あきんどスシロー
株式会社あきんどスシロー(英: AKINDO SUSHIRO CO.,LTD.)は、回転寿司のチェーン店を展開している企業。 概要大阪府吹田市に本社を置き、近畿、中部、関東地方を中心に回転寿司のチェーン店を展開している(店舗数は下記参照)。 「スシロー」と表記したロゴを用いており、CMなどでも「スシロー」と連呼している。その結果、一般の人々は「スシロー」と認識している。 かつては「大阪回転寿司・あきんど」という商標も使っていた。持株会社の株式会社FOOD&LIFE COMPANIES(フードアンドライフカンパニーズ 英: FOOD & LIFE COMPANIES LTD.[6]。2021年に「株式会社スシローグローバルホールディングス」から商号変更した会社)が東京証券取引所プライム市場に上場している。 歴史元々は、清水義雄と弟の豊が、株式会社すし太郎を設立。当時『永谷園』の商品「すし太郎」に酷似しているとの訴えがあり、起訴寸前で「すし郎」へと変更。その後現在の商号「株式会社あきんどスシロー」となっている。 かつて並立していた「あきんど」と「スシロー」の店舗名の違いはその名残で、商品や店舗コンセプトなどに大きな違いはなかった。 「あきんど」での展開は近畿、中部のみであった。1990年代中頃には、主に兵庫地区では「スシロー」、大阪市以北(豊中・吹田周辺)では「すし太郎」、大阪市以南では「あきんど」の店舗名が存在していた。 あきんどスシローへ統合後「すし太郎」の店舗は、2009年6月上旬までに全店舗「スシロー」に統一され、「あきんど」の名前も消滅し、社名に残される形となった。 清水兄弟の間で経営をめぐり、一種の内乱・紛争が起き2007年3月に、清水豊ら主要株主3名が所有する株式を株式会社ゼンショー[注釈 1]に売却したことで、ゼンショーが株式27.22%を保有する筆頭株主となった。清水豊らが選んだ方法に対抗する形で、矢三圭史社長(当時)や非常勤取締役(当時)に退いていた清水義雄氏や後に3代目の社長となる豊崎賢一取締役営業部長(当時)ら経営陣はいわゆる「ホワイトナイト」(友好的な買収・合併を行う会社)を選定し[7]、2007年(平成19年)8月27日に、ユニゾン・キャピタル・グループと株式会社極洋の3社で戦略的業務・資本提携を締結。ユニゾン・キャピタル・グループが設立する2つのファンド(アトランティック・フィッシャリーズ・エルピーとパシフィック・フィッシャリーズ・エルピー)に対して、第三者割当増資を実施し、前者が9.78%、後者が7.50%の株主となる。 2008年9月24日に、アトランティック・フィッシャリーズ・エルピーが56.5%、パシフィック・フィッシャリーズ・エルピーが43.5%を出資して設立したエーエスホールディングス株式会社による株式公開買い付け(TOB、実質MBO)の実施を発表。 公開買い付け実施後、2009年5月31日に、エーエスホールディングス株式会社が株式会社あきんどスシローを吸収合併したうえで、株式会社あきんどスシローに商号変更した。筆頭株主(25.77%)だったゼンショーは、事前の合意に基づいて、吸収合併の際に金銭交付を受けることで株主の地位を失った。 長らくかっぱ寿司が回転寿司業界における年間売上の首位を独占していたが、徐々に売り上げを伸ばしたスシローが2010年度に初の首位を達成した[8]。それを記念し、記念感謝セールを開催した。 2012年9月、81%の株を保有していたユニゾン・キャピタルは、全株式をイギリスの投資ファンドのペルミラ・アドバイザーズ系列のConsumer Equity Investments Limitedの傘下会社に売却し、あきんどスシローはこの時点ではイギリス系の会社となった。 2015年頃に全店でプッシュ式醤油さしを導入した際に醤油用の小皿(醤油皿)の撤去を行っており、その後他の回転ずしチェーンも同様の動きに追随するところが出ている。 2017年3月、持株会社の株式会社スシローグローバルホールディングスが東京証券取引所第一部に上場。同年9月には、株式会社神明、元気寿司株式会社と資本業務提携契約を締結した。スシローと元気寿司の経営統合に関する協議開始を前提に、Consumer Equity Investments Limitedが保有している全株式を神明が段階的に取得する[広報 2]。 