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「ミスター・ムーンライト 」(Mister Moonlight 、Mr. Moonlight )は、ロイ・リー・ジョンソン (英語版 ) によって作詞作曲された楽曲である。1962年にドクター・フィールグッド&ジ・インターンズ (英語版 ) によって録音され、シングル盤『ドクター・フィールグッド』のB面曲として発売された。後にビートルズ やホリーズ らによってカバー・バージョンが発表されている。
オリジナル・バージョン
「ミスター・ムーンライト」は、アトランタのバンド、ドクター・フィールグッド&ジ・インターズによる録音が初出となる[ 2] [ 3] 。ブルース ・ピアニストのピアノ・レッド (英語版 ) は、ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood )[ 注釈 1] という名義を使用してバンドを率いた。
本作はオーケー・レコード からシングル盤『ドクター・フィールグッド』のB面曲として発売された[ 5] 。その後、イギリスでもコロムビア・レコード から発売された。
ビートルズによるカバー
ビートルズによるカバー・バージョンは、イギリスでは1964年にパーロフォン から発売されたアルバム『ビートルズ・フォー・セール 』、アメリカでは同年にキャピトル・レコード から発売されたアルバム『Beatles '65 』に収録された。リード・ボーカル はジョン・レノン で、ポール・マッカートニー とジョージ・ハリスン がハーモニー・ボーカル を歌った。
背景
ビートルズは、デビュー前のライブで「ミスター・ムーンライト」を演奏していた。ビートルズがレパートリーに加えた時期について見解が分かれており、音楽学者のウォルター・エヴェレット (英語版 ) は「1961年後半もしくは1962年初頭」と見ている。ビートルズの歴史家であるマーク・ルイソン (英語版 ) は、ビートルズが本作が収録されたレコードを発見したのが「1962年半ば」で、1962年8月のセットリストには本作が含まれているが、それ以前の1961年春や1962年2月1日の公演のセットリストに含まれていないと述べている。ニール・アスピノール は、「『ミスター・ムーンライト』は、観客に緊張感がただよった瞬間があるから素晴らしかった。曲が発表されると、だれもがジョンがあの「MISTER! Moonlight 」っていう声で始めなければいけないことを知っていたんだ。前奏はなくて、彼は何もないところから正しく演奏しなければいけなかった」と回想している。ライブではたびたびオープニング・ナンバーとして演奏されていた。
レコーディング
ビートルズは、1964年8月14日のセッションで初めて「ミスター・ムーンライト」のレコーディングを行った[ 注釈 2] 。同日のセッションでは4テイク録音された。この時点ではハモンドオルガン とパーカッション は含まれておらず、レノンとハリスンのギター の演奏が主体となっていた。1964年のイギリスツアーの休暇中である10月18日に、再びレコーディングが行われた。テイク7でマッカートニーのハモンドオルガンが追加され、テイク8が「最高」であると見なされた。
レコーディングには4トラック・レコーダーが使用され、トラック1にはリンゴ・スター のパーカッション[ 注釈 3] とマッカートニーのベース 、トラック2にはハリスンのアフリカンドラム とマッカートニーのハモンドオルガン、トラック3にはレノンのボーカル とマッカートニーとハリスンのハーモニー・ボーカル 、トラック4にはカントリー・ジェントルマン で演奏したパートが録音された。プロデューサーのジョージ・マーティン とエンジニア のノーマン・スミス は、10月27日にテイク4と8を使用してモノラル・ミックスを作成。その後、11月4日にマイク・ストーン (英語版 ) を加えた3人でステレオ・ミックスを作成。
リリース・評価
「ミスター・ムーンライト」は、1964年12月4日にイギリスで発売された『ビートルズ・フォー・セール 』と、1964年12月15日にアメリカで発売された『Beatles '65 』に収録された。アメリカの全国チャートでは最高位68位を記録した。日本では「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング 」をB面に収録したシングル盤としても発売され、1966年の日本武道館 公演のドキュメンタリー番組 で使用された[ 19] 。
1977年に発売された非公式ライブ・アルバム『デビュー! ビートルズ・ライヴ'62 』には、1962年12月のスター・クラブ公演でのライブ音源が収録されている。1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1 』には、テイク1と4を組み合わせた音源が収録された。
エヴェレットは、著書『The Beatles as Musicians』の中で、本作について「ビートルズで最も人気のない楽曲の1つ」と書いている。マーク・ルイソンは「ほとんどの人が、後にLP『ビートルズ・フォー・セール』となるものの中で最も嫌っている曲」とし、「あとから考えると、『リーヴ・マイ・キトゥン・アローン 』のほうがアルバムに収録するのにふさわしかったかもしれない」と付け加えている。エヴェレットは、この2曲を比較して「8月14日に試された2曲のカバーは、1つはレノンが最も刺激を受けたカバーであり、もう1つはそうではないものだった。残念ながら、前者にあたる『リーヴ・マイ・キトゥン・アローン』は、ビートルズの活動期に発売されることはなかった…」と書いている。
エヴェレットは、「レノンの「きたない太い声」によるア・カペラのオープニングについて「期待できる」とする一方で、その音色はすぐに形容しがたいほど陰気なものへと変わってしまうと評している。音楽評論家のイアン・マクドナルド (英語版 ) は、本作について「大ざっぱな準カリプソ 」と説明し、「この曲はジョークで録音されたものではないか」という考えを示している。
クレジット
※出典(特記を除く)
その他のアーティストによるカバー
脚注
注釈
出典
^ Lewisohn 2013a , p. 654, ...oddly named American band Dr. Feelgood and the Interns.
^ Lewisohn 2013b , p. 1243n, ......they were from Atlanta, Georgia...
^ Goggin, Martin (2005). “The Story of 'Mr Moonlight', Roy Lee Johnson”. Juke Blues (59): 16-23.
^ 宮永正隆 『ビートルズ来日学 1966年、4人と出会った日本人の証言』DU BOOKS、2016年、67頁。ISBN 4-9075-8384-2 。
^ Unterberger, Richie. Stay with the Hollies - The Hollies | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2020年11月27日 閲覧。
^ “つんく / A HARD DAY'S NIGHT〜つんくが完コピーやっちゃったヤァ!ヤァ!ヤァ!VOL.1 ”. CDJournal . 音楽出版社. 2020年11月27日 閲覧。
^ Legacy of Hospitality - Dan Sartain | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2020年11月27日 閲覧。
参考文献
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MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd ed.). London: Pimlico. ISBN 978-1-84413-828-9
Humphries, Patrick; Dogget, Peter (2010). The Beatles: The Music And The Myth . Omnibus Pr & Schirmer Trade Books. p. 61. ISBN 1-8493-8369-3 . https://books.google.co.jp/books?id=YbQAUhdlR9gC&pg=PT61&dq=Mr.+Moonlight+Beatles+Recording&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwiXnoDFpKLtAhVMVN4KHWFPBVMQ6AEwAXoECAEQAg#v=onepage&q=Mr.%20Moonlight%20Beatles%20Recording&f=false
Womack, Kenneth (2016). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four . ABC-CLIO. ISBN 1-4408-4427-5
外部リンク
UK盤・US盤共通
1963年 1964年 1965年 1966年 1967年 1968年 1969年 1970年 1978年 1982年 1995年 1996年 2023年
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その他 (オデオン /パーロフォン /アップル )
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