イギリスの人口統計人口 67,081,234人[ 1] 人口密度 274人/km2 増減率 0.53%(2021年)出生率 10.2人/人口1,000人 死亡率 10.3人/人口1,000人 平均寿命 81歳(2020年) • 男性 79.04歳 • 女性 82.86歳 合計特殊出生率 1.46人(2022年) 乳児死亡率 1000出生あたり3.82人 純移動率 3.59人 年齢構成 14歳以下 17.63% 15 - 64歳 63.89% 65歳以上 18.48% 男女比(女性1人当たりの男性の人数) 全年齢 0.97人 0歳(出生時) 1.05人 15 - 64歳 1.03人 65歳以上 0.73人 国民 国民 イングランド人 、スコットランド人 、ウェールズ人 、アイルランド人 、パキスタン人 、ルーマニア人 、ポーランド人 、インド人 、その他言語 公用語 英語
イギリスの人口統計 (イギリスのじんこうとうけい、英語 :Demographics of the United Kingdom)では、イギリス の人口 について記述する。イギリスの総人口は、2020年 6月30日 の時点で67,081,234人であった。これは世界21位 にあたる。イギリスの人口は典型的な先進国 にみられる少産少死の状態であり、平均寿命の延伸と少子高齢化 が進行している。ただし20世紀 末期以降は、世界でも有数の移民 流入の多さによって進行は緩和されており、人口は増加を続けている。
また都市化 が進行しており、国民の大半はイングランド とスコットランド 南部の都市部に居住する。
概要
イギリスはイングランド 、ウェールズ 、スコットランド 、北アイルランド の4つの構成国(カントリー)からなる連合王国である。人口の大部分はイングランドに住んでおり、全体の84%以上を占める。イギリスの人口は増加を続けているが、これは出生数が死亡数を上回る自然増に加え、2000年代以降特に増加している移民流入が影響している。民族 としては白人イギリス人が大部分を占めるが割合は年々減少しており、代わって旧植民地 であるインド やパキスタン にルーツを持つアジア系イギリス人[ 注釈 1] や、アフリカ 系イギリス人が増加している。
国内には多数の大都市を有する。都市圏人口が50万人を超えるのは、ロンドン、バーミンガム 、グラスゴー 、ウェストヨークシャー 、ハンプシャー 、シェフィールド 、リヴァプール 、レスター 、マンチェスター 、ベルファスト 、ブリストル 、ニューカッスル・アポン・タイン 、ノッティンガム の13都市である[ 2] 。
マンチェスター 。産業革命 時代に隆盛を誇った工業都市であり、現在もイングランド北部最大の都市である。
グラスゴー 。スコットランド 最大の都市。
歴史
国勢調査以前
ローマ時代のグレートブリテン島 は、2世紀 末に280万人から300万人の推定人口を抱え、4世紀 の終わりには360万人に増加した。首都ロンディニウム (現在のロンドン)の人口は約6万人であったと推定される[ 3] 。
ローマ人 がブリテン島から撤退した後、アングル人 、サクソン人 、ジュート人 などのヨーロッパ大陸 からのゲルマン民族 は、ブリテン島南東部への移住を始めた。それにも関わらず、全体の人口は政治的混乱と疫病のために急激に減少したと考えられている。11世紀 にドゥームズデイ・ブック が編纂された頃には、イングランドには125万人〜200万人が住んでいた可能性がある[ 4] [ 5] [ 6] 。
1086年から1750年の間、イングランドの人口は内戦 、飢饉 、疫病によって大きく変動した[ 7] 。13世紀 の終わりまでに400万人〜600万人に達したのち、1315年から1322年の農業危機と1348年から1350年の黒死病 によって総人口の3分の1を失った。
薔薇戦争 に代表される15世紀 の戦乱の時代は、非常に緩やかな人口増加であったとされる。その後人口増加は加速し、イングランドの人口は1750年に574万人に達した。スコットランドでは、17世紀後半から18世紀初頭にかけてイングランドよりも乳幼児の死亡率が高かったため、人口増加は加速せず、1691年の推計人口123万人からしばらくの間ほぼ横ばいであった。一方、19世紀以前のアイルランドは一貫して急速な人口増加を示している。これはイングランドよりも出生率が高く、結婚が早かったためである。
1800年、国勢調査法が可決され、イギリス史上初の近代国勢調査の実施が認められた。
国勢調査の開始
1801年の最初の国勢調査によると、イギリスの人口は1050万人であった。このうちイングランドの人口は830万人、ウェールズの人口は60万人、スコットランドの人口は160万人であった。アイルランド島 は、450万人〜550万人で安定していたとされる。1801年以降は10年ごとに国勢調査が行われており、アイルランドでは1821年に初めて国勢調査が行われた。
1750年以降のヨーロッパとアイルランドの人口増減を示したグラフ。
