警部交番(けいぶこうばん)とは、交番のうち、通常警部補または巡査部長が務める交番所長に、警部の階級にある者が就いている交番のこと。名称については警察本部によって異なることがある。なお、この項では交番所長に警視があてられる交番についても扱う。
概要
通常の交番に比べ規模が大きく、警察署と同様に運転免許の更新手続きや車庫証明などの各種申請・届出事務が可能で、大規模警察署の主要箇所などに設置される。
近年、少子高齢化や団塊世代の定年退職による人材不足と財政事情により警察官の増員がままならない状況において、特に小規模警察署の統廃合により人員の配置を適切にするべく、統合され廃止となった警察署を警部交番や分庁舎などに改組して設置する例も多い。これは警察署は、留置場などの設備、地域課・刑事課及び交通課といった執行部門の他に会計課や警務課といった管理部門の設置、署長や副署長などの配置が法令で定められており、警察署を統合して警部交番や分庁舎とすることにより管理部門の設置を不要とし、管理部門に充当される人員を住民生活に直接関わる執行部門に充当し警部交番・分庁舎とすることにより、警察署が廃止されても住民の利便性向上及び治安維持が維持強化されることを目的としている。
また、市町村合併などに伴う交番・駐在所の統合整理において警部交番への格上げが行われることもある。
その基準はまちまちであるが、地域情勢の変化・庁舎建て替えや旧警察署の統合からの経年などを考慮の上で一般の交番・駐在所に転換されるケースもある。
「幹部交番」や「警察署分庁舎」といった名称を用いる警察本部もあり、栃木県警察(大田原警察署黒羽幹部派出所のみ)・鳥取県警察・岡山県警察・佐賀県警察・鹿児島県警察では、警部交番にあたる施設(他署との統合前の旧警察署)に「幹部派出所」、兵庫県警察では「警視(警部)派出所」、島根県警察では「広域交番」、茨城県警察・警視庁では「地区交番」、三重県警察・愛知県警察・山口県警察・奈良県警察・富山県警察では「幹部交番」という名称を用いる。
いわゆる交番として、地域警察官の配置が基本であるが、特に「警察署○○分庁舎」「警察署○○庁舎」の名称を用いる場合は「交通係」「刑事係」「生活安全係」などの専務員が配置されているケースがある。
北海道
北海道警察
函館方面本部
旭川方面本部
東北管区
青森県警察
- 五所川原警察署
- 金木交番 - 旧・金木警察署。2006年(平成18年)、五所川原警察署と金木警察署が統合に伴い五所川原警察署金木分庁舎を設置する。その後、2020年(令和2年)4月1日に金木交番に組織変更。[1][2]
- 黒石警察署
- 大鰐交番 - 旧・大鰐警察署。2006年(平成18年)、黒石警察署と大鰐警察署が統合に伴い黒石警察署大鰐分庁舎を設置する。[3]その後、2020年(令和2年)4月1日に大鰐交番に組織変更。[4]
- 弘前警察署
- 板柳交番-旧・板柳警察署。2022年(令和4年)、弘前警察署と板柳警察署の統合に伴い組織変更。
秋田県警察
- 北秋田警察署
- 森吉幹部交番 - 旧・森吉警察署。2005年(平成17年)、森吉警察署と鷹巣警察署が統合、鷹巣署が改称して北秋田警察署となり設置。
- 五城目警察署
- 天王幹部交番 - 2008年(平成20年)、天王交番から改称[5]。
- 横手警察署
- 増田幹部交番 - 旧・増田警察署。2005年(平成17年)、増田警察署の横手警察署への統合に伴い設置。
- 由利本荘警察署
- 矢島幹部交番 - 旧・矢島警察署。2005年(平成17年)、矢島警察署と本荘警察署が統合、本荘署が改称して由利本荘警察署となり設置。
- にかほ幹部交番 - 旧・にかほ警察署。2019年(平成31年)、にかほ警察署が由利本荘警察署に統合したことにより設置。
岩手県警察
宮城県警察
- 過去の幹部交番
- 仙台南警察署
- 若林区中央幹部交番 - 2019年(平成31年)4月1日若林警察署の設置に伴い、若林警察署若林中央交番に改称。
山形県警察
