Leaf
Leaf(リーフ)は、株式会社アクアプラスのアダルトゲームブランド。 「葉っぱ」「葉」とも呼ばれる。PINKちゃんねるのleaf,key掲示板やコミックマーケットのジャンルコードの影響もあって、Key(通称「鍵」)とひとまとめにして「葉鍵」という分類をされることもある。Leafファンのことを「葉っ派」と呼ぶこともあるが、Keyにおける「鍵っ子」ほどは使われていない。Leafというブランド名は「僕達はまだ芽が出たばかりの小さな葉っぱ、でもいつも天に向かって手を伸ばしていよう。そして、いつかきっと、大地にしっかりと根付く、見上げるほどの大木になろう。」という、想いを込めて命名された[1]。 人の出入りが激しいメーカーとしても知られる。現代表の下川直哉は、設立当初の代表取締役の実子である。 沿革1990年代当初は下川直哉と折戸伸治の2名で音楽事務所U-OFFICE[注 1]として活動していたが、1995年よりLeaf名義で活動を開始し、『DR2ナイト雀鬼』 、続いて『Filsnown -光と刻-』を発表したが、どれも売り上げは芳しくなく泡沫メーカーの域をでなかった。 しかし、スタッフに髙橋龍也を迎え、1996年にビジュアルノベルシリーズとして『雫』、『痕』をリリースし異色の作風でゲームマニアに存在をアピール、口コミやパソコン通信、同人誌などで人気がでる。1997年にビジュアルノベルシリーズの第3弾として発売された『ToHeart』のヒットで、成人向けゲーム業界のトップブランドとしての地位を確立した。 1998年に発売された『WHITE ALBUM』では、浮気をテーマに重いシナリオを展開したが『ToHeart』で掴んだファンは方向性の違いに痛々しいという反応[2]を返す。同時期にはF&Cからみつみ美里を始めとする『Piaキャロットへようこそ!!』開発スタッフ[注 2]、シルキーズで『恋姫』のシナリオを担当した菅宗光らを迎え、東京開発室を設置。従来の開発ラインは大阪開発室(2000年6月の移転までは伊丹開発室)とし、2ラインの体制となった。なお、両開発室はシナリオ・原画担当が別であるため、事実上の別ブランドとも言える(音楽は共通)。 1999年には『ToHeart』を一般販売用の別ブランドAQUAPLUS名義でPlayStationへ移植し、10万本前後を売り上げるとともに一般向けアニメ化を果たし、一般層にも名前を知られるようになる。さらにPCでは東京開発室から『こみっくパーティー』が発売され、同人誌というマニアックなテーマでありながら新たなファン層の獲得に成功した[2]。 2000年代2000年1月28日にはアミューズメントディスク第3弾となる『猪名川でいこう!!』をリリース。同年4月23日に同名のゲーム『こみっくパーティー』を基にした同人即売会を主催したが、会場内での客捌きなどに不慣れなスタッフしか準備できず混乱する。この頃の大阪開発室は、ビジュアルノベルシリーズ三部作の高橋・水無月コンビが開発の現場から離れ管理職の立場に変わったことで開発力が大きく低下する。4月に発売された『まじかる☆アンティーク』では、新人の椎原旬とはぎやまさかげのコンビがメインを務める一方で高橋はおまけシナリオ一本を担当するにとどまり、三部作ほどの評価は得られなかった。その後、6月に原田宇陀児、7月に髙橋龍也や水無月徹といった大阪開発室の主要スタッフがLeafを退社している。 2000年9月14日文章・画像・音楽引用の規制強化、同人誌の委託販売の禁止等、二次創作・素材使用についてへの対応基準を掲載し話題を呼んだ[注 3]。 2001年2月9日には大阪開発室から盗作騒動の渦中にあった竹林明秀がシナリオを務めるダーク路線への回帰を狙った『誰彼』は売り上げこそ高かったものの出来がファンの期待に反したものだった[注 4]。2月14日にリーフスタッフが内情を書き綴った掲示板の書き込み文章、通称「552文書」が流出する。この文書によりリーフの内情とともに、上記スタッフらが退社していたことがLeaf,key掲示板利用者を中心に知れ渡る[3]。Leafは3月から1ヶ月間に渡って講談社への盗作に対する謝罪文を自社サイトに掲載したが騒ぎは収まらず、2001年8月にLeaf公式掲示板が一時閉鎖されることとなる[注 5]。 2002年1月、ファンクラブ会員にABYSS BOATを無料配布。4月には、菅宗光が企画、脚本を務めた東京開発室の『うたわれるもの』が発売され、売り上げは誰彼よりも減少したものの、後にPlayStation 2に移植された。PlayStation 2に移植された『うたわれるもの』は発売後の2ヶ月間で10万本を突破。Amazon.co.jpの2006年ゲーム総合部門売り上げランキングでは年間4位を記録するスマッシュヒットを記録した。また、『うたわれるもの』は2006年、ABCを幹事局とする独立U局系列でアニメ化され、OLMによる作品としてヒット、後にOVAの制作も発表された。 