19世紀になると、産業革命 がもたらした工業化によって死亡率が大幅に低下し、人口増加が加速した。1841年の国勢調査では、イングランドとウェールズの人口は1590万人、アイルランドでは820万人、スコットランドでは260万人と40年間で倍増した。イングランドの人口は1851年の1680万人から1901年には3050万人に急速に増加し続けた。ウェールズでは、人口は1801年の60万人から1901年には200万人に増加し、スコットランドでは1901年に160万人から450万人に増加した。一方、アイルランドでは1840年代に始まったジャガイモ飢饉 のために100万人が死亡し、さらに100万人をはるかに超える移住を引き起こした。結果、アイルランドの人口は1841年の820万人から1901年には320万人へと急速に減少した。しかし、北アイルランドの人口は20世紀初頭までに飢饉以前の人口に回復した。アイルランドの歴史におけるこの長期にわたる移民と純人口減少は、20世紀半ばにようやく逆転した[ 8] [ 9] 。
第二次世界大戦 ののち、1960年代にはベビーブーム が起こり、出生数は10年以上にわたって90万人を超えた。その後、出生率は急速に低下し、出生数が死亡数をやや上回るのに対して社会増減は若干の流出超過トレンドとなり、イギリスの人口は90年代初頭まで5,600万人前後でほぼ横ばいの状態が続いた。
21世紀
2001年の国勢調査では、イギリスの人口は59,113,000人であった。イングランドは49,497,000人、スコットランドは5,064,200人、ウェールズは2,910,200人、北アイルランドは1,689,300人だった[ 10] 。
20世紀末には移民流入が増加したことで、総人口の増加と民族多様性をもたらした。2001年、イギリス系白人の人口は総人口の88.52%と登録されていたが、2011年までに人口のこの割合は81.88%に減少し、他の民族グループは大幅に増加した。2011年の国勢調査での人口は約6300万人で、過去最多を更新した。
現在の人口
地域ごとの分布
2011年国勢調査による地域ごとの人口密度
構成国ごとの人口(2020年)
構成国
人口[ 11]
割合 (%)
Area (km2 )[ 12]
Of total area (%)
Population density (per km2 )
イングランド
56,550,138
84.3
84.3
130,309
53.7
434
スコットランド
5,466,000
8.2
8.2
77,911
32.1
70
ウェールズ
3,169,586
4.7
4.7
20,736
8.5
153
北アイルランド
1,895,510
2.8
2.8
13,793
5.7
137
イギリス
67,081,234
100
100
242,749
100
274
ロンドン 都市圏の人口は1400万人に達し、経済・文化の両面で多大な影響力を持つ世界都市 である。
ハイランド の風景。人口密度は9.2/km2である。
人口密度の全体的な傾向としては南高北低であり、総人口の3分の1が首都であり最大都市のロンドン とその周辺地域に住んでいる。スコットランド北部(ハイランド )は西ヨーロッパ でも有数の人口希薄地帯である。
人口動態統計
総人口
出生数
死亡数
自然増減数
1,000人あたり出生率
1,000人あたり死亡率
1,000人あたり自然増減率
合計特殊出生率
1900
41,154,600
1,089,487
695,867
393,620
26.5
16.9
9.6
3.53
1901
41,538,200
1,092,781
655,646
437,135
26.3
15.8
10.5
3.49
1902
41,892,700
1,103,483
636,650
466,833
26.3
15.2
11.1
3.44
1903
42,246,600
1,113,086
613,726
499,360
26.3
14.5
11.8
3.40
1904
42,611,400
1,109,542
651,301
458,241
26
15.3
10.8
3.35
1905
42,980,800
1,092,108
617,516
474,592
25.4
14.4
11
3.30
1906
43,361,100
1,098,475
629,955
468,520
25.3
14.5
10.8
3.24
1907
43,737,800
1,077,851
625,271
452,580
24.6
14.3
10.3
3.19
1908
44,123,800
1,102,345
621,427
480,918
25
14.1
10.9
3.14
1909
44,519,500
1,073,781
614,910
458,871
24.1
13.8
10.3
3.07
1910
44,915,900
1,051,240
578,091
473,149
23.4
12.9
10.5
2.99
1911
42,189,800
1,033,395
620,828
412,567
24.5
14.7
9.8
2.92
1912
42.373,600
1,025,828
580,977
444,851
24.2
13.7
10.5
2.90
1913
42,582,300
1,032,286
600,554
431,732
24.2
14.1
10.1
2.93
1914
42,956,900
1,032,734
611,970
420,764
24
14.2
9.8
2.88
1915
41,361,500
956,877
666,322
290,555
23.1
16.1
7
2.59
1916
40,536,300
922,085
599,621
322,464
22.7
14.8
8
2.60
1917
39,780,700
790,736
589,416
201,320
19.9
14.8
5.1
2.10
1918
39,582,000
787,427
