ONE LIFE,ONE DEATH
『ONE LIFE, ONE DEATH』(ワン・ライフ、ワン・デス)は、日本のロックバンドであるBUCK-TICKの11枚目のオリジナルアルバム[注釈 1]。 2000年9月20日にBMGファンハウスよりリリースされた。マーキュリー・ミュージック・エンタテインメントからの移籍第一弾として前作『SEXY STREAM LINER』(1997年)よりおよそ3年ぶりにリリースされた作品であり、作詞は櫻井敦司および今井寿が担当、作曲は今井および星野英彦が担当、BUCK-TICKによるセルフ・プロデュースとなっている。 マーキュリーよりリリースされたシングル「BRAN-NEW LOVER」(1999年)および「ミウ」(1999年)の流れをくんだエレクトロニックかつポップな楽曲と、ノイジーでアヴァンギャルドな音楽性となっている。また、前作におけるデジタルサウンドの要素を導入しつつも「歌」に重点を置いたメロディアスが楽曲によって構成されている。 先行シングルとして「GLAMOROUS」がリリースされている。本作はオリコンチャートにおいて最高位11位となった。 背景前作『SEXY STREAM LINER』(1997年)リリース後、BUCK-TICKは「SEXTREAM LINER零型 (type0)」と題した単独コンサートを同年12月26日および12月27日の2日間に亘り日本武道館にて実施[1]。その後「TOUR SEXTREAM LINER」と題したアルバムを受けたコンサートツアーを1998年2月4日の川口総合文化センターリリア メインホール公演から5月8日および5月9日の日本武道館2日間連続公演まで、29都市全33公演を実施した[1]。ツアーファイナルとなった日本武道館公演の模様は後にライブ・アルバム『SWEET STRANGE LIVE DISC』(1998年)およびライブ・ビデオ『SWEET STRANGE LIVE FILM』(1998年)として同日にリリースされた[1]。 同年3月11日には『SEXY STREAM LINER』からのリカットとなるシングル「囁き」およびコンパクト盤『LTD』を、クラブシーンへのアプローチを企図してリリース[1]。5月13日にはシングル「月世界」をリリース[1]、同曲はテレビ東京系テレビアニメ『Night Walker -真夜中の探偵-』(1998年)の主題歌として使用され、BUCK-TICKとしては初のアニメ作品とのタイアップとなった。8月12日には「TOUR SEXTREAM LINER」における日本武道館公演の模様を収録したライブ・アルバム『SWEET STRANGE LIVE DISC』およびライブ・ビデオ『SWEET STRANGE LIVE FILM』を同日にリリース[1]。 1999年に入り、3月20日にはビクターエンタテインメント在籍時の楽曲を収録した2枚組ベスト・アルバム『BT (BEST TRACKS)』をリリース、7月14日には16枚目のシングル「BRAN-NEW LOVER」がリリースされた[1]。8月8日にはマリリン・マンソン主催の野外フェスティバル「BEAUTIFUL MONSTERS TOUR 1999」に参加、8月19日には「NO TITLE」と題した単独ライブを赤坂BLITZにて実施[1]。その他にも「Energy Void TOUR」と題したコンサートツアーを8月23日のZepp TOKYO公演から8月31日のZepp FUKUOKA公演まで、4都市全4公演が実施された[1]。10月20日には17枚目のシングル「ミウ」、11月26日にはミュージック・ビデオ集『DREAM BOX』、翌2000年3月29日にはコンピレーション・アルバム『97BT99』をリリース[2]。その後BUCK-TICKはマーキュリー・ミュージック・エンタテインメントからBMGファンハウスへの移籍を発表、9月6日には移籍第一弾となるシングル「GLAMOROUS」をリリースした[3]。 録音、制作、音楽性自分で言うのも何ですけど、好みの1枚ですね。以前ほど機械と対等というよりは、もっと肉感的な感じ。肌で感じる、そういうのは凄くあると思いますね。音でも声でも。例えば、蒸し暑さだったりとか、冷房っていうより<ドライ>な感じとか。
音楽と人 2000年9月号[4] 本作に関する曲作りは2000年3月頃より開始された[5]。櫻井敦司によれば、自ら立ち上げた所属事務所のことやレコード会社の移籍など音楽制作以外の部分で時間を要することが多々あり、曲制作に取り掛かるのが遅くなったと述べている[5]。前年には「BRAN-NEW LOVER」や「ミウ」などマキシシングルがリリースされたが、BUCK-TICKは元々アルバム制作を基本としていたため、アルバム制作を想定せずシングルのみをリリースすることに慣れておらず、方向性が定まらなかったと櫻井は述べている[5]。また、シングルでは様々な世界を曲ごとに表現するにあたり物足りなかったとも述べている[4]。その他、前作『SEXY STREAM LINER』では打ち込みやループなどの機械的なサウンドがメインとなっていたが、櫻井は「泥臭い自分の歌詞と、機械の感じが、上手く自分の中で消化しきれてなかったんで。