2003年2月大阪開発室はビジュアルノベルを復活させテネレッツァを手がけた永田和久と、新人のまるいたけしをシナリオに据えてビジュアルノベルシリーズ第4弾『Routes』を発売するも、売り上げはさらに減少した。9月の『天使のいない12月』はシナリオライターの主導により、東京開発室では初めてとなる暗い物語を展開。売り上げは『うたわれるもの』と同程度であった。 2004年4月にはアミューズメントディスク第4弾『アルルゥとあそぼ!!』が発売。収録された半リアルタイムSLGの『グエンディーナの魔女』やポンジャン風の脱衣ゲーム『りーぽん』などはそれぞれ後の作品に向けた実験作の意味合いが強いものだった。12月には、大阪・東京開発室合同による『ToHeart』の続編である『ToHeart2』がAQUAPLUS名義でPlayStation 2で発売された。これは旧作のネームバリューも手伝って、前作同様10万本を超えた。 2005年4月には、まるいたけしがメインシナリオ、古寺成が原画を務めたシミュレーションRPG『Tears to Tiara』を発売。さらに9月にはアドベンチャーゲーム『鎖 -クサリ-』を発売した。鎖はこれまでのLeafとは全く違う作品をつくろうという目標のもと、枕流がメインシナリオをつとめ、原画を外注した。これまでも雫や痕など凌辱シーンのある作品を手がけてきたLeafだったが、凌辱をメインに扱ったのはこの作品が初となりファンの評価はまっぷたつに分かれたと言う[2]。両作品とも売り上げはコンスタントにあげているものの大阪開発室による新作の売り上げは『誰彼』以降長らく減少傾向にある。 2005年12月9日には、『ToHeart2』からアダルト要素をとりいれ、パソコンへ逆移植された『ToHeart2 XRATED』が発売され10万本を突破。これにはPS2版プレイヤーの強い後押しがあったと下川はインタビュー[2]で語っている。 2006年7月には、東京開発室より『フルアニ』が発売された。これは脱衣麻雀ゲームという『DR2ナイト雀鬼』への回帰を狙った作品であり、『誰彼』で採用したチップアニメのような演出を進化させる形で大きく予算を割いた実験的な作品[2]であったが、東京開発室のゲームとしてはかなり低い売り上げにとどまっている。 2010年代2010年3月には、『WHITE ALBUM2 -introductory chapter-』が発売された。これは丸戸史明の持ち込んだ企画で、2部構成を採用しており、終章の『WHITE ALBUM2 -closing chapter-』は2011年12月に発売された。本作の挿入歌『深愛』はアニメ『WHITE ALBUM(2009年TV放映)』でOP主題歌として用いられた曲で、第60回NHK紅白歌合戦において、緒方理奈役の水樹奈々の歌唱曲に選ばれた。 2011年1月には、『星の王子くん』が発売された。今作も外部スタッフとして、『鎖 -クサリ-』のCGを勤めたQP:flapperが参加している。 2011年12月には、『WHITE ALBUM2 -closing chapter-』が発売された。 Keyとの関連性前述のようにKey(ビジュアルアーツのアダルトゲームブランド)とは、ファン層や二次創作のジャンル分けで「葉鍵」とセットにされがちである。そもそもは、巨大インターネット掲示板「2ちゃんねる」において、『痕』おまけシナリオの盗作騒動の影響で「隔離」掲示板としてleaf,key掲示板(通称「葉鍵板」)が設立されたことが原因である。 この時に盗作騒動とは無関係なKeyがLeafと一括りにされたのは、1997年に発売された『To Heart』と翌1998年にTacticsから発売された『ONE 〜輝く季節へ〜 』のファン層が重なったことにより、ファン同士の交流や両作品の比較論争が起こっていたことによる。『ONE』には元Leafで当時Tacticsに在籍していた作曲家の折戸伸治が参加しており、このこともファン層の重なりに影響している。ファン層の重なりとそれに伴う交流は、『ONE』開発チームのほとんどがビジュアルアーツに移籍してKeyを設立して以降も続くことになった。 そして、この分類は、同人文化の総本山である『コミックマーケット』のジャンルコードとして「Leaf&Key」が独立して割り当てられた2001年8月の冬コミ (C60) [4]より一般化し、LeafやKeyの作品を知らない者にも広まった。このコードは、2013年開催の冬コミ (C85)[5]まで1ジャンルとして存在していた。 ただし、両ブランドの作品傾向は大きく異なっており、以前よりもファン層の乖離が見られることから、必ずしも現状を表す分類とは言いきれないことには注意が必要である。 両ブランドの企業としての関連性は、共に関西地区にオフィスを構えるということ以外にないが、Leafに在籍したスタッフが退社後にKeyに入社し、逆にKeyに在籍したスタッフが退社後にLeafに入社したことがあった。 作品リスト※は大阪(伊丹)開発室開発
アニメ化作品
所属スタッフ大阪開発室(旧 伊丹開発室)
東京開発室
外注スタッフ
元スタッフ
関連項目
脚注注釈
出典参考文献外部リンク |