715,246
72,181
19.9
18.1
1.8
2.03
1919
42,944,100
826,202
602,188
224,014
19.2
18.1
5.2
2.31
1920
43,646,400
1,126,849
555,326
571,523
19.2
14
13.1
3.08
1921
43,904,100
1,001,725
544,140
457,585
22.8
12.4
10.4
2.69
1922
44,331,500
924,740
579,480
345,260
20.9
13.1
7.8
2.44
1923
44,563,100
900,130
526,858
373,272
20.2
11.8
8.4
2.38
1924
44,885,600
865,329
563,891
301,438
19.3
12.6
6.7
2.28
1925
45,040,000
842,405
558,132
284,273
18.7
12.4
6.3
2.20
1926
45,217,600
825,174
536,411
288,763
18.2
11.9
6.4
2.15
1927
45,432,000
777,520
568,655
208,865
17.1
12.5
4.6
2.01
1928
45,622,200
783,052
543,664
239,388
17.2
11.9
5.2
2.01
1929
45,731,000
761,963
623,231
138,732
16.7
13.6
3
1.95
1930
45,888,900
769,239
536,860
232,379
16.8
11.7
5.1
1.95
1931
46,073,600
749,974
573,908
176,066
16.3
12.5
3.8
1.89
1932
46,335,000
730,079
567,986
162,093
15.8
12.3
3.5
1.83
1933
46,520,000
691,560
579,467
112,093
14.9
12.5
2.4
1.72
1934
46,666,000
711,483
558,072
153,411
15.2
12
3.3
1.76
1935
46,869,500
711,426
561,324
150,102
15.2
12
3.2
1.75
1936
47,081,300
720,129
580,942
139,187
15.3
12.3
3
1.77
1937
47,288,600
723,779
597,798
125,981
15.3
12.6
2.7
1.79
1938
47,494,100
735,573
559,598
175,975
15.5
11.8
3.7
1.84
1939
47,547,700
726,632
581,857
144,775
15.3
12.2
3.0
1.84
1940
46,026,200
701,875
673,253
28,622
15.2
14.6
0.6
1.74
1941
44,870,400
695,726
627,378
68,348
15.5
14.0
1.5
1.72
1942
44,323,000
771,851
562,356
209,495
17.4
12.7
4.7
1.93
1943
48,261,000
810,524
585,582
224,942
16.8
12.1
4.7
2.03
1944
48,261,600
878,298
573,570
303,728
18.2
11.9
6.3
2.25
1945
48,668,900
795,868
567,027
228,841
16.4
11.7
4.7
2.05
1946
48,987,800
955,266
573,361
381,905
19.5
11.7
7.8
2.47
1947
49,538,700
1,025,427
600,728[ 13]
424,699
20.7
12.1
8.6
2.69
1948
50,033,200
905,182
546,002
359,180
18.1
10.9
7.2
2.39
1949
50,331,000
855,298
589,876
265,422
17
11.7
5.3
2.26
1950
50,381,500[ 14]
818,421
590,136
228,285
16.2
11.7
4.5
2.08
1951
50,286,900
796,645
632,786
163,859
15.8
12.6
3.3
2.10
1952
50,429,200
792,917
573,806
219,111
15.7
11.4
4.3
2.15
1953
50,592,900
804,269
577,220
227,049
15.9
11.4
4.5
2.20
1954
50,764,900
794,769
578,400
216,369
15.7
11.4
4.3
2.26
1955
50,946,100
789,315
595,916
193,399
15.5
11.7
3.8
2.33
1956
51,183,500
825,137
597,981
227,156
16.1
11.7
4.4
2.40
1957
51,430,200
851,466
591,200
260,266
16.6
11.5
5.1
2.48
1958
51,652,500
870,497
604,040
