『魔王2099』(まおうにぜろきゅうきゅう[6])は、紫大悟による日本のライトノベル。イラストはクレタ。第33回ファンタジア大賞大賞受賞作[7]。富士見ファンタジア文庫(KADOKAWA)より2021年1月から刊行されている。
メディアミックスとして、コミカライズが『少年エースplus』(KADOKAWA)にて、2021年11月5日から赤城紀伊呂の作画で開始された[8]が更新が停止し、新たに2023年3月22日から桜井寛の作画で仕切り直して連載された[9][4]。またJ.C.STAFF制作によるテレビアニメが2024年10月から12月まで放送された[10][11][12]。
あらすじ
| この節の 加筆が望まれています。 (2024年12月) |
定命と不死の覇権をかけた不死戦争での最終決戦において魔王ベルトールは、勇者グラムに敗れ滅びを迎えた。だが魔王は500年後、転輪の法メテノエルにより蘇った。迎えるのは六魔候の一人マキナ。彼女は驚くべきことをベルトールに伝える。統合暦2099年、魔法文明惑星「アルネス」と別次元にあった機械文明惑星「アース」は融合し、魔導工学の技術革新により驚愕の進化を果たしていた。弱体化したベルトールは、信仰力を集め力を取り戻すためゲーム配信者となる。不死達が行方不明となり、繁栄する新宿市における闇にベルトールは立ち向かうことになる。
登場人物
声の項はテレビアニメ版の声優[注 1]。
- ベルトール=ベルベット・ベールシュバルト
- 声 - 日野聡[10]
- 本作の主人公で、魔王[13]。堅物な性格[13]。
- 作者の紫によると「500年後の世界に少しずつ順応していける柔らかい頭の持ち主」であり、その点を紫は意識して描いている[13]。
- マキナ=ソレージュ
- 声 - 伊藤美来[10]
- 本作のヒロイン[13]で、ベルトールの臣下・[13]六魔侯の一人「煌灼侯」と呼ばれ、炎に関する魔法を得意とする。清楚で健気な苦労人[13]。
- 高橋(たかはし)
- 声 - 菱川花菜[11]
- ハッカー[13]。地球側の人物[13]。
- 作者の紫によると「チャイナ服にドワーフ・ジャケットを羽織るという、かなり奇抜な格好をしていて、ベルトールとの掛け合いが非常に弾む存在」のため、「作品的にも作者的にも便利なキャラクター」であると話している[13]。
- グラム
- 声 - 浪川大輔[12]
- 勇者[13]。500年前魔王・ベルトールを討伐し女神・メルディアから「不老」の祝福を授かった。苦労人[13]。
- マルキュス
- 声 - 松風雅也[12]
- かつての魔王の臣下・六魔侯の一人で、血に関する魔法を得意とする。
- 木ノ原
- 声 - 伊藤静[12]
- 石丸魔導重工〈IHMI〉の社長・マルキュスの秘書。
- 山田・レイナード=緋月
- 声 - 山根綺
- 秋葉原魔法学園に通う女子高生。
- トラート=ゲーテル
- 声 - 金元寿子
- 秋葉原御三家ゲーテル家当主。
- マグ=ロサンタ
- 声 - 日笠陽子
- 秋葉原魔法学園の学師。
- コルネア=セブルド
- 声 - 佐藤せつじ
- 秋葉原御三家セブルド家当主。
- メルディア
- 声 - 名塚佳織
- アルネス六大神の一柱、幸運と不運を司る女神。
- メイ
- 声 - 古賀葵
- 聖職者のような姿のバイザーをつけた少女。アンゼと呼ばれている。
制作背景
作者の紫はゲーム好きであり、「エンターテインメントとして面白いだろう」と考え、本作は「ゲームや映画から蓄積して、自分の中に落とし込んだ世界観」が描かれている[13]。過去に紫がSFに寄った似たような作品を応募した際に、「若干のとっつきにくさがあると選評で指摘を受け」た経験があった[13]。そこで紫は、本作では「わかりやすいファンタジー要素を積極的に取り入れ」、「ハイファンタジーな世界観に電脳やネットワークといったSF的な世界観を掛け合わせ、かつ作品としての楽しさを優先し、小難しくならないよう注意」して描いている[13]。
