アクションゲーム
アクションゲーム(action game)は、キャラクターの行動をボタンなどにより直接操作し、すばやくゲーム内の事象を制御する能力を競うコンピュータゲームのジャンルの一つ。後述する狭義の定義における略称は英語の頭3文字を取ってACT。ACGとも略される。後述する広義のアクションゲームは「リアルタイムゲーム」とも呼ばれる。 概要基本的には、ボタン操作などによって連動する人間や動物、ロボット、機械などの個体(プレイヤーキャラ)を動かすゲーム全般を指すので、非常に幅広いジャンルを内包する。さらに、プレイヤーキャラが存在する場所(ステージ)があり、プレイヤーキャラ以外に、ステージ上を動く存在(プレイヤーを攻撃する、援護する、無関係に動くなど)があり、それらは敵、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)、罠、アイテムなどがある。コンピュータRPGとは対照的に、プレイヤーの技術力が直接プレイに影響する。 世界で最も売れた家庭用ゲームである『スーパーマリオブラザーズ』や『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』もこれに属する。統計においても、2015年の日本におけるゲームアプリ市場での年間ダウンロード数は8,630万回[1]、家庭用ゲーム市場での年間販売本数は1,267万本[2]でともに首位である。 テレビゲーム機が広まるより前から非電源式ゲームではアクションゲームという言葉が使われ、1960年発売の『人生ゲーム』のパッケージには「A FULL 3-D ACTION GAME」と記載され、盤面に動きがあったり小さめの玉を派手に動かしたり弾いたりするタイプのボードゲームで使われていた[3]。アメリカでは1977年に登場のバリーの家庭用ゲーム機では「ACTION/SKILL」のジャンルが存在、1980年頃には「action game」が使用され、日本ではスタークラフトがパソコン雑誌に出稿した広告に遅くとも1982年前半頃には使われていた[3]。言葉の使用はアドベンチャーゲームなど別ジャンルの登場により区別するために増えていったとみられる[3]。 一般的には別ジャンルで呼ばれるゲームがアクションゲームとされていたことがあり、『ログイン』(アスキー91983年5月号で『ゼビウス』を「戦闘(アクション)ゲーム」とルビが振られ、1983年8月発売の『こんにちはマイコン』第2巻の目次にあるゲームジャンル紹介でアクションゲームを「スペースインベーダー等の、反射神経を競うゲーム」と説明していた[3]。また「スポーツ、格闘技、レースを含む」とする説明が2017年時点でもあり、アクションに該当はするがレースゲームは素早い判断が必要な場合もあるがどれもアクションゲーム扱いはできず、この説明はリアルタイムゲームと混同しており、スポーツやレースのゲームはリアルタイムに行われることが少なくないが題材からしてリアルタイムで行われるのであってアクションゲームのためのリアルタイムとは限らないからである[4]。タイニーPは操作に対して画面上の動きにフィクション性が強いほどアクションゲームらしく、このジャンルを「ビデオゲームの一種で、画面上のキャラクター等がプレイヤーの操作に即応して動き、その操作と動きとの関係に、漫画的な単純化や誇張が多く含まれているもの」とするのが実際に近い説明として提示しているが、きちんとしたシミュレーションはともかくリアルタイムなら多くが何らかのアクションゲームらしさがあるのはあまり否定できず、そう考えると新ジャンルが○○アクションゲームと呼ばれることに納得がいき、都合よく多用される言葉だとしている[4]。 アクションゲームの分類広義のアクションゲームの分類では、シューティングゲームやレースゲームなど、キャラクターの行動をボタンなどにより直接操作し、すばやくゲーム内の事象を制御する能力を競うもの全てが含まれる。狭義のアクションゲームとは次のものを指す。
これに加え、さらなる特徴を持つ作品は以下のように分類される。 派生ジャンル
複合ジャンル他のゲームジャンルと複合しているもの。この記事ではアクション要素の強いものを扱う。
近縁のジャンルアクションゲームの狭義の定義では近縁、広義の定義では下位概念とされる。
