この項目では、ビートルズのデビュー曲について説明しています。他の「Love me do」については「LOVE ME DO 」をご覧ください。
「ラヴ・ミー・ドゥ 」(Love Me Do )は、ビートルズ の楽曲である。1962年10月5日にパーロフォン よりデビュー・シングル として発売され、B面には「P.S.アイ・ラヴ・ユー 」が収録された。1962年に発売されたシングル盤は、全英シングルチャート で最高位17位を記録し[ 5] 、1982年に発売された12インチシングル盤は最高位4位を記録した[ 6] 。1964年にアメリカでトリー・レコード (英語版 ) より発売されたシングル盤は、Billboard Hot 100 で第1位を獲得した[ 7] 。
本作は、ビートルズの前身にあたるクオリーメン 時代に書かれた楽曲で、ジョン・レノン のハーモニカ とレノンとポール・マッカートニー によるツイン・ボーカルが特徴となっている。なお、本作は3回にわたってレコーディングされていて、それぞれドラマーが異なっている。
背景・曲の構成
「ラヴ・ミー・ドゥ」は、1958年から1959年にかけて不登校生だった当時16歳のポール・マッカートニー によって書かれた作品で、ジョン・レノン はミドルエイトを書いた。作者クレジットはレノン=マッカートニー [ 注釈 1] で、レノンは「『ラヴ・ミー・ドゥ』はポールの曲だ。僕らが本格的な作曲家になる前、ハンブルクの頃から曲を持っていたのを知ってるよ」と語っている。
「ラヴ・ミー・ドゥ」は、G7とCコードを基調とした楽曲で、ミドルエイトのみDに移るというコード進行となっている。レノンが演奏したブルージーかつドライなハーモニカ のリフから始まり、レノンとマッカートニーによるツイン・ボーカルが加わってくる。
当初はレノンがタイトルセクションを歌っていたが、フレーズに重なるかたちでハーモニカのパートが追加されたため、ハーモニカを演奏するレノンではなくマッカートニーがこの部分を歌うことになった[ 13] 。この処置について、マッカートニーは「そのセッションまではこの部分を歌うのはジョンの担当だった。だけど歌詞がハーモニカのソロに被るから、"Love me do"の部分で止まってしまう。そこでジョージ・マーティン がハーモニカをフィーチャーするアイデアを出して、急遽僕がリードをとることになった。本当に緊張したよ。今聴いても緊張して声が震えているのがわかる」と語っている[ 13] 。
レコーディング・リリース
「ラヴ・ミー・ドゥ」は、EMIレコーディング・スタジオ で3回にわたってレコーディングされ、それぞれドラマーが異なっている。
レコーディング日
備考
1962年6月6日
EMI のオーディションでのレコーディング。ドラムは当時ビートルズのドラマーだったピート・ベスト が演奏。しかし、プロデューサーのマーティンは、ベストの演奏に満足しなかったため、このセッションから2か月後にベストは解雇された。 テイク数は不明。
1962年9月4日
デビュー・シングル用のレコーディング。ドラムは解雇されたベストに代わって加入したリンゴ・スター が演奏。同日に15テイク録音され、シングル第1版に収録された。しかし、セッションの2週間前にバンドに加入し、リハーサルが不十分であったことから、マーティンはスターの演奏にも満足しなかった。 また、同日にミッチー・マレー (英語版 ) 作曲の「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット 」もレコーディングされ、マーティンはこちらをデビュー・シングルとする予定だったが、レノンとマッカートニーがオリジナル曲でのデビューを強く希望したことから、ビートルズ側の主張が認められて本作がデビュー・シングルとなった。 テイク数およびモノラル・ミックスに使用されたテイクは不明。
1962年9月11日
2度目のデビュー・シングル用のレコーディング。同日のセッションではアンディ・ホワイト がドラムを演奏したため、スターはタンバリン を演奏した。 18テイク録音され、最終テイクがマスターとして採用された。
本作がデビュー・シングルとしてイギリスで発売された際、スターがドラムを演奏した9月4日のテイクが使用されたが、以後の再版シングル[ 注釈 2] や、オリジナル・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー 』や『ザ・ビートルズ1962年〜1966年 』、『ザ・ビートルズ1 』など一部のコンピレーション・アルバム、ビートルズのEPにはホワイトがドラムを演奏した9月11日のテイクが採用された。スターがドラムを演奏した9月4日のテイクは、1980年にアメリカで発売された『レアリティーズ Vol.2 』でアルバム初収録となり、『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス 』や『パスト・マスターズ Vol.1 』に収録された。なお、9月4日のテイクはマスター・テープが破棄されているため、シングル・レコード盤からマスタリングされた音源が収録された[ 23] 。1992年10月5日にビートルズのデビュー20周年を記念して発売されたCDシングル盤には両方のテイクが収録されている。ピート・ベストのドラムを演奏した6月6日のテイクは、1995年に『ザ・ビートルズ・アンソロジー1 』で発表されるまで未発表となっていた。2023年11月2日に発売された『ナウ・アンド・ゼン 』と11月10日に発売された『ザ・ビートルズ1962年〜1966年 2023エディション』には、リンゴがドラムを演奏した9月4日のテイクが収録されているが、ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ: Get Back 』や『リボルバー・スペシャル・エディション 』で使われた音源を楽器別に分離するAI 技術「デミックス」を用いてステレオ化されている。
