菖蒲田海水浴場
菖蒲田海水浴場(しょうぶたかいすいよくじょう)は、宮城県宮城郡七ヶ浜町南部の仙台湾に面した海水浴場[1]であり、同浴場の実行委員会によって開設されている。「菖蒲田浜海水浴場」と表記・発音される場合もある[1][2][3]。 かつては「大東館」があった眺望崎の周辺の砂浜(大字:菖蒲田浜)に開設されていたが、現在の同場のほとんどが「旧・大東館」から直線距離で北北東に1 km弱離れた砂浜(大字:花渕浜)に開設されている。 同浴場のエリアは、特別名勝松島[4]および県立自然公園松島[5]に含まれており、これらを指定する法律により規制される。 概要七ヶ浜半島の南岸、菖蒲田漁港[6]東側には3つの砂浜がある。すなわち、「大東館」があった眺望崎(北緯38度16分57.8秒 東経141度3分47.6秒 / 北緯38.282722度 東経141.063222度)から月見崎(北緯38度17分39.6秒 東経141度4分18.8秒 / 北緯38.294333度 東経141.071889度)までの菖蒲田浜(海岸名)、そこから東側にある高山外国人避暑地・高山地区(北緯38度17分45.1秒 東経141度4分30秒 / 北緯38.295861度 東経141.07500度)までの小豆浜、そこから東側にある吠崎の西方基部の高山外国人避暑地・戸谷場地区(北緯38度17分42.2秒 東経141度4分48.8秒 / 北緯38.295056度 東経141.080222度)までの表浜(通称:外人浜)という3つの砂浜が並んでいる。 これらの住所は、県道58号をはさんで菖蒲田浜海浜公園(北緯38度17分27.2秒 東経141度3分51.7秒 / 北緯38.290889度 東経141.064361度)駐車場とをつなぐ接続道付近を境に、西側が菖蒲田浜(住所)、東側が花淵浜(住所)となっており、菖蒲田海水浴場の遊泳区域の砂浜のほとんどが花淵浜(住所)にある(2017年時点)。 菖蒲田浜(海岸名)の住所(大字および小字)は西側から、菖蒲田浜字牛ノ鼻木、菖蒲田浜字長砂、花渕浜字長須賀と、月見崎(花渕浜字金色)まで並んでいる。月見崎によって花渕浜字長須賀と花渕浜字浜沼(小豆浜)は分けられているが、干潮時には砂浜が接続し、小豆浜には海水浴客もいるため、曖昧に「菖蒲田海水浴場」に含めて案内される場合もある。その小豆浜は他の2者とは異なり沖に離岸堤が無いため、サーフィンやボディボード、あるいはウインドサーフィン等、マリンスポーツでの年中利用が見られ、「小豆浜サーフスポット」として知られる。なお、表浜(通称:外人浜)には表浜海水浴場(高山海水浴場)が開設される(震災後から遊泳禁止。2017年時点)。 海岸からは太平洋の大海原から昇る初日の出を拝むことができるため、元旦も賑わう。防潮堤に並行する松林は保安林に指定されている[7](震災の影響により消失)。
沿革
1887年(明治20年)12月15日に東京府東京市(現東京都)と当地とを結ぶ日本鉄道(現JR東北本線)が開通した翌1888年(明治21年)、潮湯治に適した海浜に加えて療養施設「大東館」が完成したことで海水浴場と認められ、国内で3番目、東北地方では初の海水浴場となった[9][注 5][10]。翌1889年(明治22年)には、高山外国人避暑地が開設された。 大東館の宿泊者名簿には、後藤新平、中江兆民、島崎藤村、宮沢賢治、夏目漱石等、政財界人や文化人の名前があったとされ、「浜の迎賓館」とまで形容する向きもある[9]。当館は大正時代まで繁盛したとされる[9][注 6]。海水浴シーズンには、菖蒲田浜(集落名)や「大東館」に隣接する眺望崎に近い菖蒲田浜字牛ノ鼻木を中心に海の家などが設置されて当浴場の中心だった。 1928年(昭和3年)発行の宮城郡誌では、当浴場の所在地を花渕浜字長須賀としている[11]。すなわち、開設から40年経った当浴場の範囲が花淵浜(住所)の方まで広がっていたことが分かる。同誌には、塩竈から人車(人力車)や車馬(馬車)でアクセスした様子が記されている[11]。 戦後占領期には、高山外国人避暑地周辺の浜辺が接収された。高度経済成長期の岩戸景気期(1958年7月 - 1961年12月)には「レジャー時代」「レジャーブーム」との呼称が使われ始め、余暇を楽しむ国民が増えた[12][13]。当浴場の海水浴客も増加し、シーズン中に約30万人が利用したと言われる。 2010年(平成22年)の海水浴客数は、大谷海岸(気仙沼市)が6万5377人で県内トップ、菖蒲田は5万2120人で2位だった[14](同年に宮城県内で営業していた海水浴場は28ヶ所[15])。 2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で大きな被害を受けた。当町では町民94名の直接死があり、また、行方不明者2名、震災関連死3名があった(2014年3月1日現在)[16]。同年11月11日より、サーフィン・ボディボード等での利用が再開された。2014年(平成26年)より、新たにモーターパラグライダー(パラモーター)での観光タンデム試乗が始まった[17]。 菖蒲田海岸には被災前から2.4 m高い、TP 6.8 mの堤防高の防潮堤 (L=1,700 m) が復旧された[18]。 2016年(平成28年)に6年ぶりの海開きを行い、10日間限定の営業だったものの約3万2000人が訪れた[19]。延べ6万人以上のサーファーやボランティアによる清掃、水質検査、祭りや限定営業等を積み重ね、2017年(平成29年)の本格再開を目指した[20]。 2017年(平成29年)7月15日、7年ぶりに本格再開した[21]。同年度は、菖蒲田浜字牛ノ鼻木は遊泳禁止。花淵浜字長須賀の砂浜230 mと沖合60 mを遊泳区域とし、9時から16時を遊泳時間として開場している[21]。 年表以下には、菖蒲田浜(海岸名)、小豆浜、表浜(通称:外人浜)の出来事を含む。
施設・設備
アクセス
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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