アクションゲームの要素派生ジャンルに属さない(狭義の)アクションゲームにはいくつかの欠かせない要素が存在する。
視点
攻撃ステージには、プレイヤーキャラ以外の敵(モンスターやギャングなど)が存在することが多く、それらの敵を倒すために攻撃という動作が存在することが多い。 また、特に銃を模したコントローラで操作するアーケードゲームの場合、画面奥などからプレイヤーの視点に向かって飛んでくる敵の攻撃や障害物など、当たるとミス扱いするオブジェクトには、対象物の周りを赤くするといった方法でプレイヤーに知らされる。対象物を撃ち落とすか、当たらないように避ける行動をとることで回避できる。 リアルタイム性プレイヤーの入力によらず、一定の速度でゲームが進行するものは、リアルタイム(即時)での対応が求められる。 歴史黎明期(1972年 - 1979年)アクションゲームの原型は、1972年に北米で発売されたアーケードゲーム『ポン』(アタリ)にさかのぼる。卓球を当時の技術でコンピュータ上に再現したシンプルなゲームだが、ピンポンを打ち返す際に角度や速度を変える戦略性が人々の心をひきつけ、大ヒットにつながった。その結果人気にあやかったコピーゲームが濫造されることとなり、1973年に日本で発売された『ポントロン』(セガ)と『エレポン』(タイトー)もその1つである。 1976年に北米で発売の『ブロッケード』(グレムリン・インダストリー)は初期のアクションゲームの1つである。ポンに類似した「パドルとボール」のゲームが氾濫していた中、動き続ける自機を操作して生き残りを競うこのゲームのヒットはアクションゲームに進化の先鞭を付け、以降着実に多様性を増していくこととなる。1979年に日本で発売された『ボムビー』(ナムコ)は、ブロックくずしとピンボールの組み合わせにカラー表示という当時は珍しい機能を搭載し、そのノウハウは翌1980年発売の『パックマン』に活かされている。 成長期(1980年 - 1985年)1980年にアーケードで発売の『パックマン』(ナムコ)は、画面内のドットを食べつつモンスターとの駆け引きも楽しめるゲーム性が人気を博し、業務用ゲームとしては異例の世界で28万台(正規品のみ)を出荷するギネス記録となった。日本でのブームは比較的早く終了したものの、北米では長く親しまれ3年後の1983年にはナムコ社のパックマン関連のロイヤリティ収入が60億円にものぼった。アニメ版やディスコサウンドでも大健闘し、コンピュータゲームのメディアミックス展開が有効であることを証明した。 1981年に発売された『ドンキーコング』(任天堂)は、ドンキーコングが投げるタルや敵キャラをマリオがジャンプで避けながら進み、さらわれた恋人を救出するゲームである。このゲームは、不良在庫となっていた『レーダースコープ』の在庫処分のため急きょ作られたものであったが、難易度の上下だけでなく異なる複数のステージを盛り込むという努力により当時のユーザーの心をつかんだ。後のドンキーコングシリーズ、マリオシリーズの基礎を築いたゲームでもある。 1983年に発売された『シンドバッドミステリー』(セガ)は、宝探しをテーマに据えることで推理と探索の要素を盛り込みアクションゲームに新風を吹き込んだ。地図上から宝の位置を推測し掘り出していくゲーム性はアクションアドベンチャーゲームの先駆けともいえるものである。また、この年は後に大ヒットとなる家庭用ゲーム機『ファミリーコンピュータ』(任天堂、以下ファミコン)が発売され、アクションゲームはアーケード・家庭用双方の市場で発展を続けていく。 1985年にファミコンで発売された『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)は、横スクロールにジャンプアクション、様々なパワーアップアイテム、豊富なステージと陽気なキャラクター・音楽が広く受け入れられ、最終的に日本で681万本、世界で4024万本の歴史的大ヒットを記録した。このゲームの登場により、着実に進化を続けたアクションゲームは一躍大人気ジャンルとなり、無数の派生ゲームが作られるようになった。 黄金期(1986年 - 1994年)この時代は、2Dアクションに多様な分化が見られた1980年代後半と、2D対戦格闘ゲームのブームに支えられた1990年代前半に分けられる。 『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)の歴史的ヒットにより、アクションゲームはゲームジャンルの頂点に君臨するようになる。その中で多数の派生ジャンルが出現し、この時代は黄金期と言えるほどの繁栄を見た。1990年代に入ると2D対戦格闘ゲームが大ブームとなり、『ストリートファイターII』(1991年・カプコン)や『餓狼伝説 宿命の闘い』(1991年・SNK)を始めとしたタイトルが家庭用・アーケード問わず人気を博した。