2018年頃より「まぐろ祭」や、通常よりネタを大きくした「てんこ盛り祭」など期間限定の積極的な販促キャンペーンを展開。さらにテレビなどのメディア出演を拡大することで既存店の高い成長率(2019年9月期第2四半期累計で売上収益14%増、営業利益で33%増)を確保、2019年上期既存店客数を前年同期比4.5%増とするなど同業他社を引き離した[9]。 2019年6月18日、スシローグローバルホールディングス、神明ホールディングス、元気寿司は経営統合計画について「両社の国内市場における将来的なブランド戦略の違い、海外市場、特にアジア地域における店舗展開方式の違いなどが明確になった」として、経営統合計画の中止と資本・業務提携の解消を発表した[広報 3]。 2020年11月、COVID-19流行の影響により拡大するテイクアウト需要に対応するため、テイクアウト専門店を出店し、デリバリーサービスを強化する方針を発表した[10]。 2021年4月1日、株式会社スシローグローバルホールディングスが株式会社FOOD&LIFE COMPANIESに商号変更するとともに、吉野家ホールディングス傘下にある京樽を同日付で買収し、完全子会社化した[11]。 沿革
関連会社
店舗展開→店舗リストは、外部リンクにある公式サイトの店舗検索を参照
公式サイトによると、2023年4月時点で日本国内で642店舗が営業している[21]。 2017年9月時点で島根県に出店したことで「全都道府県への出店」を達成した。南の地 沖縄では8店舗ほど(2022年時点)営業しており、 北の地 北海道では、最北は旭川市、最東は釧路市まで進出している。[22](オホーツク地域には未出店) 日本国外では2023年11月時点で大韓民国、台湾、香港、シンガポール、インドネシア、タイ、中国(本土)に展開している[23]。 なおスシローブランドでの店舗以外にも、2015年1月に東京都内3拠点(中目黒、赤坂見附、新橋)で展開された都市型店舗「ツマミグイ」[24] や高級寿司店「七海の幸」[注釈 2][25] といった別ブランドの店舗があったが、2016年8月までにすべて閉店した[26]。 ギャラリー
販売推進オリジナルキャラクター「だっこずし」2015年7月に誕生したスシローオリジナルのマスコットキャラクター。寿司のネタを抱きかかえている動物たちのキャラクターで、「基本寝そべって、大好きなネタを体で味わっている」という設定[広報 14]。公式ホームページやSNSに登場しており、2016年2月には期間限定でLINEスタンプが無料配信された[広報 15]。 CM出演者
不祥事・騒動日本景品表示法違反(おとり広告)2021年9~10月、テレビCMや自社のホームページで「新物!濃厚うに包み」と「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り」をキャンペーン商品として宣伝した。しかし期間中の数日間、9割を超える店舗で品切れなどが相次ぎ、対象のすしを提供できなかったにもかかわらず広告を打ち切らなかった。同年11~12月に実施されたキャンペーン商品の「冬の味覚!豪華かにづくし」においても同様の事態が起こった。2022年6月9日、販売できない店舗があるのにテレビCMなどでの宣伝を続けた事は景品表示法違反(おとり広告)に当たるとして、消費者庁からあきんどスシローに再発防止を求める措置命令が出され、同日に謝罪した[34][35][36][37]。 2022年7月8日、景品表示法違反に対して改めて謝罪すると共に対応策の発表を行った[38] が、数日後には後述の生ビール半額イベントでのトラブルが発生する事となる。 生ビール半額イベントを巡るトラブル2022年7月13日から実施する予定だった生ビール半額イベントの告知物を一部の店舗において開催前であるにもかかわらず、店内に誤掲出しこの告知を見て生ビールを注文した顧客に対して正規の料金を請求していた。この告知物には開始日は明記されておらず、正規の料金を請求されたSNSユーザーから批判の声が出ていた[39][40]。スシローは同月13日にホームページ上にお詫びとお知らせを掲載し、対象となる顧客に対して差額分を返金する処置を講じた[41][42]。その後の調査により、全国で49店舗、キャンペーン前日の20時から翌日の準備として掲示した店舗を含めると101店舗にて誤掲示していたとしている[43]。