「ティル・ゼア・ウォズ・ユー 」(Till There Was You )は、1950年にメレディス・ウィルソン によって書かれたショー・チューン である。当初のタイトルは「Till I Met You 」で、1950年にアイリーン・ウィルソン (英語版 ) によるレコーディングが行われた。1957年に上演されたブロードウェイ・ミュージカル 『ザ・ミュージックマン 』の劇中歌として使用されたのち、1962年に公開された同名の映画でも使用された。ミュージカルでは、ロバート・プレストン とバーバラ・クック (英語版 ) が歌唱した[ 2] 。
1959年にアニタ・ブライアント 、1963年にビートルズ によってカバーされたことで知られている。
背景
スー・レイニー (英語版 ) は、ネルソン・リドル・オーケストラ (英語版 ) とともに1957年11月に「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」のレコーディングを行なった。これが「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」のレコーディングが行われた初の例となった。レイニーによって録音された演奏は、同年にキャピトル・レコード から発売された。
なお、本作の原曲となる「Till I Met You」は、1950年にアイリーン・ウィルソン (英語版 ) によって録音され、1951年にフラン・ウォーレン (英語版 ) がアメリカNBC の『The Big Show』で歌唱した。
カバー・バージョン
アニタ・ブライアントによるカバー
1959年5月18日にアニタ・ブライアント によるカバー・バージョンがカールトン・レコード (英語版 ) から発売された。このカバー・バージョンは、アメリカの『キャッシュボックス 』誌で最高位14位[ 6] 、『ビルボード 』誌のHot 100 で最高位30位[ 7] を記録し、ブライアントにとって初めてチャートインした楽曲となった[ 8] 。
チャート成績
ビートルズによるカバー
ビートルズ は、1963年7月に「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」をレコーディングした。ビートルズによるカバー・バージョンは、イギリスで同年に発売された2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ 』や、アメリカで1964年に発売されたキャピトル 編集盤『ミート・ザ・ビートルズ 』に収録された。なお、ビートルズがブロードウェイ・ミュージカルの劇中歌をカバーした唯一の例となっている。
マッカートニーは、従兄弟のベット・ロビンズを介して、1961年に発表されたペギー・リー によるカバー・バージョンを知った。マッカートニーは、本作の大元が『ミュージック・マン』の劇中歌であることを後年になるまで知らなかったと明かしている。本作は、デビュー前よりレパートリーの1つとされており、ドイツ のハンブルク 巡業時代のクラブでの公演でも演奏していた。1963年11月4日に開催されたイギリス王室 主催の『ロイヤル・ミュージック・パフォーマンス (英語版 ) 』で演奏された楽曲の1つで、本作の他には「フロム・ミー・トゥ・ユー 」、「シー・ラヴズ・ユー 」、「ツイスト・アンド・シャウト 」が演奏された[ 12] 。また、1962年1月のデッカ・レコード のオーディションや、『エド・サリヴァン・ショー 』(1964年2月9日放送回)に初登場した際に演奏された楽曲の1つでもある。
1994年に発売された『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC 』には1964年3月30日に放送された『From Us to You』での音源、1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1 』には前述の『ロイヤル・ミュージック・パフォーマンス』でのライブ音源が収録された。また、マッカートニーは2005年秋のアメリカツアーで演奏しており、翌年に発売された映像作品『ライヴ・イン・ザ・US 2005〜ザ・スペース・ウィズイン・アス〜 (英語版 ) 』にライブ映像が収録された。
2016年3月22日にウォリントンで行われたオメガ・オークションで、ビートルズのマネージャーであったブライアン・エプスタイン がジョージ・マーティン に渡したデモ・レコードが出品された[ 14] [ 15] [ 16] 。かつてジェリー&ザ・ペースメイカーズ のレス・マクワイア (英語版 ) が所有していたデモ・レコードのA面には「ハロー・リトル・ガール 」、B面には本作が収録されていた[ 注釈 1] 。 このデモ・レコードは、77500ポンド(日本円で約1250万円)で落札された[ 14] [ 15] [ 16] 。
クレジット
※出典[ 17]
その他のアーティストによるカバー
脚注
注釈
^ 収録曲は、ブライアン・エプスタインのミスにより「Hu llo Little Girl」や「Til There Was You」とスペルミスが生じている。またデモ・レコードでは、前者が「ジョン・レノン&ザ・ビートルズ」、後者が「ポール・マッカートニー&ザ・ビートルズ」名義となっている[ 15] [ 16] 。
出典
^ Dietz, Dan (2014). The Complete Book of 1950s Broadway Musicals . Lanham, Maryland: Rowman & Littlefield . p. 298. ISBN 1-4422-3505-5
^ Castleman, Harry; Podrazik, Walter J. (1977). The Beatles Again? . Ypsilanti, MI: Pierian Press. p. 82. ISBN 0-8765-0089-0
^ a b “The Cash Box Top 100 Singles” . Cashbox . (August 22, 1959). http://cashboxmagazine.com/archives/50s_files/19590822.html .
^ a b “The Hot 100 Chart ”. Billboard (1959年8月17日). 2020年10月26日 閲覧。
^ Summers, Kim. Anita Bryant Biography, Songs, & Albums - オールミュージック . 2022年4月6日 閲覧。
^ Reed, Ryan (2015年11月4日). “Revisiting the Beatles' 'Rattle Your Jewelry' Concert ”. Ultimate Classic Rock . Townsquare Media, Inc.. 2021年9月11日 閲覧。
^ a b Baxter, Todd (2016年3月22日). “'Holy Grail' of Beatles records sells for $110k ”. CNN . 2020年10月26日 閲覧。
^ a b c “ビートルズの「聖杯」、1200万円で落札 希少なデモレコード 写真2枚 国際ニュース ”. AFPBB News . フランス通信社 (2016年3月23日). 2020年10月26日 閲覧。
^ a b c “ビートルズ、62年に作られた最初の10インチ盤が1200万円を超える価格で落札 ”. NME Japan . BandLab UK Limited (2016年3月23日). 2020年10月26日 閲覧。
^ Womack, Kenneth (2016). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four . ABC-CLIO. p. 491
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参考文献
外部リンク