266,457
16.9
11.7
5.2
2.55
1959
51,956,300
878,561
606,115
272,446
16.9
11.7
5.2
2.63
1960
52,372,500
918,286
603,328
314,958
17.5
11.5
6.0
2.71
1961
52,807,400
944,365
631,788
312,577
17.9
12.0
5.9
2.78
1962
53,291,800
975,635
636,051
339,584
18.3
11.9
6.4
2.87
1963
53,624,900
990,160
654,288
335,872
18.5
12.2
6.3
2.90
1964
53,990,800
1,014,672
611,130
403,542
18.8
11.3
7.5
2.95
1965
54,349,500
997,275
627,798
369,477
18.3
11.6
6.8
2.88
1966
54,642,700
979,587
643,754
335,833
17.9
11.8
6.1
2.80
1967
54,959,000
961,800
616,710
345,090
17.5
11.2
6.3
2.69
1968
55,213,500
947,231
655,998
291,233
17.2
11.9
5.3
2.61
1969
55,460,600
920,256
659,537
260,719
16.6
11.9
4.7
2.51
1970
55,632,200
903,907
655,385
248,522
16.2
11.8
4.5
2.44
1971
55,928,000
901,648
645,078
256,570
16.1
11.5
4.6
2.40
1972
56,096,000
833,984
673,938
160,046
14.9
12.0
2.9
2.20
1973
56,223,000
779,545
669,692
109,853
13.9
11.9
2.0
2.03
1974
56,235,000
737,138
667,359
69,779
13.1
11.9
1.2
1.92
1975
56,225,000
697,518
662,477
35,041
12.4
11.8
0.6
1.81
1976
56,216,000
675,526
680,799
-5,273
12.0
12.1
−0.1
1.74
1977
56,189,000
657,038
655,143
1,895
11.7
11.7
0.0
1.69
1978
56,178,000
686,952
667,177
19,775
12.2
11.9
0.4
1.75
1979
56,240,000
734,572
675,576
58,996
13.1
12.0
1.0
1.86
1980
56,329,000
753,708
661,519
92,189
13.4
11.7
1.6
1.90
1981
56,357,000
730,712
657,974
72,738
13.0
11.7
1.3
1.82
1982
56,290,000
718,999
662,081
56,918
12.8
11.8
1.0
1.78
1983
56,315,000
721,238
659,101
62,137
12.8
11.7
1.1
1.77
1984
56,409,000
729,401
644,918
84,483
12.9
11.4
1.5
1.77
1985
56,554,000
750,520
670,656
79,864
13.3
11.9
1.4
1.79
1986
56,683,000
754,805
660,735
94,070
13.3
11.7
1.7
1.78
1987
56,804,000
775,405
644,342
131,063
13.7
11.3
2.3
1.81
1988
56,916,000
787,303
649,178
138,125
13.8
11.4
2.4
1.82
1989
57,076,000
777,036
657,733
119,303
13.6
11.5
2.1
1.79
1990
57,237,500
798,364
641,799
156,565
13.9
11.2
2.7
1.83
1991
57,438,700
792,269
646,181
146,088
13.8
11.3
2.5
1.82
1992
57,584,500
780,779
634,238
146,541
13.6
11.0
2.5
1.79
1993
57,713,900
761,526
658,194
103,332
13.2
11.4
1.8
1.76
1994
57,862,100
750,480
626,222
124,258
13.0
10.8
2.1
1.74
1995
58,024,800
731,882
641,712
90,170
12.6
11.1
1.6
1.71
1996
58,164,400
733,163
638,879
94,284
12.6
11.0
1.6
1.73
1997
58,314,200
726,622
632,517
94,105
12.5
10.8
1.6
1.72
1998
58,474,900
716,888
627,592
89,296
12.3
10.7
1.5
1.71
1999