福島県警察
警視庁
出典は、「警視庁告示」
[6]より。
警視庁に置かれる地区交番の所長には警視をもって補せられている。
- 過去の地区交番
- 浅草警察署
- 山谷地区交番 - 2008年(平成20年)10月31日に日本堤交番に改称(通常の交番に改組)[8]。
- 新宿・四谷警察署
- 新宿地区交番 - 1993年(平成5年)5月に新宿警察署歌舞伎町交番の新設に伴い、新宿・四谷署の合同管轄から四谷署単独管轄(通常の交番に改組)となり、1996年(平成8年)9月2日花園交番に改称[9]。
関東管区
茨城県警察
※神栖警察署の開設に伴い鹿嶋警察署より移管される。
栃木県警察
- 大田原警察署
- 黒羽交番(旧・黒羽警察署、2006年4月1日大田原警察署へ統合に伴い「黒羽幹部派出所」として設置。その後、2022年(令和4年)3月28日 に周辺の警察官駐在所を統合し、「黒羽交番」に名称を変更。[10])
- 那須塩原警察署
- 日光警察署
- 足尾交番(旧・足尾警察署、2006年4月1日日光警察署へ統合に伴い設置。)
- さくら警察署
- 喜連川交番(旧・喜連川警察署、2006年4月1日氏家警察署(統合時にさくら警察署に改称)と統合に伴い設置。)
- 栃木警察署
- 藤岡交番(旧・藤岡警察署、2010年4月1日栃木警察署へ統合に伴い設置。)
群馬県警察
千葉県警察
出典は、「千葉県例規集」[11]より
交番所長の階級は警視。
- 佐倉警察署
- 香取警察署
- 小見川幹部交番 - 2006年(平成18年)3月27日、香取市発足に伴う小見川警察署の佐原警察署(現・香取警察署)への統合に伴い設置[12]。
- 多古幹部交番 - 多古警察署の佐原警察署への統合に伴い設置。
- 茂原警察署
- 一宮幹部交番 - 一宮警察署の茂原警察署への統合に伴い設置。
- 勝浦警察署
- 大多喜幹部交番 - 1970年(昭和45年)、大多喜警察署の勝浦警察署への統合により設置。
- 市原警察署
- 南総幹部交番 - 1970年(昭和45年)4月、南総警察署の市原警察署への統合により設置。
- 君津警察署
- 上総幹部交番 - 1970年(昭和45年)4月1日、上総警察署の木更津警察署への統合により設置。1993年(平成5年)3月17日に君津警察署の分離独立に伴い移管。
- 館山警察署
- 千倉幹部交番 - 2006年(平成18年)3月20日、南房総市発足に伴う千倉警察署の館山警察署への統合に伴い設置[12]
- 過去の幹部交番(派出所)
- 習志野警察署
- 佐倉警察署
- 四街道幹部交番 - 1998年(平成10年)3月2日四街道警察署の設置に伴い、四街道警察署四街道交番に改称。
- 柏警察署
- 流山幹部派出所 - 1986年(昭和61年)3月10日流山警察署の設置に伴い、流山警察署流山中央派出所(現:流山中央交番)に改称。
神奈川県警察
- 大和警察署
- 綾瀬地区交番(2009年(平成21年)11月16日 早川交番を綾瀬合同庁舎内に移転し開設。)
- 過去の幹部交番
山梨県警察
- 鰍沢警察署
- 市川分庁舎(市川交番) - 鰍沢警察署と市川警察署の統合に伴い設置。
- 日下部警察署
- 塩山分庁舎 - 日下部警察署と塩山警察署の統合に伴い設置。
- 大月警察署
- 都留分庁舎 - 大月警察署と都留警察署の統合に伴い設置。
- 甲斐警察署
- 韮崎交番 - 韮崎警察署が甲斐警察署として甲斐市内に移転することに伴い、2021年(令和3年)4月14日韮崎駅前交番から名称を変更し設置。同時に「大規模交番」へと移行した。[13][14]
韮崎交番を除き、すべて2007年(平成19年)4月1日に設置。
- 過去の分庁舎
- 韮崎警察署
- 甲斐分庁舎 - 2007年(平成19年)4月1日に庁舎新設。その後、2021年(令和3年)5月6日に韮崎警察署が甲斐市内に移転し、甲斐警察署として開署したことに伴い、2021年(令和3年)5月5日に廃止。[15]
新潟県警察
