「ぼくが泣く 」(ぼくがなく、原題 : I'll Cry Instead )は、ビートルズ の楽曲である。1964年に発売された3作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ハード・デイズ・ナイト 』に収録された。レノン=マッカートニー 名義となっているが、ジョン・レノン によって書かれた楽曲。映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! 』のために書かれた楽曲だが、最終的に未使用となった。
アメリカではシングル盤としても発売され、キャピトル 編集盤『サムシング・ニュー 』にも収録された。Billboard Hot 100 で最高位25位を記録。
背景・曲の構成
「ぼくが泣く」は、レノンが映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! 』の脱走するシーンのために書いた楽曲。レコーディングは、1964年6月1日にAとBの2つのセクションに分けて行われ、映画で使える曲の長さになるように繋ぎ合わせて完成された。しかし、同映画の監督であるリチャード・レスター によって却下され、このシーンには「キャント・バイ・ミー・ラヴ 」が使用された。1981年に再公開された際には、前年に殺害されたレノンへの哀悼として映画撮影当時に撮影された写真をコラージュして制作された『Swingin' 』と題されたオープニング・シーケンス が追加され、本作が使用された。
本作について、レノンの当時の妻であるシンシア は「レノンが活動の初期のような自由や楽しさがなくなり、フラストレーションを感じていたことを表している」と説明している。レノンも「I've got a chip on my shoulder that's bigger than my feet (腹が立って腹が立ってしょうがない)」というフレーズが、当時の自身の気持ちを表したものであることを明かしている。
本作は、ビートルズ、とりわけリンゴ・スター が好んでいたジャンルであるカントリー&ウエスタン に根ざしている。
リリース
「ぼくが泣く」のロングバージョンは、演奏時間が2分4秒となっており、アメリカでユナイテッド・アーティスツ・レコード から発売されたサウンドトラック・アルバム『A Hard Day's Night (United Artists) 』に収録され、後にキャピトル・レコード から発売された編集盤『サムシング・ニュー 』のモノラル盤にも収録された。
イギリスで発売された『ハード・デイズ・ナイト』とアメリカで発売された『サムシング・ニュー』(ステレオ盤)には、演奏時間が1分44秒と短く編集された音源が収録された。
アメリカではB面に「すてきなダンス 」を収録したシングル盤としても発売されており、Billboard Hot 100 で最高位25位を記録した[ 12] 。日本でもシングル盤『恋する二人 』のB面曲としてリカットされた。
なお、ユナイテッド・アーティスツ・レコードから発売された作品の多くで、「I Cry Instead 」と誤った曲名で記載されていた[ 13] 。
クレジット
※出典
チャート成績
カバー・バージョン
脚注
出典
^ Erlewine, Stephen Thomas . “A Hard Day's Night - The Beatles | Songs, Reviews, Credits ”. AllMusic . All Media Group. 2021年5月9日 閲覧。
^ a b “The Hot 100 Chart ”. Billboard (1964年8月29日). 2021年5月9日 閲覧。
^ “The Hard Day's Night Album ” (PDF). friktech.com . 2021年5月9日 閲覧。
^ “Alan W. Pollack's notes on "I'll Cry Instead". ”. 2019年1月18日 閲覧。
^ Hoffmann, Frank (1983). The Cash Box Singles Charts, 1950–1981 . Metuchen, NJ & London: The Scarecrow Press, Inc. pp. 32-34
^ Pollock, Bruce (2014). Rock Song Index: The 7500 Most Important Songs for the Rock and Roll Era . Taylor & Francis. p. 172. ISBN 1-1354-6296-8
^ Eder, Bruce. Meanwhile Back at the Whiskey A-Go-Go - Johnny Rivers | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年5月9日 閲覧。
^ Erlewine, Stephen Thomas. Chet Atkins Picks on the Beatles - Chet Atkins | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年5月9日 閲覧。
^ Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four [2 Volumes] . ABC-CLIO. p. 443. ISBN 0-3133-9172-6
^ Horowitz, Hal. Bulletproof - Lee Rocker | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年5月9日 閲覧。
^ Deming, Mark. The Interpreter: Live at Largo - Rhett Miller | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年5月9日 閲覧。
参考文献
The Beatles (2000). The Beatles Anthology . San Francisco: Chronicle Books. ISBN 0-8118-2684-8 . https://archive.org/details/beatlesanthology0000unse
Dowlding, William J. (1989). Beatlesongs . New York: Simon & Schuster . ISBN 0-671-68229-6
Harry, Bill (1994). The Ultimate Beatles Encyclopedia . Hyperion. ISBN 0-7868-8071-6
Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions . New York: Harmony Books . ISBN 0-517-57066-1
MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3
McCoy, William; McGeary, Mitchell (1990). Every Little Thing: The Definitive Guide to Beatles Recording Variations, Rare Mixes & Other Musical Oddities, 1958-1986 . Popular Culture, Inc.. ISBN 1-5607-5004-9
Winn, John C. (2008). Way Beyond Complete: The Beatles' Recorded Legacy, Volume One, 1957-1970 . Crown. ISBN 0-3074-5238-7
Womack, Kenneth (2016). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four . ABC-CLIO. ISBN 1-4408-4427-5
外部リンク
UK盤・US盤共通
1963年 1964年 1965年 1966年 1967年 1968年 1969年 1970年 1978年 1982年 1995年 1996年 2023年
UK盤 (パーロフォン /アップル )
US盤 (ヴィージェイ /スワン /トリー /キャピトル /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1970年 1976年
その他 (オデオン /パーロフォン /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1968年 1969年 1970年 1972年 1978年 1981年