58,684,400
699,976
629,476
70,500
11.9
10.7
1.2
1.68
2000
58,886,100
679,029
610,579
68,450
11.5
10.4
1.2
1.64
2001
59,113,000
669,123
604,393
64,730
11.3
10.2
1.1
1.63
2002
59,365,700
668,777
608,045
60,732
11.3
10.2
1.0
1.63
2003
59,636,700
695,549
612,085
83,464
11.7
10.3
1.4
1.70
2004
59,950,400
715,996
584,791
131,205
11.9
9.8
2.2
1.77
2005
60,413,300
722,549
582,964
139,585
12.0
9.6
2.3
1.76
2006
60,827,100
748,563
572,224
176,339
12.3
9.4
2.9
1.82
2007
61,319,100
772,245
574,687
197,558
12.6
9.4
3.2
1.87
2008
61,823,800
794,383
579,697
214,686
12.8
9.4
3.5
1.96
2009
62,260,500
790,204
559,617
230,587
12.7
9.0
3.7
1.89
2010
62,759,500
807,721
561,666
246,055
12.9
8.9
3.9
1.92
2011
63,285,100
807,776
552,232
255,544
12.8
8.7
4.0
1.91
2012
63,705,000
812,970
569,024
243,946
12.8
8.9
3.8
1.92
2013
64,105,700
778,803
575,458
203,345
12.1
9.0
3.2
1.83
2014
64,596,800
776,352
570,341
206,011
12.0
8.8
3.2
1.82
2015
65,110,000
777,165
602,782
174,383
11.9
9.3
2.7
1.80
2016
65,648,100
774,835
595,659
179,176
11.8
9.1
2.7
1.79
2017
66,040,200
755,066
607,172
147,894
11.4
9.2
2.2
1.74
2018
66,435,600
731,213
616,014
115,199
11.0
9.3
1.7
1.68
2019
66,796,800
712,699
604,707
107,992
10.7
9.1
1.6
1.63
2020
67,081,234
683,181
688,086
−4,905
10.2
10.3
−0.1
1.56[ 15]
2021
693,853
666,491
27,362
10.3
9.9
0.4
1.54
人口密度
イギリスの人口密度は、2020年の時点で274人/km2である。これは人口100万人以上のヨーロッパ 諸国の中ではオランダ 、ベルギー に次いで高い。
イギリスでは21世紀以降、人口過密 が社会問題 化しており、特にイングランド の人口密度は434人/km2と高い。中でも首都ロンドン を中心とする南東部は、水供給能力において世界180地域中161位とされた。また人口増加に伴い、年間20万〜30万の新築が必要とされているが不足がちであり、イギリスのホームレス 人口は数十万人に達する。人口増加の原因が自然増ではなく移民流入によるものであるため、国内で移民への反発が強まっている原因のひとつともなっている。
人口過密は環境にも影響を及ぼしている。イギリスは国土に占める森林 割合が1割強と世界各国の中でも低位であり、元々生態系 に乏しいが、近年の人口増加が相まって「世界で最も自然が枯渇した国」のひとつに数えられた[ 16] [ 17] 。
出生数と死亡数
合計特殊出生率
イギリスの合計特殊出生率は、1970年代以降一貫して人口置換水準(理論上、人口を横ばいで維持できる水準。イギリスのように、新生児の男女比が極端に偏っておらず乳幼児死亡率も低い国の場合は、おおよそ2.06~2.10)を下回っているものの、1.5を割った年は過去一度もなく、先進国としては比較的高出生率である。
出生数は1960年代のベビーブーム以降、年間65万人~80万人程度で安定している。しかし、新生児に占める非移民系の白人イギリス人の割合は年々低下しており、出生数の維持に貢献しているのは移民の子である。2020年、イングランドとウェールズ全体で613,905人の出生があったが、そのうち29.3%にあたる179,881人は英国外にルーツを持つ移民系の母親の子であり、2007年の23%と比較して大きく上昇している。さらに両親のどちらかが移民系である子の割合は34.8%に達する[ 18] 。また合計特殊出生率も、イングランドとウェールズ全体の1.58に対し、非移民系が1.50、移民系が1.98と大きな開きがあり、21世紀以降の移民流入数の増加によってこの傾向は年々顕著になっている。
英国出身以外の母親の出身国の上位は、パキスタン 、ルーマニア 、ポーランド 、インド 、バングラデシュ の順となっている。#移民・人種 の欄も参照。
死亡数