地球のキャラクターを主人公とする案もあったが、勇者が主人公では悪いことをさせられない、「パンチがそこまで強く」ない、「魔王の方が書いていて楽しいと感じた」という理由から、紫は「執筆する上で自分も楽しめるキャラクターを主人公にしようと考え」て、魔王が主人公となった[13]。
本作は「物語の本筋とは絡んではいないけど、複雑な世界観が垣間見えるような描写もかなり織り交ぜて」いるが、「ストーリーラインを明確にして読みやすさ重視で執筆」されている[13]。紫は「頭の中で設定をこねくりまわす」ことが嫌いではないため、「科学ベースと魔法ベースの2つの世界が融合している」ことについては、書きにくさはほとんどないと話している[13]。
評価
第33回ファンタジア大賞で審査員を務めた細音啓、橘公司、羊太郎は本作を以下のように評している。
細音啓 - ベルトールとマキナのカップルがとにかく尊い……!勇者も格好いい……!魔王と勇者、男の友情もいいものですね。ベルトールやマキナもですが、種族ごとにセリフの外連味が用意されていて、愛着が持てました。世界観の「ごちゃ混ぜ」具合も楽しかったです。ひとつ言うとすれば、それぞれの出来事やバトルに詳細な説明描写が入っていますが、人によっては読み飛ばしてしまうかも……。
橘公司 - 非常に面白かったです。序盤はよくある魔王ものかと思いましたが、魔王が目醒めた後のサイバーパンク&ディストピアの世界観との取り合わせでオリジナリティを出せていました。500年後の世界で魔王が悪戦苦闘し、のし上がっていくコメディ部分も面白い。特に、中盤からはもりもり読み進めさせる勢いがあります。クライマックスのバトルにも、魔王が新たな世界で得た『強さ』を活かせたらもっと面白くなるのではないかと思いました。
羊太郎 - ファンタジーとサイバーパンクが融合しているという世界観が面白く、圧倒的なオリジナリティが確立されています。時代遅れの魔王が、必死に頑張って新時代に適応しようとする姿の面白さ、魔王としての威厳がありながらもこの愛嬌、一気に好きになります。完全に新しい世界観なので、初見のハードルの高さをどうするかがポイントですが、構築された世界観そのものは素晴らしい。特に、後半〜ラストバトルの展開は痛快そのもの。これぞ王道。総じて面白かったです!
— 出典[14]
既刊一覧
小説
- 紫大悟(著)・クレタ(イラスト)、KADOKAWA〈富士見ファンタジア文庫〉、既刊5巻(2024年11月20日現在)
漫画
テレビアニメ
2024年10月から12月までTOKYO MXほかにて放送された[11][12][23]。
スタッフ
主題歌
- 「ホロウ」[12]
- シユイによるオープニングテーマ。作詞・作曲・編曲は須田景凪。
- 「スピラ」[12]
- sekaiによるエンディングテーマ。作詞・作曲・編曲は椎乃味醂。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 初放送日 |
Chapter1 | 電子荒廃都市・新宿
Cyberpunk City Shinjuku | 安藤良 | - 谷川亮介
- 前原薫
- 松下純子
- 外山陽介
- 舘崎大
- 畠山佳苗
- 村上雄
| 谷川亮介 | 2024年 10月13日 |
Chapter2 | 魔王と臣下
The Demon Lord and His Vassals | 羽迫凱 | - 前田ゆり子
- 永田有香
- Dogwood
- GAONNURI Animation
- Studio EverGreeen
| | 10月20日 |
Chapter3 | 【初配信】魔王ベルトール復活の時である!