だから今回はメロディですね」と述べ前作との違いを明確にしている[4]。 今井寿は前作において、人間と機械が融合するイメージでデジタルサウンドの構築を図っていたが、本作においては同じような手段を用いながらも省略できる部分は省略したことが大きく異なる部分であると述べている[6]。本作において最初に制作された曲は「GLAMOROUS」であり、すんなり制作出来たことから「やっぱりこれはこれで気持ちいいんだよな」との感覚を覚えたところから本作の制作が開始されたと述べている[6]。また、本作では「歌」ありきでリズムに乗せて歌を歌いそこにギターノイズを付加していく方向に変化しているとも述べており、インタビュアーからバンド開始当時の視点に戻っているのではないかと問われた今井はそれを肯定している[6]。その他、今井は本作から作曲においてコンピュータを使用するようになったと述べており、本作制作時はデジタルロック的なものを意識していた上に様々な音を使用できるようになったことから、実験的な要素を追い求めるあまりかなりの期間籠って制作を行っていたと述べている[7]。さらに、思い描いた通りの音が出せずに四苦八苦したとも述べている[7]。 アルバムタイトルの由来は4曲目「細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」の歌詞の一節「一度生まれて 一度死ぬ」を英語表記にしたものである。 リリース2000年9月20日にBMGファンハウスからCDにてリリースされた。初回限定盤は写真集ブックレット付のボックス仕様となっていた。 2017年11月7日にはデビュー30周年を記念し、本作から17枚目のアルバム『RAZZLE DAZZLE』(2010年)までのアリオラジャパン在籍時代の9作品が全曲リマスターおよびブルースペックCD2として紙ジャケット仕様で再リリースされた[8][9]。 ツアー本作を受けたコンサートツアーは「PHANTOM TOUR」と題して2000年9月21日の市川市文化会館公演から10月11日の広島アステール公演まで8都市全8公演を実施、また追加公演として「OTHER PHANTOM TOUR」と題したコンサートツアーを10月15日のZepp SENDAI公演から11月3日の赤坂BLITZ公演まで7都市全7公演を実施した[3]。10月21日にはファンクラブ限定ライブ「FISH TANKer's ONLY」を渋谷公会堂にて実施、さらに本作のタイトルを冠したコンサートツアー「TOUR ONE LIFE, ONE DEATH」を12月13日の大阪厚生年金会館大ホール公演から12月29日の日本武道館公演まで3都市全3公演を実施した[3]。ツアーファイナルとなった日本武道館公演の模様は後にライブ・アルバムおよびライブ・ビデオ『ONE LIFE, ONE DEATH CUT UP』(2001年)として同日にリリースされた[3]。 批評
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、BUCK-TICKが結成以来「常に進化を遂げてきた比類なきロック・バンド」であると指摘した上で、本作は「じっくりと熟成された傑作となった」と肯定的に評価した[10]。書籍『BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 史上最強のROCK BAND』では、前作におけるデジタルサウンドへの傾倒を取り入れつつもあくまで「歌」を主体としたメロディアスな楽曲によって構成されていると指摘した上で、「彼らの持つ耽美性とアバンギャルドな部分が強く打ち出されている」と肯定的に評価した[11]。書籍『B-T DATA BUCK-TICK 25th Anniversary Edition』では、ハウスビートを取り入れた「Baby, I want you.」や「GLAMOROUS」などをライブ向けの楽曲であると指摘、また今井が制作した「細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」や「RHAPSODY」などの楽曲の「突き抜け方がすごい」と称賛したほか、「女神」が星野による哀愁のメロディと櫻井による歌詞の深みが合体した名曲であると主張、さらに「FLAME」が一度きりしかない人生を花の運命に例えた歌詞であることからアルバムタイトルに通じているとも主張した[12]。 チャート成績本作はオリコンチャートにて最高位11位で登場回数は4回となり、売り上げ枚数は4.6万枚となった。この売り上げ枚数はBUCK-TICKのアルバム売上ランキングにおいて14位となっている[13]。2022年に実施されたねとらぼ調査隊によるBUCK-TICKのアルバム人気ランキングでは15位となった[14]。 収録曲一覧全編曲: BUCK-TICK。
曲解説
スタッフ・クレジットBUCK-TICK参加ミュージシャンスタッフ
リリース履歴
脚注注釈
出典
参考文献
外部リンク |