死亡数は20世紀以降、55万人〜70万人程度で安定している。前年比1割以上の死亡数増加を記録したのは、第一次世界大戦 (1918年)、世界恐慌 (1929年)、第二次世界大戦 (1940年)、新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2020年)である。
移民・人種
イギリスは1950年代まで国民の99%以上を白人イギリス人が占めており、民族的に非常に均質な社会だった。しかし20世紀後半以降、人種的マイノリティの人口が急速に増えている。特に1997年、労働党 政権によって移民制限が解除されたことで、この傾向はより顕著になっている。
年
1951年
1961年
1971年
1981年
1986年
1991年
1993年
1998年
2000年
2001年
2011年
人種的マイノリティの人口(万人)
5
40
137
209
247
302
320
370
404
464
811
総人口に占める割合
0.1%
0.8%
2.5%
3.9%
4.5%
5.5%
5.7%
6.5%
7.1%
7.88%
12.83%
人種別の人口割合の推移
イギリス
出身国別の外国生まれの人口
順位
出身国
人口[ 19]
1
インド
7005863000000000000♠ 863,000
2
ポーランド
7005818000000000000♠ 818,000
3
パキスタン
7005547000000000000♠ 547,000
4
ルーマニア
7005427000000000000♠ 427,000
5
アイルランド
7005360000000000000♠ 360,000
6
ドイツ
7005289000000000000♠ 289,000
7
バングラデシュ
7005260000000000000♠ 260,000
8
南アフリカ
7005252000000000000♠ 252,000
9
イタリア
7005233000000000000♠ 233,000
10
中国
7005217000000000000♠ 217,000
11
ナイジェリア
7005215000000000000♠ 215,000
12
フランス
7005185000000000000♠ 185,000
13
リトアニア
7005168000000000000♠ 168,000
14
ポルトガル
7005165000000000000♠ 165,000
15
アメリカ
7005161000000000000♠ 161,000
16
スペイン
7005159000000000000♠ 159,000
17
オーストラリア
7005153000000000000♠ 153,000
18
フィリピン
7005153000000000000♠ 153,000
19
ジンバブエ
7005128000000000000♠ 128,000
20
ブルガリア
7005128000000000000♠ 128,000
21
スリランカ
7005126000000000000♠ 126,000
22
ジャマイカ
7005123000000000000♠ 123,000
23
ケニア
7005121000000000000♠ 121,000
24
ガーナ
7005114000000000000♠ 114,000
25
ブラジル
7005101000000000000♠ 101,000
26
ソマリア
7004990000000000000♠ 99,000
27
ハンガリー
7004980000000000000♠ 98,000
28
カナダ
7004950000000000000♠ 95,000
29
ラトビア
7004890000000000000♠ 89,000
30
アフガニスタン
7004790000000000000♠ 79,000
31
ネパール
7004760000000000000♠ 76,000
32
イラン
7004720000000000000♠ 72,000
33
スロバキア
7004720000000000000♠ 72,000
34
トルコ
7004710000000000000♠ 71,000
35
オランダ
7004680000000000000♠ 68,000
36
イラク
7004670000000000000♠ 67,000
37
ニュージーランド
7004670000000000000♠ 67,000
38
ギリシャ
7004660000000000000♠ 66,000
39
マレーシア
7004610000000000000♠ 61,000
40
ロシア
7004590000000000000♠ 59,000
41
キプロス
7004570000000000000♠ 57,000
42
タイ
7004540000000000000♠ 54,000
43
ウガンダ
7004520000000000000♠ 52,000
44
台湾
7004490000000000000♠ 49,000
45
シリア
7004480000000000000♠ 48,000
46
アルバニア
7004470000000000000♠ 47,000
47
シンガポール
7004440000000000000♠ 44,000
48
チェコ
7004440000000000000♠ 44,000
49
スウェーデン
7004420000000000000♠ 42,000
50
エジプト
7004390000000000000♠ 39,000
51
日本
7004390000000000000♠ 39,000
52
