首都高速都心環状線
首都高速都心環状線(しゅとこうそくとしんかんじょうせん、英語: Inner Circular Route)は、東京都の千代田区、中央区、港区を環状に通る首都高速道路の路線である。略称は都環(とかん)、C1。江戸橋JCT - 谷町JCT(竹橋JCT経由)間は、 アジアハイウェイ1号線「AH1」に指定されている。 概要全長約14.8キロメートル (km) 。日本国道路元標で知られる日本橋真上を起終点とする東京都の最都心部を一周する環状線である。主に各放射線同士を接続する役割を担う。環状部分に加えて、京橋JCTで分岐する東京高速道路への接続部分(都道首都高速8号線)についても、延長が0.1 kmと短く、標識等が煩雑となることから、都心環状線の一部として案内されている[1]。 全線一周を走行した場合の所要時間は、道路状況が順調な場合約15分ほどである。1980年(昭和55年)には既に渋滞が頻発していた[2]。都心を通過する必要性の薄い車両の乗り入れを減少させるべく、中央環状線の建設が進められ、2015年(平成27年)3月7日に全線が開通した。2010年(平成22年)3月の山手トンネル部分開通の時点で、都心環状線(谷町 - 霞が関間)の交通量が1日当たり11.7万台から9.7万台に減少するなど[3]、以前と比べて混雑状況は大きく改善されているものの、それでも朝夕時間帯など交通量ピーク時には渋滞することも珍しくない。 銀座周辺は楓川・築地川を埋め立てた跡地を利用した半地下構造となっており、埋め立て前に両河川に架けられていた橋梁のうちのいくつかが現在も跨道橋として使われている。このためこの区間には車線間に橋脚の立つ箇所があり、その前後は車線変更禁止となっている。また銀座以外の区間でも急カーブや事故発生要因がある区間などの場合車線変更禁止の区間がある。 2009年(平成21年)より首都高上の標識では「C1」の周囲が矢印(内回り:反時計回り、外回り:時計回り)で円を描いた表示に変更された他[4]、「都環(Circle 1)」と略記されることもある[5]。 ナンバリングC1:Cは「circle」の頭文字から。 路線データ「都心環状線」とは一般向け案内に用いられる「路線呼称」であり、道路法に基づき東京都が認定・告示する法定路線名ではない。各区間の道路法上の法定路線名は外回り(時計回り)では下記のとおりである。
以上で環状部分が構成される 歴史
地理通過する自治体接続高速道路
出入口など
本線
支線
路線状況トンネル
車線・最高速度
交通量本線24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成) 支線24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成) 日本橋区間地下化事業首都高速の開通から半世紀以上が経過し、特に日本橋川上空や築地川区間の首都高速の構造物は経年劣化が進み、支承部の疲労き裂やコンクリート床版のひび割れなど多数の損傷が発生し、長期的な安全性の確保のために抜本的な対策の必要性に迫られていた。また、日本橋上空の景観面の問題もかねてから指摘されていたこともあり、2014年に同区間も含めた首都高速の大規模更新計画が策定され、2016年には日本橋周辺で検討が進むまちづくりの取り組みが、国家戦略特区の都市再生プロジェクトに追加された。その後「首都高日本橋地下化検討会」が設置され、検討が行われた結果、2019年に神田橋JCT - 江戸橋JCT間を地下ルートで整備することが決定した。2020年に都市計画事業が認可されている[16]。 この日本橋区間の地下化に伴い、都心環状線を含めた環状ルート(特に江戸橋JCTの形状)が大きく変容することとなる。具体的には、神田橋JCT - 江戸橋JCTについては地下化され、特に江戸橋JCT付近は神田橋JCT - 6号向島線方向が本線として地下化されることに伴い、都心環状線の本線であった都心環状線連絡路(神田橋JCT方向 - 京橋JCT方向のランプ)が廃止され、江戸橋JCT経由では従来の都心環状線が接続しなくなる(その他の方向のランプは一部改築の上残存)。 このため、神田橋JCT - 京橋JCT間で並行する八重洲線を新たな都心環状ルートとして活用するべく、八重洲線八重洲トンネルの一部を都市環状線の地下区間に取り込んで神田橋JCTの分岐場所を従来の常盤橋出入口付近に移動、さらに東京高速道路(KK線)を活用していた京橋JCT - 西銀座JCT間にシールドトンネルによる新たな連絡路(新京橋連絡路)を整備しKK線は全区間を廃止して歩行者中心の公共空間に転換する(都心環状線の出入口である汐留出入口・東銀座出口は存続)こととなる[17]。 このため八重洲線は新京橋連絡路や日本橋区間の地下ルートとの接続のために大規模な改築が発生し、2025年4月上旬から2035年度までの予定で長期通行止めとなる。日本橋地下区間は2035年度に開通し、神田橋JCT - 江戸橋JCTの地上区間は廃止され、2040年度までには同区間の高架部分が撤去される予定[18]。 なお、地下化事業に先行して、都心環状線の呉服橋出入口・江戸橋出入口が2021年5月10日に廃止されている[19]。また、新京橋連絡路の整備に伴い、都心環状線外回りの京橋入口は廃止され、代替として新富町入口(仮称)が新設される予定である[20]。 暴走行為の取締り週末の深夜から早朝を中心に、公道レースのように可能な限り速く1周することを競うルーレット族と呼ばれる違法競走型暴走族が出没することがある。ルーレット族は、首都高速道路上のパーキングエリアを溜まり場とすることが多いため、対策として土曜日の深夜や年末年始には、一部PAの利用制限が行われており、また首都高速道路交通管制室及び警視庁高速隊による、ビデオカメラを用いた記録や取締りが重点的に行われている[21][22][23]。2008年、オートバイチーム「ループス」が、警視庁により逮捕された[24]。 脚注注釈出典
関連項目
外部リンク |