「恋のアドバイス 」(こいのアドバイス、原題 : You're Going to Lose That Girl [ 注釈 1] )は、ビートルズ の楽曲である。1965年に公開されたビートルズの主演映画『ヘルプ!4人はアイドル 』で使用され、同年に発売された5作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ヘルプ! 』に収録された。レノン=マッカートニー 名義となっているが、主にジョン・レノン によって書かれた楽曲で、一部ポール・マッカートニー が手伝っている。
日本では、B面に「テル・ミー・ホワット・ユー・シー 」を収録したシングル盤としても発売され、洋楽チャートで最高位10位を獲得した[ 1] 。
背景
本作はレノン=マッカートニー 名義で発売されたが、ウォルター・エヴェレット (英語版 ) とイアン・マクドナルド (英語版 ) は共にレノンが書いた曲としている。マッカートニーも、1997年に出版された自伝『Many Years from Now』で、本作の作曲について「60対40で、ジョンの曲」としている。1965年1月16日に行なわれた『メロディー・メイカー (英語版 ) 』誌のレイ・コールマン (英語版 ) とのインタビューで、レノンはビートルズの次回作のために「『半分の曲』しか書いていない」と説明している。
同年1月25日から2月7日にかけて、レノンと当時の妻であるシンシア・レノン は、ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティン と、その妻ジュディー・ロックハート=スミスと共に、オーストリア・アルプス (英語版 ) で休暇を過ごした。この休暇を用いて、レノンとマッカートニー、ジョージ・ハリスン は本作を含む11の新曲を書き、2月15日から20日にかけて録音した。
レコーディング
「恋のアドバイス」のレコーディングは、1965年2月19日にEMIレコーディング・スタジオ で行なわれた午後のセッションで開始され、2テイク録音されたのち、オーバー・ダビング が行なわれた。翌日、マーティンはエンジニアのノーマン・スミス とケン・スコット (英語版 ) の協力のもと、モノラル・ミックスを作成。2月23日、ビートルズがバハマで映画『ヘルプ!4人はアイドル 』の撮影をしている間に、エンジニアのスミスとマルコム・デイヴィースはステレオ・ミックスを2種類作成。その結果、2つ目のミックスが選ばれた。
3月30日、ビートルズは本作に対してさらなるオーバー・ダビングを行なった。なお、オリジナルのテープには、エレクトリックピアノ とハリスンのギターソロが含まれていたが、この2つのパートはカットされた[ 注釈 2] 。ハリスンは新しいギターソロを録音し、リンゴ・スター はボンゴ 、マッカートニーはピアノ を演奏した。
4月2日、マーティンはスミスの協力のもと、3月30日のオーバー・ダブを使用して、再度ステレオ・ミックスを作成した。このステレオ・ミックスは、イギリスで発売された『ヘルプ!』とアメリカで発売された『ヘルプ(四人はアイドル) 』に収録された。
リリース・評価
1965年8月6日にパーロフォン から『ヘルプ!』が発売され、「恋のアドバイス」は「アナザー・ガール 」と「涙の乗車券 」の間の7曲目に収録された。キャピトル・レコード は、イギリスで発売された『ヘルプ!』と収録曲を変更したサウンドトラック・アルバム『ヘルプ(四人はアイドル)』を8月13日にアメリカで発売し、「You're Gonna Lose That Girl 」と表記を変更して2つのオーケストラ曲の間の11曲目に収録した。本作は、1965年のアメリカツアー中にレノンとハリスンに贈られたソニックブルーのフェンダー・ストラトキャスター が使用された初の楽曲となっている。このギターは、後の活動でもハリスンのお気に入りの一本であり、次のアルバム『ラバー・ソウル 』でも使用されている。同年に公開された映画『ヘルプ!4人はアイドル』では、スタジオ[ 注釈 3] でのレコーディングのシーン[ 注釈 4] で使用された。
作家のジャクリーン・ワーウィックは、本作を「シー・ラヴズ・ユー 」や活動初期にカバーしていたガール・グループの楽曲に匹敵する「アドバイス」ソングと表現している。エヴェレットは、「マッカートニーとハリスンのリード・ボーカルに応えるバッキング・ボーカルは、モータウン に大きく影響している」とし、本作のコード進行について「ぎょっとするほど独創的」と評している。
ビル・ワイマン は、ラモーンズ の楽曲「キル・ザット・ガール」(原題 : You're Gonna Kill That Girl )について本作のパロディソングと解釈している[ 24] 。
クレジット
※出典(特記を除く)
カバー・バージョン
脚注
注釈
^ キャピトル・レコード からの発表時は「You're Gonna Lose That Girl 」と表記されていた。
^ エレクトリックピアノのパートとカットされたギターソロが含まれたバージョンのアセテートは、海賊盤 で流通している。
^ 映画に登場するレコーディング・スタジオはセットであり、実際にはトゥイッケナム・スタジオで撮影された。
^ 演奏はリップシンク 。
出典
参考文献
Everett, Walter (2001). The Beatles As Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul . Oxford and New York: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-514105-4 . https://archive.org/details/beatlesasmusicia00ever
Guesdon, Jean-Michel; Margotin, Philippe (2014). All The Songs: The Story Behind Every Beatles Release . Running Press. ISBN 1-6037-6371-6
Lewisohn, Mark (1988). The Complete Beatles Recording Sessions . New York: Harmony. ISBN 978-0-517-57066-1
Lewisohn, Mark (2000) [1992]. The Complete Beatles Chronicle: The Only Definitive Guide To the Beatles' Entire Career . London: Hamlyn . ISBN 978-0-60060-033-6
MacDonald, Ian (2007). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (3rd ed.). Chicago Review Press. ISBN 978-1-55652-733-3
Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years from Now . Secker & Warburg . ISBN 978-0436280221
Miles, Barry (2007) [1998]. The Beatles: A Diary - An Intimate Day by Day History . London: Omnibus . ISBN 978-1-847720-825
Sawyers, June Skinner (2006). “Discography”. In Sawyers, June Skinner. Read the Beatles: Classic and New Writings on the Beatles, Their Legacy, and Why They Still Matter . London: Penguin Books . pp. 337-352. ISBN 0-14-303732-3
Warwick, Jacqueline (2001). “You're going to lose that girl: The Beatles and the girl groups”. Collected Work: Beatlestudies. III: Proceedings of the Beatles 2000 Conference . Jyvaskyla: University of Jyvaskyla. pp. 161-167. ISBN 978-9513908096
Winn, John C. (2008). The Beatles' Recorded Legacy: Volume 1 . University of Michigan : Three Rivers Press. ISBN 978-0307451576 . https://books.google.com/books?id=7y0KAQAAMAAJ
外部リンク
UK盤・US盤共通
1963年 1964年 1965年 1966年 1967年 1968年 1969年 1970年 1978年 1982年 1995年 1996年 2023年
UK盤 (パーロフォン /アップル )
US盤 (ヴィージェイ /スワン /トリー /キャピトル /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1970年 1976年
その他 (オデオン /パーロフォン /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1968年 1969年 1970年 1972年 1978年 1981年