スシローの2021年12月31日時点での店舗数が626店舗[44] であることから、約1/6の"一部"の店舗で誤掲出されていた事となる。 このイベントの開始後も、半額対象となるビールが売り切れである旨を伝えられた、それに対するアナウンスが席についてタッチパネルで確認するまで無かった、注文はできたがジョッキが小さかった(ただし運営元からは後に「内容量に差異はない」との声明があった。)などと言ったトラブルの報告もSNSを中心に寄せられている。中には開店直後にもかかわらず、売り切れの旨の貼り紙が貼られていたとする投稿もあった。運営元は、コロナ禍前の夏の生ビール需要実績を踏まえ、その2倍近くの量を準備したが想定を上回る注文があったとしているが、これもSNSを中心に、実質は前述のおとり広告問題と同じなのではないかと企業体質を批判する声や、外食チェーン店の事情を考えると想定を越えた場合の対応が難しいのは理解できるとしつつも、既に問題が指摘されているイベントにもかかわらず対応や見通しがあまりにも甘いのではないかと指摘する声が上がっている[45][46][47]。 マグロ偽装疑惑2022年8月31日、デイリー新潮によりマグロ偽装疑惑が報じられた[48]。発端は、「スシローは味が濃厚なメバチマグロのみを使用している」と放送したテレビ番組だった。視聴者の1人が鉄火巻の味が薄いように感じたためスシローに問い合わせたところ、「鉄火巻にはメバチマグロが使用されています」と回答を受けた。だが、専門業者によるDNA調査によって、一部店舗でメバチマグロではなくキハダマグロが使われていたと判明した。後のスシローの調査によると、鉄火巻の7割にキハダマグロが使われていたという。報道を受けスシローは、「鉄火巻にはメバチマグロが使用されている」という問い合わせへの回答は誤りだったとして謝罪した。一方で、発端となったテレビ番組でメバチマグロを使用しているとしたのはあくまで税抜き100円で提供している「まぐろ」 (通常の握り寿司) だけであったと反論を行った。 しかし2022年10月3日、前述のメバチマグロを使用していると宣伝していた「まぐろ」にキハダマグロを代用していたと報じられた[49][50][51]。10月1日からのキャンペーン[注釈 5] 用に仕入れたキハダマグロをキャンペーン開始より前の9月28日から29日にかけてメバチマグロが在庫切れした際の代用、あるいは誤って使用したという。生ビール半額イベントと同様に謝罪し、対象となる顧客には返金するとしている。 男性客による迷惑行為2023年1月29日、岐阜市のスシロー岐阜正木店内で、若い男性客が様々な迷惑行為を行い、その様子を撮影した動画がSNS上で拡散された。男性客は、客席に置かれた醤油差しを舐めたり、セルフサービスの置き場にあった未使用の湯呑みを舐めて再び元に戻したりしていた。 →詳細は「スシロー迷惑動画事件」を参照
労働基準監督署による是正勧告2024年1月11日に、同社ヤエチカ店(東京都中央区)に勤務する男性アルバイト店員に対し、5分未満の労働時間を切り捨てて賃金を支払ってこなかったとして、2023年12月25日付で中央労働基準監督署から是正勧告を受けたことが、一部新聞によって報じられた。この店員は、所属する労働組合「首都圏青年ユニオン」を通じての団体交渉などで同社に是正を求めたが折り合わず、2023年7月に、2020年4月から2022年8月までの未払い分について労基署に申告していた[52]。 海外台湾・「鮭」改名騒動2021年3月、台湾ではスシローのプロモーションが原因で、本名を鮭に改名する市民が相次ぐ騒動が起きた[53]。 →詳細は「鮭の乱」を参照
中国・言語差別騒動2022年8月、中国広東省広州市の店舗では、従業員に対し勤務中の広東語(粤語)使用を禁ずる旨のWeChat店内グループチャットのスクリーンショットがネット上に流出し、市民からは「言語差別ではないか?」などの批判が寄せられた。店舗側は「従業員と客の広東語での会話は禁じておらず、単に従業員同士で普通話の使用を奨励している」と釈明に追われた[54][55][56]。 テレビ番組
脚注注釈
出典
広報資料・プレスリリースなど一次資料
外部リンク
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