「エイント・シー・スウィート」(Ain't She Sweet[注釈 1])は、ジャック・イェレンによって作詞、ミルトン・エーガーによって作曲された楽曲である。1927年にルー・ゴールドとザ・メロディ・メンによってレコーディングが行なわれ、シングルとして発売された。楽曲の出版元はエーガー、イェレン&ボーンスタイン社[2]。20世紀前半に人気を博し、狂乱の20年代における代表作の1つとなった[3]。本作は、エーガーが娘シャナに向けて作曲した楽曲となっている[4][5]。
ルー・ゴールドとザ・メロディ・メンは、1927年1月17日にニューヨークで「エイント・シー・スウィート」のレコーディングを行なった[7]。これが本作のレコーディングが行なわれた初の例となる[8]。レコーディングにはマレー・アムスターがボーカルとして参加している[7]。1927年4月にシングル盤(品番: Gannett 6068)として発売され、B面には「ユー・シュッド・シー・マイ・トッツィー」(You Should See My Tootsie)が収録された。
2月21日にはスクラッピー・ランバートをボーカルに迎えて再びレコーディングを行なっており[7]、こちらはシングル『ホワット・ダズ・イット・マター?』(What Does It Matter?、品番: Perfect 14777)のB面曲として発売された。
1975年のラジオ番組のインタビューで、レノンはジーン・ヴィンセントのオリジナルはとても甘美で、音程もとても高く、ぼくもこの曲を演()るときは同じように歌ってた。ところが、ドイツで録音するときには、もっとハードに、もっとハードに演れって再三言われたんだ。ドイツの奴らはこの曲を行進曲みたいにしたがる。だから結局、ぼくらはすごくハードなバージョンを演ることになったと語っている[33][34]。レノンのボーカルについて、ルイソンはジョンのボーカルは力強く素晴らしいが、「ハンブルクのしわがれ声」に見舞われたかのような声質である。また、ジョンはケンフェルトの言う「ハードな」音にしようと懸命に歌っているが、必ずしもこの曲にふさわしいスタイルにはなっていない[34]と述べ。エヴェレットは「とても超然としていて、わずかにうわずっている」[9]と述べている。ルイソンはピート・ベストのドラミングについて創造性がない。独創性のかけらもなく、気の利いたフィルインもなければ面白みもなく、ピートはレコーディングのあいだで終始同じシャッフル・ビートで通していると述べ、マッカートニーのベースについて完成されていると評価した[33][34]。また、ハリスンのギターソロについて「平均以下の出来」と評したうえで、この時点では悪くない演奏をしていたので、この曲ではおそらくきちんと演奏する機会が一度しか与えられなかったのだろうと述べている[33][34]。エヴェレットは、「総じて、これらのレコーディングは将来のビートルズを代表するものとはとても言えない」と評し[9]、マクドナルドも「ビートルズのプロとしての初のレコーディングのための選択としてはほとんど意味をなさず、今となっては注目に値しない」と評した[22]。ハワード・クレーマーは、著書『The Cambridge Companion to the Beatles』の中で、本作のセッションについて「音楽的にぱっとしない」「伴奏が各々の演奏能力を表しているが、今ひとつというところ」と述べている[35]。
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