「カム・アンド・ゲット・イット」または「マジック・クリスチャンのテーマ[1]」(原題 : Come And Get It)は、バッドフィンガーの楽曲である。ポール・マッカートニーが1969年に公開された映画『マジック・クリスチャン』のために書き下ろした楽曲で、プロデュースもマッカートニーが手がけた。1969年12月にシングル盤が発売され、全英シングルチャートで最高位4位を記録した。
マッカートニーによって制作されたデモ音源は、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』や、2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』に収録された。
ポール・マッカートニーによるデモ音源
マッカートニーは、ビートルズのアルバム『アビイ・ロード』のためのレコーディング・セッションが行なわれていた1969年7月24日に本作のデモ音源を録音した。
マッカートニーはピアノを弾きながら歌い、これをトラック1と2に録音。演奏後に「よし、じゃあオケをつけるから、今のをヘッドフォンに送ってくれないか?」とレコーディング・エンジニアのフィル・マクドナルド(英語版)に告げた。それからマラカスを振りながらトラック3に追加のボーカルを入れ、トラック4にドラム、トラック5にベースをオーバー・ダビングして完成させた。ここまでの作業は1時間もかからずに完成している。マッカートニーによるデモ音源は、バッドフィンガー版に比べてテンポが遅く、キーが僅かに高い。
この日に録音されたデモ音源は、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されている。また、2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』にも収録された[5][6]。
また、『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』と『アビー・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』では、ミックスが異なる。前者には1984年に発売される予定だった未発表曲集のためにマルチ・トラック・テープからリミックスされた音源が収録され、後者にはデモ音源完成後にコントロール・ルームで作成されたオリジナル・ミックスが収録されている。
バッドフィンガーによる演奏
1969年8月2日、マッカートニーは当時アイヴィーズの名前で活動していたバッドフィンガーに対してデモ音源を提出。マッカートニーは彼らに「デモ音源と同じように演奏してくれ」と指示。それに対してバンド側は「僕ら流にアレンジしたい」と申し出たが、マッカートニーは「これが絶対的に正しいアレンジだ。間違いなくヒットするから変えないでくれ」と拒否した。
ボーカルは、メンバー4人に「カム・アンド・ゲット・イット」を唄わせ、オーディション形式でリード・ボーカルを選んだ。最終的にリード・ボーカルにはトム・エヴァンズが選ばれた。このバッドフィンガー版は、ピーター・セラーズとリンゴ・スター主演の映画『マジック・クリスチャン』のオープニングテーマに使用され、エンドクレジットではストリングス・バージョンが使用された。
シングルは、イギリスでは1969年12月5日にアップル・レコードから発売されたが、アメリカでは1970年1月12日まで発売されなかった。全英シングルチャートでは最高位4位[8]、アメリカのBillboard Hot 100では最高位7位を記録し[9]、バンドのヒット・シングルとなった。なお、シングルのリリースを前にベーシストのロン・グリフィスが脱退した。
1978年に新たにレコーディングされた音源がK-telより発売されたが、こちらでもエヴァンズがリード・ボーカルを担当している。
クレジット
チャート成績
年間チャート
チャート (1970年) |
順位
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カナダ (RPM)[11]
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64
|
US Billboard Hot 100[15]
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48
|
US Cash Box[16]
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45
|
その他のバージョン
本作は以下のアーティストによるカバー・バージョンが存在する。
脚注
注釈
- ^ 演奏時間には演奏の前後に入っているマッカートニーとエンジニアの会話も含まれているため、実際の演奏時間は少し短い。
出典
参考文献
外部リンク