停滞期(1995年 - 2000年)1990年代も半ばを過ぎると、2D対戦格闘ゲームのブームは3D対戦格闘ゲームに移ったが、家庭用・アーケードともに操作の複雑化などで初心者離れが発生し人気は下降し始めた。時を同じくして、日本の家庭用市場ではターン制コンピュータRPG、アーケード市場ではメダルゲームや音楽ゲームなどが台頭し本ジャンルを圧迫するようになった。2000年頃になると一連の対戦格闘ゲームのブームは終息し、アーケード市場におけるアクションゲームはマニア層以外からの支持を失った。 この時代は、技術の進化にあわせて3Dアクションゲームが多く作られるようになった。1996年にNINTENDO64で発売された『スーパーマリオ64』(任天堂)は、立体空間でのグラフィックやアクション、視点操作のデファクトスタンダードとなり、本作の大ヒットが2Dアクションから3Dアクションへの大きな流れとなった。ファミコン時代以来分化してきた2Dアクションは3Dゲームブームの波で激減し、アクションゲームは大きな転換点を迎えた。
転換期(2001年 - 2005年)21世紀に入ると、アーケード市場においてアクションゲームはあまり製作されなくなり、家庭用市場が発展の主軸となった。 ブームが終息した対戦格闘ゲームの製作数は大幅に減少したが、その穴を埋めるように3Dアクションゲームが人気を博すようになった。2001年にPlayStation 2で発売された『真・三國無双2』(コーエー)や『鬼武者』(カプコン)、2002年にPlayStation 2で発売された『キングダム ハーツ』(スクウェア)などがその最たる例である。世界では『グランド・セフト・オート』(Rockstar Games)に代表されるクライムアクションゲームがブームとなった。 一方で、2004年にはゲームボーイアドバンス向けに『ファミコンミニ』シリーズが発売され、すっかり下火になっていた2Dアクションの人気を後に再燃させる一因になった。2005年にPlayStation Portableで発売された『モンスターハンター ポータブル』(カプコン)は、雄大な世界観をバックに友達と協力し、大型モンスターを狩る楽しさが口コミで徐々に広まった。後にハンティングアクションという新しいジャンルを確立することになる。
中興期(2006年 - 2012年)この時代は、日本ではハンティングアクションが大きなムーブメントとなり、各々が携帯ゲーム機を持ち寄って狩りに出かけるスタイルが定着した。一方世界では引き続きクライムアクションが人気を維持した。2010年代に入るとスマートフォンゲーム市場の拡大が顕著となったが、移り変わりの激しい同市場にとってもアクションゲームは大きな存在であった。スマートフォンゲームの拡大を追い風に2Dアクションの人気も復活し、手軽で簡単な操作が再評価された。
現在(2013年 - )ここ3年ほどの日本におけるアクションゲームは、家庭用市場ではプラットフォーマー(マリオ系)とハンティングアクションのブームが継続し、市場シェア1位を堅持している。スマートフォンゲーム市場では、2012年頃まで多数のヒット作が出現し市場をけん引してきた[5]。しかしソフトの移り変わりの早さや、家庭用市場の大手2社が未参入・苦戦していること、ロールプレイングゲームが大ブームとなっている影響から、2014年の市場シェアはダウンロード数1位、金額ベース2位となっている[6]。 主なアクションゲーム主要シリーズ2Dアクション
探索型アクション
3Dアクション
無双系アクション
スラッシュアクション
ハンティングアクション
ソウルライク
アクションシューティング
その他
脚注
参考文献
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