ウクライナ
7004380000000000000♠ 38,000
53
コロンビア
7004380000000000000♠ 38,000
54
ベルギー
7004350000000000000♠ 35,000
55
モーリシャス
7004340000000000000♠ 34,000
56
サウジアラビア
7004330000000000000♠ 33,000
57
スーダン
7004330000000000000♠ 33,000
58
コソボ
7004290000000000000♠ 29,000
59
ザンビア
7004290000000000000♠ 29,000
60
マルタ
7004270000000000000♠ 27,000
61
ベトナム
7004270000000000000♠ 27,000
将来予測
オックスフォード大学 の人口学者デイビッド・コールマンは、既に白人イギリス人の割合が5割未満となっているロンドンに続いて、バーミンガムが2020年代には同様の人口構成になると予測した。また2056年から2066年頃には、白人イギリス人の割合が国民の半数を下回ると予測した[ 20] 。
健康
平均寿命
OECD加盟国の平均寿命の推移
イギリスは先進国 としては平均寿命が短い。2020年の統計では、アメリカ合衆国 、スロベニア に次いで下から3番目であった。
さらに2010年代以降、イギリスの平均寿命予測は下方修正が繰り返されている。2020年には新型コロナウイルス感染症の世界的流行 も相まって、男女共に8年前の予測よりも約2歳低い水準まで下落した[ 21] 。これは世界各国の中でも大きな下落幅である。これに加え、出生率も従来より低下していることを受け、ONS(国家統計局) は将来の総人口予測を大きく下方修正した[ 22] 。
地域格差
地域ごとの一人当たりGDP(2018年、ドル建て)
地域によって、健康の度合いには格差がある。平均寿命は大別すると南高北低 の傾向があり、ロンドン やイングランド南東部 などの平均寿命が長い一方、スコットランドやイングランド北部は比較的短い[ 23] 。これは一人当たりの豊かさと密接に関係している。特にグラスゴー は西欧 でもワーストクラスに短命な都市であり、「グラスゴー効果 」として知られているほどである。
肥満
イギリスは肥満 率が高い。2020年11月の調査によると、イングランドの成人の62.8%がBMI 25以上の「太り気味」であった[ 24] 。また、子ども の肥満が近年深刻化しており、2016年のWHO の調査によると、イギリスの5歳〜19歳の肥満率は31%に達しており、日本 の14%などと比較して非常に高かった。低所得家庭の子どもたちは、脂肪 や糖分 、添加物 が多く、高カロリー 低栄養の安価なジャンクフード に頼らざるを得ないことが肥満増加の大きな原因となっている[ 25] 。
脚注
注釈
出典
参考文献
Abstract (1833). Abstract of the Answers and Returns made pursuant to an act passed in the eleventh year of the reign of His Majesty King George IV intituled an act for taking an account of the population of Great Britain, and the increase and diminution thereof . Population Register Abstract 1831. British Parliamentary Papers, 38.
Arkell, T. (1992). An Examination of the Poll Taxes of the late Seventeenth Century, the Marriage Duty Act and Gregory King.
K. Schürer, & T. Arkell (eds.), Surveying the People: the interpretation and use of document sources for the study of population in the late seventeenth century (pp. 142–177). Oxford: Leopard's Hill Press.
Boulton, J. (1992). "The Marriage Duty Act and parochial registration in London, 1695–1706". In: K. Schürer, & T. Arkell (eds.), Surveying the People: the interpretation and use of document sources for the study of population in the late seventeenth century ; pp. 222–252. Oxford: Leopard's Hill Press.
Boulton, J. (1993). "Clandestine marriage in London: an examination of the neglected urban variable", in: Urban History ; 20, pp. 191–210.
関連項目
外部リンク