革命で炭鉱はすべて閉山し、それ以降は戦前から続く漁業のほか火力発電所の建設で産業基盤の維持を図っているが、依然として人口減少が続いている。
年表
行政
市の行政機関
県の行政機関
議会
市議会
松浦市議会の議席定数は、17議席である[7]。
県議会
松浦市から選出される長崎県議会議員の定数は1議席である。現在は石本まさひろが務める。
衆議院
司法
産業
水産業
市内には漁港が12か所にある[3]。
産地市場として1979年(昭和54年)に松浦市が開設した地方卸売市場である松浦魚市場がある[3]。松浦魚市場における総水揚げ量72,374トン(日本第9位 2019年)。アジの漁獲量は約25,000トン(2017年)3年連続全国一の水揚げ(PDF5枚目)、サバの漁獲量は約4万トンで日本有数。当地産のアジ・サバは「旬あじ」「旬さば」のブランド名を名乗る。「アジフライの聖地」を宣言して町おこしを行っている[8][9]。とらふぐの養殖収穫量は2014年度に全国1位となった[10]。
製造業
石炭火力発電所
九州電力と電源開発の石炭火力発電所が立地している[3]。低炭素化のため、九州電力の火力発電所では下水汚泥バイオマスやアンモニアの混焼、電源開発の火力発電所では木質バイオマスの混焼が行われている[3]。
金融
- ※かつては佐賀銀行も今福支店を置いていたが、2015年(平成27年)2月に伊万里支店に統合され、出張所としてATMが設置されているのみである。
姉妹都市・友好都市
国内
国外
- 市内の九州電力・電源開発の火力発電所ではオーストラリア等の海外炭を燃料としており、産炭地であるマッカイ市と姉妹都市となった
教育
高等学校
- 廃止された高等学校に関しては長崎県高等学校の廃校一覧#松浦市を参照。
中学校
公立のみ7校
- 廃止された中学校に関しては長崎県中学校の廃校一覧#松浦市を参照。
小学校
公立のみ9校(2016年(平成28年)4月時点)
- 廃止された小学校に関しては長崎県小学校の廃校一覧#松浦市を参照。
松浦市では、「松濤奨学基金条例」に基づく奨学金制度があり高等学校・専修学校・大学進学者を対象としている。なお、奨学金は返還義務がともなう。
交通
鉄道
バス路線
- 西肥自動車(西肥バス)
- 北松浦半島一帯を営業エリアとするバス事業者で、松浦駅前をターミナルとして、主に松浦市と周辺部を結ぶ路線を運行している。
- 佐世保駅前(佐世保市)- 佐々バスセンター(佐々町)- 吉井町 - 福井 -(草の尾入口 - )松浦市
- 世知原(佐世保市)- 長坂 - 笛吹- 松浦市
- 平戸桟橋 (平戸市)- 平戸口桟橋 - 御厨 - 松浦市
- 伊万里駅前 (伊万里市)- 浦ノ崎駅前 - 今福 - 松浦市
- 伊万里駅前 - 波多津 - 福島(旧福島町)
- 松浦市乗合バス
- 西肥自動車が路線を廃止した地区を運行する廃止代替バス。松浦観光バスが運行する。
- 鷹島乗合タクシー
- 鷹島で運行していた松浦市営バス(旧鷹島町営バス)の休止に伴い、同島内で運行開始している。鷹島タクシーが運行する。
- さつき観光
- 高速バス。松浦市と唐津市・福岡市を結ぶ。
道路
高速道路
一般国道
県道
- 主要地方道
- 一般県道
道の駅
2つの道の駅には「アジフライの聖地」を記念するモニュメントが建てられている[13]。
船舶
市内航路
市外航路
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
観光名所など
- 不老山総合公園
- 四季の森石倉
- 龍王の滝
- 松浦水軍の郷 海のふるさと館
- 夕日の見える棚田(福島)
- 蛙鼻公園フルーツフラワーパーク(福島)
- いろは島(福島)
- モンゴル村(鷹島)
- 松浦市立鷹島歴史民俗資料館
催事
- 精霊流し、花火大会 : 8月15日
- 土谷棚田の火祭り : 9月
- 松浦水軍まつり:10月
著名な出身者
★は故人
松浦市に縁のある作品
小説
脚注
注釈
- ^ 社名に「松浦」と冠しているが本社所在地は佐世保市である。
- ^ 1987年までは国鉄、1988年3月まではJR九州の松浦線であり、同年4月からの同線の第三セクター化により改称した。
出典
外部リンク
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