- 過去の幹部交番(派出所)
- 旧佐渡西警察署
- 佐和田幹部交番 - 2019年(令和元年)11月2日佐渡警察署の設置に伴い、佐渡警察署佐和田交番に改称。
- 旧巻警察署
- 吉田幹部交番 - (時期不明)巻警察署吉田交番に改称。のち2006年(平成18年)燕警察署吉田交番に改称。
- 燕警察署
- 分水幹部交番 - (時期不明)燕警察署分水交番に改称。
- 上越警察署
- 柿崎幹部交番 - 2020年(令和2年)3月1日、上越警察署柿崎交番に改称。
- 安塚幹部交番 - 2020年(令和2年)12月23日、上越警察署安塚交番に改称。
長野県警察
- 過去の警部交番
- 長野南警察署
- 千曲警察署
- 戸倉・上山田警部交番 - 戸倉・上山田交番に改称。
- 中野警察署
- 山ノ内町警部交番 - 2014年山ノ内町交番に改称。
- 諏訪警察署
- 伊那警察署
- 高遠町警部交番 - 高遠町交番に改称。
- 箕輪町警部交番 - 箕輪町交番に改称。
- 大町警察署
- 上田警察署
静岡県警察
中部管区
富山県警察
- 過去の幹部交番(派出所)
- 富山西警察署
- 婦中町幹部交番 - (時期不明)富山西警察署婦中交番に改称。
- 旧福光警察署
- 城端幹部派出所 - (時期不明)福光警察署城端交番に改称、のち南砺警察署城端交番に改称。
石川県警察
福井県警察
岐阜県警察
愛知県警察
三重県警察
近畿管区
滋賀県警察
京都府警察
- 過去の幹部交番
大阪府警察
- 過去の幹部交番
- 枚方警察署
- 交野市駅前交番 - 2012年(平成24年)7月2日 - 交野警察署の新設に伴い通常の交番に改組。
兵庫県警察
2021年3月22日をもって、名称としての警視・警部派出所は全廃された。
- 過去の幹部交番
- 社警察署
- 小野警視派出所 - 2015年11月2日、小野警察署設置に伴い廃止。
- 神戸水上警察署
- 港島警部派出所 - 2013年1月13日、神戸市中央区港島の新庁舎に移転したため廃止。
奈良県警察
- 天理警察署
- 田原本警察庁舎 - 田原本警察署の天理警察署への統合により設置。
- 高田警察署
- 御所警察庁舎 - 御所警察署の高田警察署への統合により設置。
- 吉野警察署
- さくら警察庁舎 - 吉野警察署の中吉野警察署への統合により設置。
- 五條警察署
- 十津川警察庁舎 - 十津川警察署の五條警察署への統合により設置。
- 桜井警察署
- 宇陀警察庁舎 - 宇陀警察署の桜井警察署への統合により設置。
- 大宇陀幹部交番 - 大宇陀警察署の榛原警察署(のちに宇陀警察署へ改称)への統合により設置。2014年(平成26年)3月3日に、宇陀警察署が桜井警察署に統合されたことに伴い移管。
和歌山県警察
中国・四国管区
岡山県警察
過去の幹部交番
広島県警察
鳥取県警察
島根県警察
- 出雲警察署
- 平田広域交番(旧・平田警察署)
- 大社広域交番(旧・大社警察署)
- 2005年(平成17年)4月1日 ‐ 平田警察署及び大社警察署が出雲警察署へ統合に伴い設置。
- 大田警察署
- 温泉津広域交番(旧・温泉津警察署)
- 2005年(平成17年)4月1日 ‐ 温泉津警察署が大田警察署へ統合に伴い設置。
- 雲南警察署
- 掛合広域交番(旧・掛合警察署)
- 三成広域交番(旧・三成警察署)
- 2005年(平成17年)4月1日 ‐ 掛合警察署及び三成警察署が木次警察署(統合時に雲南警察署に改称)へ統合に伴い設置。
山口県警察
香川県警察
愛媛県警察
徳島県警察
高知県警察
九州管区・沖縄県
福岡県警察
佐賀県警察
長崎県警察
- 長崎警察署
- 矢上交番 - 2005年(平成17年)4月1日、長崎東警察署の長崎警察署への統合に伴い、矢上町交番を庁舎跡に移転・改称。
- 雲仙警察署
- 雲仙北交番 - 2005年(平成17年)4月1日、国見警察署の小浜警察署との統合に伴い設置。
熊本県警察
大分県警察
宮崎県警察
鹿児島県警察
沖縄県警察
参考文献