POWER5
POWER5(パワーファイブ)は、IBMが設計・製造したPower Architectureベースの64ビットマイクロプロセッサである。POWER5+(パワーファイブプラス)はその改良版である。2004年にリリースされ、2007年に後継のPOWER6に置き換えられた。 概要POWER5は、成功したPOWER4の改良版で、主な改良は同時マルチスレッディング(2-Way SMT)と、ダイ上のメモリコントローラである。POWER5はデュアルコアのマイクロプロセッサで、それぞれのコアが1つの物理的なスレッドと、2つの論理的なスレッドをサポートし、合計では2つの物理的なスレッドと4つの論理的なスレッドをサポートした。 仕様
歴史このマイクロプロセッサの技術的な詳細は、2003年のHot Chipsカンファレンスで最初に発表された。より完全な仕様は2003年10月14日の Microprocessor Forum 2003 で提供された。POWER5はオープンに販売されたのではなく、IBMとそのパートナーによって専ら使用された。POWER5を使用したシステムは2004年に発表された。 POWER5はハイエンドのエンタープライズサーバー市場で競い、主なライバルはインテルのItanium 2や、更にはサンのUltraSPARC IVや富士通のSPARC64 Vであった。 POWER5+POWER5+ は、POWER5を改良した置き換え版で、2005年10月4日に発表された。当初の改良は新しい製造プロセスによる低消費電力で、クロックは変わらず 1.5~1.9GHzだった。2006年2月14日に、2.2GHz クロックまで可能な新バージョンが登場した。POWER5+は前身のPOWER5マイクロプロセッサと同じパッケージを使用できるようにパッケージされたが、更にクアッドチップモジュール(QCM)が可能となり、2つのPOWER5+ダイと、それぞれのPOWER5+ダイごとに2つのL3キャッシュダイが搭載できた。 詳細POWER5はPOWER4の改良版である。2ウェイのマルチスレッディングの追加は、それぞれのスレッドが使用できるように、リターンスタックやプログラムカウンター、命令バッファ、グループコンプリーションユニット、キューの格納などの重複を要求した。レジスタファイルや実行ユニットなど大半は共有されたが、しかしそれぞれのスレッドは専用のレジスタのセットを使用した。POWER5は同時マルチスレッディング(SMT)を、2つのスレッドが同時に実行できるように実装した。またPOWER5は現在のワークロードを最適化するためにSMTを停止することもできた。 POWER5は、389 mm2のサイズに2.76億個のトランジスタを搭載した。これはIBMの 0.13 µm SOI CMOSプロセスと、8層の銅配線が使用された。POWER5のダイは、デュアルチップモジュール(DCM)またはマルチチップモジュール(MCM)にパッケージされた。DCMは1つのPOWER5ダイと、そのL3キャッシュダイを搭載した。MCMは4つのPOWER5ダイと、4つのL3キャッシュダイを搭載し、L3キャッシュダイはそれぞれのPOWER5ダイ用で、サイズは 95 mm x 95 mmだった[1][2]。 ハイエンドシステム用のいくつかのPOWER5プロセッサは、IBM ViVA (Virtual Vector Architecture)技術によって、複数のPOWER5コアをグループ化して1つのベクトルプロセッサとして稼働することができた。
用途IBMはデュアルチップモジュール(DCM)やマルチチップモジュール(MCM)のPOWER5マイクロプロセッサを、彼らのSystem pおよびSystem iのサーバーファミリーや、DS8000ストレージシステムや、ハイエンドのInfoPrintプリンターでの組み込み用マイクロプロセッサとして使用した。またDCMのPOWER5はハイエンドのIntelliStation POWER 285ワークステーションでも使われた。 POWER5のサードパーティーユーザーには、Groupe BullによるEscala server、日立製作所によるエンタープライズサーバEP8000シリーズやSR11000コンピュータがある。EP8000は2004年11月にPOWER5、2005年10月にPOWER5+の搭載モデルを発表した[3]。SR11000は最大128のPOWER5+マイクロプロセッサを使用し[4]、いくつかのシステムは2007年のTOP500スーパーコンピュータリストに選ばれた。 IBMはPOWER5+を、彼らのSystem p5 510Q、520Q、550Q、560Q サーバーでも使用した[5]。 参照
出典
関連項目外部リンク
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