BBC で8度にわたって収録され、1962年10月からの1年間にわたって、『ヒア・ウィー・ゴー』、『タレント・スポット』、『サタデー・クラブ』、『サイド・バイ・サイド』、『ポップ・ゴー・ザ・ビートルズ』、『イージー・ビート』といった番組で放送された。1963年7月10日にBBCで収録され、23日の『ポップ・ゴー・ザ・ビートルズ』で放送されたテイクは、アルバム『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC 』に収録されている。1963年2月20日の『パレード・オブ・ザ・ポップス』においては、BBCのラジオを通じてこの曲を生演奏で放送している。なお、BBCのドキュメンタリー番組『ザ・マージー・サウンド』のためにサウスポートにあるリトル・シアターでの演奏が撮影されており、同番組でその一部が放送された後、2015年に再発売された『ザ・ビートルズ1 』[ 注釈 3] に付属のDVD/Blu-rayに収録された[ 24] 。
1969年に行なわれたゲット・バック・セッション でこの曲が演奏された。この時はかつてのアレンジよりもテンポを落としたブルース 調での演奏だった。このほか、「レボリューション1 」のテイク18の後半部分では、マッカートニーが「ラヴ・ミー・ドゥ」のサビのフレーズを歌っている[ 注釈 4] 。
2012年10月22日(日本では11月14日[ 25] )に発売50周年を記念し、パーロフォンのジャケットを使用した限定のレプリカ・17cmアナログレコードが発売された[ 26] 。このレコード盤のA面にはスターがドラムを演奏した9月4日のテイクが収録されたが、発売当初のレコード盤には誤ってホワイトがドラムを演奏した9月11日のテイクが収録されていた[ 26] 。
クレジット
※特記を除き、出典はイアン・マクドナルド (英語版 ) の著書『Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties 』。
ビートルズ
外部ミュージシャン
チャート成績
年間チャート
チャート (1964年)
最高位
US Billboard Hot 100[ 39]
14
認定
カバー・バージョン
メンバーによるセルフカバー
ポール・マッカートニー は、1986年から1987年に行なった『リターン・トゥ・ペパーランド 』(未発表)のセッション時に「P.S.アイ・ラヴ・ユー 」とマッシュアップした「P.S.ラヴ・ミー・ドゥ」(P.S. Love Me Do )を録音。この時に録音された演奏は、1990年に発売された来日記念盤『フラワーズ・イン・ザ・ダート ・スペシャル・パッケージ』に収録された[ 43] 。1989年から1990年にかけて行なわれたワールド・ツアーで演奏され、当時のライブ音源は1991年に発売されたマキシシングル『バースデー 』に収録された[ 45] 。2016年から2017年にかけて行なわれた「One on One」ツアーで、「ラヴ・ミー・ドゥ」をビートルズ時代の1963年10月16日に行なったロンドンでのコンサート以来53年ぶりに演奏した[ 46] 。
リンゴ・スター は、1998年に発売されたアルバム『ヴァーティカル・マン〜リンゴズ・リターン 』に収録[ 47]
その他のアーティストによるカバー
デヴィッド・ボウイ は、1973年7月3日のハマースミス・オデオン 公演で演奏。ギターはジェフ・ベック が演奏した。同日の公演はコンサート映画『Ziggy Stardust and the Spiders from Mars 』として公開されたが、本作は含まれなかった[ 48] 。
脚注
注釈
^ アルバム収録の方はマッカートニー=レノン と表記されている。
^ 黒のラベルのリイシュー盤の場合、9月4日と9月11日の両方のテイクで発売されている。オリジナル盤での見分け方は、レコードの送り溝に刻印されているマトリックス番号が9月4日のテイクの場合は 7XCE 17144-1N 、9月11日のテイクの場合は 7XCE 17144-2N となっている。
^ オリジナルは2000年に発売。
^ この部分はリリース版では使用されず、2018年に発売された『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) スーパー・デラックス・エディション』に収録されたテイク18で確認することができる。
出典
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外部リンク
UK盤・US盤共通
1963年 1964年 1965年 1966年 1967年 1968年 1969年 1970年 1978年 1982年 1995年 1996年 2023年
UK盤 (パーロフォン /アップル )
US盤 (ヴィージェイ /スワン /トリー /キャピトル /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1970年 1976年
その他 (オデオン /パーロフォン /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1968年 1969年 1970年 1972年 1978年 1981年