NHK杯全国高校放送コンテスト
NHK杯全国高校放送コンテスト(エヌエイチケイはいぜんこくこうこうほうそうコンテスト)は、全国放送教育研究会連盟と日本放送協会が主催する高等学校の生徒を対象とした放送のコンテスト。大きく分けて、アナウンス・朗読・テレビ番組・ラジオ番組の各部門で審査が行われる。また、審査はないが校内放送研究発表会として、研究発表が行われる(かつては研究発表部門として審査を行っていたが、現在は発表のみですべての学校に研究奨励が贈られる)。通称はNコン。 1954年に第一回大会が行われ、2022年で69回を数える。地方大会で上位に入賞した個人・団体が東京のNHKホールと国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれる全国大会で技を競い合う。 なお、1981年から1983年(第9回記念大会)まで行われた中学招待部門を踏まえ、1984年よりNHK杯全国中学校放送コンテストが開かれている。 2020年の第67回大会はオリンピック・パラリンピックにより東京での開催が難しいため、神戸・甲南大学で開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、全国大会・都道府県大会ともに中止が決まった[1]。ただし、テレビ番組『ティーンズビデオ2020』と『ティーンズラジオ2020』は「今年は#放送部チャレンジ!」という特別企画という形で年末に放送された。 概要高校生に対する放送教育の一環として、NHKと日本放送教育協会が主体となって行っている放送コンテストである。個人での出場はできず、必ず学校を通して出場しなければならないため、ほとんどの出場生徒は高校で放送部や放送委員会に属している。 大会側は出場側に対し「高校生らしさ」を求めており、評価の際にも「プロでは作れない高校生の視点」を重視している。 尚、この大会の全国大会アナウンス・朗読各部門で上位入賞すると、春の甲子園の司会・進行役を依頼される。また、3年生の場合、次の年のNコン全国大会決勝の司会やインタビュアーを依頼されることもある。また、夏の甲子園でも、主に兵庫県大会の入賞者を中心として、近畿地区の各府県コンクールのアナウンス・朗読部門入賞者が携わっている。 コンテスト概要コンテストは、アナウンス部門・朗読部門・ラジオドキュメント部門・テレビドキュメント部門・創作ラジオドラマ部門・創作テレビドラマ部門・校内放送研究発表会の全7部門で行われる。校内放送研究発表会を除く6部門は、3日間に渡って行われ、1日目に準々決勝、2日目に準決勝、そして3日目に決勝が行われる。校内放送研究発表会は2日目に行われる。 都府県地区大会毎年5月から6月にかけて行われる。上位入賞者・入賞作品が各都道府県の代表として推薦される。推薦枠はアナウンス・朗読部門で各6人、ラジオドキュメント・テレビドキュメント部門で各4作品、創作ラジオドラマ・創作テレビドラマ部門で各2作品と決まっている(但し出場者・出場作品が少ない場合は、推薦枠より多い数が出場しても全国大会に推薦されないこともある)。また参加者の多い都府県では、一つの部門に500~600人が集中することもある。そのため、地区大会や予選が開催されている都道府県もある。参加校が100校を超えた都道府県は全国大会への推薦枠が1.5倍、150校を超えると2倍となる。ここ数年でこの処置が行われているのは2倍枠が適用されている北海道(但し、150校を超えずとも2倍枠が適用されることもある)と1.5倍枠が適用されている兵庫県である。しかし、10校程度しか参加していない県もあるため、全国大会に推薦される難易度の地区間の差は依然として大きいものがある。 この大会の審査員は、地方局に所属するNHKアナウンサーや職員とNHKのOB、放送教育に携わる教員が務める。また、京都府大会では毎年NHK全国大学放送コンテスト実行委員会に所属する大学生もこれに加わる。 全国大会地区大会を勝ち抜いた個人・団体が、準々決勝、準決勝はオリンピックセンターで、決勝は東京・渋谷のNHKホールで発表を行い、優勝・準優勝・優秀・優良・入選・制作奨励の各賞を決定する。審査の模様や優秀作品は、NHKの教育テレビやラジオ第2放送などで後日放送される。なお、ラジオ部門のコンテストの放送は2012年以後、ラジオ第2の学校放送の規模大幅縮小に伴い、FMに放送チャンネルを変更している この大会の審査員は、準決勝まではNHK放送センターのアナウンサーや職員と放送教育に携わる教員が行う。決勝では、NHKのアナウンサー2名に加え、放送作家・小説家などが審査員を務める。 コンテスト部門概要アナウンス部門自校のニュースや解説など校内放送に使用する原稿を自作し、1分10秒~1分30秒で発表する。決勝及び準決勝では、これに加えて決勝課題を読むことを課される。例年の準決勝課題は、短いニュース文やお知らせ文、決勝課題は、ラジオドキュメント部門の紹介文を100字に要約して発表する課題である。 朗読部門指定された5作品の中から1作品を選び、1分30秒以上2分以内で朗読する。決勝及び準決勝では、他に指定された作品を朗読する課題が課される。 ドキュメント部門その名の通り、ドキュメントを制作する。作品のジャンルに関する明確な規定が無いため、偽りの無い範囲であればどのような作品でも良い。テレビドキュメント部門は7分30秒以上8分以内、ラジオドキュメント部門は6分30秒以上7分以内で発表する。 創作ドラマ部門その名の通り、ドラマ作品を制作する部門。但し、脚本は生徒のオリジナルのものとし、出演者は自校の生徒に限る。創作ラジオドラマ部門・創作テレビドラマ部門とも8分以内で発表する. 創作テレビドラマ部門では、近年の編集技術の向上や映像機器の多様化により、特撮やドローンによる撮影なども容易になっている。また、作品の制作にあたってアスペクト比が従来の4:3と16:9のいずれか選択になっていたものが、2017年度の64回大会からは16:9に統一された。 校内放送研究発表会以前行われていた校内放送研究発表部門を、発表会に改めて継続しているもの。優勝・準優勝などの賞はないが、多くの研究が発表される(全国大会で発表した案件に対しては、その全てに研究奨励賞が出る)。県大会・地区大会では賞を置いているところもある。かつては校内放送に関する研究に限らなかったので様々なテーマの発表があったが、2002年度以降は校内放送に関する案件のみという条件が追加された。 過去に存在した部門名称変更・統合した小部門