[DEBUT STREAM] The Demon Lord Veltol Has Arisen! | 永居慎平 | 吉村朝陽 | - 富春
- 過燦
- 徐小山
- 猞猁仔
- 無鲸達睬
- 劉簾
- 参窦
- 梁海泳
- 拾月動画
- 无锡市樱花卡通有限公司
| | 10月27日 |
Chapter4 | 新宿市の影
The Shadows of Shinjuku | 河野亜矢子 | - 亀田朋幸
- 香田智樹
- 細田沙織
- 手島勇人
- 村上雄
- 前田ゆり子
- 山本雅章
- Studio EverGreeen
| 谷川亮介 | 11月3日 |
Chapter5 | 坩堝の底
The Depths of the Crucible | 高田耕一 | 梅本駿平 | - 前原薫
- 永田有香
- 畠山佳苗
- 松下純子
- Studio EverGreeen
| | 11月10日 |
Chapter6 | 勇者の戦い
The Hero's Battle | 小林寛 | 安藤良 | - 細田沙織
- 亀田朋幸
- 香田智樹
- 前原薫
- 永田有香
- 村上雄
- 前田ゆり子
- Dogwood
- STUDIO MASSKET
| | 11月17日 |
Chapter7 | 魔王再誕
The Demon Lord's Resurrection | 安藤良 | 海宝興蔵 | - 前田ゆり子
- 南翔太
- phil Studio
- Studio EverGreeen
- STUDIO MASSKET
| | 11月24日 |
Chapter8 | 電脳魔導都市・秋葉原
Cybermagic City Akihabara | 羽迫凱 | | 長谷川眞也 | 12月1日 |
Chapter9 | 劣等生と留学生
The Poor Student and the Exchange Student | 永居慎平 | 粟井重紀 | - 過仙
- 徐小山
- 碧ひかる
- MARURIN
- kiki koko
- 劉簾
- 参窦
- 拾月動画
- 无锡市樱花卡通有限公司
| | 12月8日 |
Chapter10 | 秋葉原御三家
Akihabara's Three Great Houses | 河野亜矢子 | - 亀田朋幸
- 香田智樹
- 細田沙織
- 前原薫
- 永田有香
- 前田ゆり子
- 山本雅章
| | 12月15日 |
Chapter11 | 女神降ろし
The Goddess Reincarnated | 石井俊匡 | 羽迫凱 | - 長谷川眞也
- アラタハヤト
- 外山陽介
- 松下純子
- Studio EverGreeen
- Dogwood
- STUDIO MASSKET
| | 12月22日 |
Chapter12 | 還帰の王
The Lord's Return | | 安藤良 | - 谷川亮介
- 前原薫
- 香田智樹
- 亀田朋幸
- 細田沙織
- 藤井昌宏
- 村上雄
- 前田ゆり子
- 山本雅章
- 南翔太
- Dogwood
| | 12月29日 |
放送局
日本国内 インターネット / 配信期間および配信時間[23]
配信開始日 |
配信時間 |
配信サイト |
2024年10月13日 |
日曜 0:00(土曜深夜) 更新 |
|
2024年10月18日 |
金曜 0:00(木曜深夜) 更新 |
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BD / DVD
巻 |
発売日[27] |
収録話 |
規格品番
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BD |
DVD
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1 |
2024年12月25日 |
第1話 - 第3話 |
ANZX-16721 |
ANZB-16721
|
2 |
2025年1月29日予定 |
第4話 - 第5話 |
ANZX-16723 |
ANZB-16723
|
3 |
2025年2月26日予定 |
第6話 - 第7話 |
ANZX-16725 |
ANZB-16725
|
4 |
2025年3月26日予定 |
第8話 - 第10話 |
ANZX-16727 |
ANZB-16727
|
5 |
2025年4月23日予定 |
第11話 - 第12話 |
ANZX-16729 |
ANZB-16729
|
脚注
注釈
- ^ ベルトール役の日野とマキナ役の伊藤は2021年制作のPVから続投となる[10]。
出典
外部リンク