参加校・参加者数2005年度第52回大会の参加校は1,563校、参加人数は14,330人であった。 2008年度第55回大会の参加校は1,526校(うち全国大会出場校は524校)、参加人数は13,642人であり、部門ごとでみると、アナウンス3,263人、朗読5,020人が出場した。また、最多参加校・最多参加人数は北海道の145校・1,381人であり、逆に最小参加校は滋賀県の13校で、最小参加人数は群馬県の69人であった(このことからも前述した地域間でのレベルの差を垣間見ることができる)。 強豪校・強豪地区全国大会では、準々決勝からはじまる。準々決勝から準決勝へは数多くの学校が進出できるため、ここでは決勝進出について取り上げる。 放送の大会では顧問のノウハウや能力の蓄積、さらには所有機材の質や量によるものが大きいこともあり、特に私立の強豪校が多いことが特徴である。そのため一度実力をつけた学校は、高校という毎年部員が変わっていく環境であっても、一定以上の成績は残せることが多い。 有名な私立高校の強豪校では、7年連続優勝という偉業を成し遂げた日本大学三島や、高校野球でも有名な松商学園などがある。 また、公立高校は顧問の転勤などにより時代によって強豪校は激しく変動する。近年では、二部門制覇などを達成した小野高校、アナウンス部門などでの決勝進出者を輩出している、鹿児島純心女子高等学校などがあげられる。 地区ごとに見た場合、強豪地区はやはり競争率の高い都道府県の場合が多い。最近の強豪地区では、52回大会で3部門の優勝を成し遂げた北海道、100校以上の参加がある兵庫県、強豪校も多く存在する長野県などがある。また、部門によって強い地区などもあり、個人部門(アナウンス部門・朗読部門)での九州勢やテレビドラマでの青森県、ラジオドキュメント部門においての広島県や島根県と言った中国地方などが例に挙げられる。 古豪校前章でも述べたように、私立高校の強豪校は一定の成績を残し続けることが多い。しかし、年とともに少なからず衰退が見られる。近年では過去ドラマ部門で数回全国入賞を果たした東京都・錦城高校があげられる。かつて常連であった決勝大会への進出は見られなくなったが、2023年の第70回大会では創作テレビドラマ部門にて「ENCOUNTER」で久々の決勝進出を果たし、準優勝に輝いた[2]。 公立高校では、顧問の異動により劇的に変化する。近年、決勝大会から姿を消した高校として、福井県・羽水高校、北海道・小樽潮陵高校などがあげられる。尚、兵庫県・東播磨高校は顧問の転勤により2015年第62回大会では多くの部門で全国大会へ出場している。 朗読指定作品平成24年 (第59回) の朗読指定作品
平成25年 (第60回) の朗読指定作品
平成26年 (第61回) の朗読指定作品
平成27年 (第62回) の朗読指定作品
平成28年 (第63回) の朗読指定作品
平成29年 (第64回) の朗読指定作品
平成30年 (第65回) の朗読指定作品
2019年 (第66回) の朗読指定作品
2020年 (第67回)、2021年 (第68回) [3]の朗読指定作品
2022年(第69回)の朗読指定作品
高校時代に全国大会で入賞した著名人
参考:“過去の入賞者”. 放送教育ネットワーク. 全国放送教育研究会連盟. 2024年5月1日閲覧。
※氏名は受賞当時の名義。 アナウンサー
声優マスコミその他テレビ・ラジオ放送当該コンテストでは、 決勝に進出した優秀作品をNHKのテレビ番組やラジオ番組にて紹介している。 テレビでは、1984年度よりNHK総合にて『青春フォーカスイン』などのタイトルで放送していた(1987年度から1994年度までは毎年10月10日《体育の日》に放送)。 その後、1995年度からは『ティーンズビデオ』として、NHK教育→NHK Eテレの夏のテレビクラブにて放送された。2007年度までは主に11時台(2004年度を除く)に放送されたが、2008年度以降は学校放送が9時から11時までの放送[4]に短縮されたことに伴い、夏のテレビクラブでの放送時間は2019年度まで主に9時台での放送となった。 2020年度を最後にテレビクラブでの放送は終了し、2021年度以降は毎年秋の週末午後に放送されるようになった。なお、1995年度から1999年度までは毎年10月10日の深夜に『ティーンズウェーブ』がNHK総合で放送されており、当該コンテストの関連番組がNHK総合とNHK教育の双方で放送される形になっていた。 ラジオでは、2004年度より『ティーンズラジオ』として、NHKラジオ第2の夏のラジオクラブにて放送された。なお、夏のラジオクラブでの放送は2010年度を最後に終了し、2011年度以降は単独番組として放送されている。 その後、2012年度から2020年度まではNHK-FMにて放送された後、2021年度以降はNHKラジオ第1で毎年秋に放送されている。
脚注
外部リンク |